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沈黙の臓器といわれる卵巣。閉経後も年に一度の検診が必要な理由

小さいながらもホルモンを分泌するという大役を果たしている、卵巣。その役目が終わって、閉経後も長く生きられることになった現代女性の卵巣には、数々の病気のリスクが加わってしまいました。

 

沈黙の臓器といわれる卵巣。婦人科で積極的に検診を

婦人科の受診・検診で「卵巣が腫れています」と言われたら青天の霹靂だと思います。卵巣は急性の卵巣炎や茎捻転(けいねんてん)でもない限り、ほとんど自覚症状がないからです。

 

「病気が進行して、腫瘍などがこぶし大に肥大して初めて、周囲の臓器を圧迫して便秘や頻尿になったり、腹痛や腰痛を感じます。痩せている人であればしこりを見つけることもありますが、40代、50代となるとお腹まわりに脂肪がついた人も多く、それで気づきにくいのもネックですね。

 

卵巣は子宮のように腟から直接観察できるわけでもなく、病気の診断がけっこう難しいので、摘出して初めてがんとわかることもあります。進行が早く、見つかったときには末期だったということも少なくないんです。

 

卵巣が寿命を迎えようとしている閉経後であっても、年1回は婦人科を受診して、経腟超音波検査で卵巣の様子を診てもらうことをおすすめ。子宮がん検診と一緒にやってもらうのが賢いと思いますよ」(対馬ルリ子先生)

卵巣の病気イメージイラスト

いくつ知っていますか? 卵巣の病気

●チョコレート嚢胞

子宮内膜症のひとつ。子宮内膜組織が卵巣にできると、月経ごとに内膜がはがれて経血として排出されますが、古い血液がチョコレート状にたまり、袋になったもの

●機能性卵巣嚢胞・機能性黄体嚢胞

機能性卵巣嚢胞はホルモンの増減による卵巣の腫れで自然に治るもの。黄体嚢胞は排卵の際に形成される黄体に透明な液体がたまり、腫れてしまう状態のこと

●皮様嚢腫(ひようのうしゅ)

嚢腫の中に、脂肪組織や髪の毛、歯、筋肉、骨の一部などが入った嚢腫。卵子の発生学的異常で、遺伝性もあり、両側に発生することも

●多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

排卵できない多数の卵胞が存在し、そのため排卵障害から月経不順が起こる病態。男性ホルモンが高くなって多毛になるケースや肥満も。糖尿病とも関連がある

●卵巣腫瘍/良性・悪性(卵巣がん)

さまざまな種類があり、表層上皮性・間質性腫瘍性索間質(せいさくかんしつ)性腫瘍胚細胞腫瘍などに大別。大きいものは30㎝を超えることも。それぞれ良性、悪性がある

●卵巣茎捻転

卵巣嚢腫腫瘍のせいで血管や組織が巻き込まれて茎状になり、ねじれた救急症状。激しい腹痛が起こり、早期に適切な治療をしないと卵巣の機能を失うことも

 

 

お話を伺ったのは

対馬ルリ子先生

対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima

1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。

ホームページはコチラ

 

八田真理子先生

八田真理子さん
Mariko Hatta

産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。

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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子

 

 

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