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マリメッコのデザイナー、マイヤ・イソラに学ぶ「自分に素直に生きる」ということ

新谷麻佐子

新谷麻佐子

あらたに・あさこ●イラストレーター&編集者。2014年にムーミンの作者トーベ・ヤンソンが暮らした島「クルーヴハル」に、友人でライターの内山さつきと1週間滞在したのをきっかけに、kukkameri(クッカメリ=フィンランド語で「花の海」の意) を結成。以後、フィンランドの小さな町や四季、暮らしと文化をテーマに取材を続けている。著書に『とっておきのフィンランド』『フィンランドでかなえる100の夢』(ともにダイヤモンド社)がある。http://kukkameri.com

フィンランド好きの人たちは3月になるのを、首を長くして待っていました!待っていたのは、3月3日より公開の映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』です。

 

マイヤ・イソラ(1927年〜2001年)は、フィンランドを代表するデザイナーであり、画家。マリメッコの顔である、ケシの花「Unikko(ウニッコ)」のデザイナーとして知られています。

 

こちらがマイヤ・イソラ。花柄のファブリックがウニッコです。

映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』のワンシーン

 

私もやっぱりウニッコが大好きで、ついつい集めてしまいます。こんなふうに!

マリメッコ、ウニッコ柄のノート、カップ、トレーなど

 

写真の他にもワンピースやブラウス、バッグ、ポーチ、折りたたみ傘などを愛用。ビビッドなカラーなら、ファッションやインテリアのポイントとして存在感を発揮しますし、優しい色合いなら、さりげなくおしゃな雰囲気を醸し出してくれます。

 

ウニッコの他に、バラの柄「Vihkiruusu(ヴィヒキルース)」や石の柄「Kivet(キベット)」なども人気です。

マイヤ・イソラの本とマリメッコのミニトレー

ひとたびマイヤのデザインに魅了されると、お気に入りのデザインがどんどん増えていきます。かくいう私もその一人で、最近のお気に入りは、馬柄の「Musta Tamma(ムスタタンマ)」と、ストロベリーマウンテンという意味の「Mansikkavuoret(マンシッカヴォレット)」。

マリメッコの小物

 

映画の冒頭でも描かれていますが、マイヤは幼い頃、「大きくなったら馬になる」と思っていたそう。私はそのエピソードが大好きで、ムスタタンマの商品を見つけると、ついつい手が伸びてしまいます。マンシッカヴォレットは、この映画をきっかけにはまりました!

 

マイヤのデザインは、シンプルに一目惚れするものも多いのですが、デザインが生まれた背景を知ると、ますます愛おしくなります。映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』では、まさに人気デザインの誕生の秘密が描かれています。

映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』のワンシーン

 

映画は、マイヤが家族に送った手紙や日記、アーカイブ写真を交えながら、マイヤの言葉で語っていくドキュメンタリー作品。そのため、マイヤ・イソラが一体どういうデザイナーだったのか、そして一人の女性としてどのような生き方をしたのか、臨場感たっぷりにいきいきと映し出します。

 

一番驚いたのは、彼女の枯れることのない才能と情熱、自分に嘘をつかない生き方です。私も絵を描く仕事をしているので、マイヤのとことんアーティストな生き方に憧れつつも、「ああ、そこまではできない!」と思ってしまうのでした。

 

マイヤは3人姉妹の末っ子として生まれ、音楽や文学、演劇など、芸術に造詣が深い家族に囲まれて育ちました。戦時中は親元を離れるなど、厳しい時代を生き抜き、1945年、18歳で結婚。19歳で娘クリスティーナを出産しますが、母のサポートの下、芸術大学へと進学。そこでマリメッコの創業者アルミ・ラティアに才能を見出され、デザイナーとして開花していきます。

 

1948年、初めての海外旅行でノルウェーへ。そして翌年にはヨーロッパ各地を回り、パリで創作に励みます。家族に宛てた手紙からも、充実した様子が伝わってきます。1952年には画家のヤーッコと再婚。二人は絵を売りながら、スペインやモロッコ、カナリア諸島などを旅しました。

 

そしてフィンランドに戻り、ヤーッコとアトリエを建てました。最初こそ、画家の夫に気を使って、隠れて絵を描いていましたが、描きたい気持ちを抑えきれず、創作に没頭していきます。

 

エネルギーの源は「旅」と「恋」

 

アーティスト、マイヤ・イソラにとって、欠かすことができないのが旅、そして恋人の存在でした。恋多きマイヤは、三度の結婚・離婚を経験。旅や移住をしては恋をし、恋をしてはパートナーと新たな土地で暮らしました。

 

中でも、本当に大好きだというパリ、楽園だという北アフリカのアルジェリア、フィンランドの森とは異なる巨大な木に魅了されたアメリカ・ノースカロライナ州のブーンは、彼女の創作活動に大きな影響を与えます。彼女はそれぞれの土地で誰と出会い、恋に落ち、創作のエネルギーを得たのか、何に心をときめかせ、何をつくり出したのかを丁寧に映し出します。

 

もちろん、すべてが順調なわけではありません。マリメッコへの不信感、最愛の人を亡くした悲しみ、自由を求め、孤独を愛する姿もありました。

 

こちらは40代のマイヤ。アルジェリアにて。

映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』のワンシーン

 

マイヤの言葉だけでなく、娘のクリスティーナが当時を振り返るシーンも目が釘づけになります。幼い頃から動物を愛した母マイヤと同じように、犬や馬と暮らすクリスティーナの日常や、マイヤもかつてそこにいたであろう家の空気までも見入ってしまいます。

 

下の写真の左側がクリスティーナです。

映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』のワンシーン

 

いくつになっても、自分の心に素直に、まさに馬のように全力で駆け抜けたマイヤ・イソラ。この映画を通して、きっと多くの、特に女性は刺激と勇気をもらうことでしょう。春の散歩を兼ねて、ぜひ映画館へお出かけください。

 

実は、ユニットのkukkameri(クッカメリ)で、この映画のパンフレットに言葉とイラストを書かせて(描かせて)いただきました! 私はイラストを担当しています。映画館で手に取っていただけるとうれしいです。

映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』のワンシーン

マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン

3月3日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー!
監督:レーナ・キルペライネン 出演:マイヤ・イソラ、クリスティーナ・イソラ、エンマ・イソラ
2021年/フィンランド・ドイツ/フィンランド語/100分/カラー・モノクロ/ビスタ/5.1ch/原題:Maija Isola 英題:Maija Isola Master of Colour and Form
後援:フィンランド大使館  配給:シンカ + kinologue

© 2021 Greenlit Productions and New Docs

 

 

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