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発酵食のおかずで介護食を! そして、母親の介護を通して自分と向き合い残りの人生を考える

胃の手術後、要介護5になった母親を、発酵食を中心とした介護食で、要介護2にまで回復させた、料理家・たやまさこさん。「介護、楽しいですよ!」と語り、ご自身の生活も充実させているといいます。無理なく、前向きに介護に取り組む秘訣とは?

お話を伺ったのは

他谷昌子
他谷昌子さん
発酵・料理家
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発酵舎mammaを主宰。「発酵は生きる力」をモットーに、料理教室や、保存食のワークショップなどを開催。微生物の分解力を活かした調理法により、消化にやさしい発酵料理を食べつくす会や、発酵を極めるオンライン講座も開催中

たやさん母の食卓
食事は朝と夜の2回。朝食をすっきり消化し、空腹感を感じてから夕食に

 

品数の多いお膳も、ストックおかずでラクチン

 

母親の食事は1日2回。少量のおかずをお膳に多種類盛り付けるスタイルです。

料理家たやさん 介護食(お膳)

手前左から ごはん・氷魚(琵琶湖の湖魚)のしょうゆ麹煮・長いもの塩麴鶏の煮もの
二列目左から 鶏レバーの生姜しょうゆ麹煮・切り干し大根塩麴煮・おぼろこぶ
三列目左から 赤玉ねぎピクルス・納豆しょうゆ麹和え・マンゴー

 

「こんなにたくさん、品数多く作るのは大変では?とよく聞かれますが、全然大変ではないんです。これらは、主に作り置きしてあるストックおかず。その日に欲しい栄養素を考えながら、ちょこちょこ出して組み合わせてお膳にのせています。忙しくて、料理する時間がない日もありますが、そういうときも、こうしたものが冷凍してあるとラクチンです」

 

たとえば、ストックおかずの定番のひとつが、「納豆のしょうゆ麹和え」。納豆に、しょうゆ麹、練りごまを混ぜてびんに。納豆は、納豆菌の作用で大豆が消化しやすくなっていますが、さらに消化しやすい状態にするよう、しょう油麹を混ぜています。また、納豆があまり好きではない母親のために、匂いが気にならないよう、練りごまを加えています。

納豆しょうゆ麹
納豆しょうゆ麹。ねりごまも加えて納豆の風味をおさえている

 

お味噌汁に入れたり、お好み焼きに加えたりといったアレンジもできて便利。細かく刻んだ野菜(にんじんや大根、菜の花など)や古漬けを刻んで入れることもあるそうです。

 

また、タンパク質豊富な高野豆腐もすぐに使えるようにしてストック。フードプロセッサーでミンチ状にし、しょうゆ麹を加えて、保存用の密閉袋に平らに入れます。こうして、シート状にして冷凍しておくと、使いたいときに必要な分だけ割って使うことができて重宝するそう。みりんとだし加えて、炒り豆腐にしたり、卵焼きに加えたり、煮物に加えたり。タンパク質のちょい足し食材として大活躍します。

 

発酵調味料
しょうゆ麹をはじめとする、麹を使った発酵調味料を多種類、使用している

 

食事も大事だけど、体を動かすことや脳を使うこともとても大事

 

「食事はもちろん大切ですが、食事だけで心身の健康を維持することはできません」と、たやさん。なにごともバランス。食事とともに、体を動かすことや脳を使うこともとても大事だと言います。

 

母親の介護生活の中には、無理なく体を動かす遊びを少しずつ取り入れているそうです。そのひとつが、風船バレーボール。腕を上げて左右の腕をバランスよく動かすことになるので、胸の両側が大きく開き、横隔膜も動いて呼吸が深くなり、心肺機能を高めるのに役立つのだとか。脳の活性化にも効果的です。

 

また、認知機能の低下予防にはカルタ遊び。耳で言葉の音を聞き取り、その音と同じ文字を目で探すという作業は、脳への伝達機能を刺激します。「とはいえ、カルタすべてをやるとイヤになってしまうので10枚ずつとか、少しずつ。『すごいね』『できたね』とほめると達成感が得られて、もっとやってみようという意欲を引き出すことができます」

 

そして何よりも脳の活性化に役立つのが、日常の何気ない会話だとか。単語のみではなく、きちんと文章を作って会話をするようにすることにも気を付けているそうです。「『トイレ』『ごはん』『お茶』といった単語だけでも十分伝わりますが、伝わるからOKとはせず、そこで敢えて『何をどうして欲しいですか?』と聞きます。単語を組み合わせて、主語、述語を整えた、きちんとした文章で話すというのは、とても良い脳トレ。相手と会話のキャッチボールをやりとりすることでさらに脳は鍛えられます。会話によって人とのコミュニケーションをとることはメンタル的にも良い作用があります」

 

さらに、会話によって「声を出すこと」ということは、のどの筋肉を鍛え、嚥下の力を鍛えるためにもとても重要だと言います。要介護5で退院したとき、母親は飲み込む力が弱く、誤嚥を防ぐために、食事はとろみ剤でとろみをつける必要があったそう。それが体力が回復し、飲み込む力が戻った今、とろみ剤は不要になり、普通の食事を楽しめるように。また「笑うこと」も、のどや口の筋肉の活性化に役立つそうです。

 

料理家たやさん 笛をふくお母様

心肺機能を高める効果が期待できる、笛のおもちゃを活用

母親の介護を通して、自分の生き方を見直す

 

たやさんは、去年の2月に父親をなくしました。介護をする機会もなく、急に他界してしまい、とても悔いが残ったと言います。「だから、今、母を介護しているのは、自分が後悔しないためなのかもしれません。あのとき、あれをしておけばよかった、なんでしなかったんだろ、って後悔するのは辛いので」と、たやさん。現在、母親を自宅で、楽しく元気に介護しています。

 

こうした話をすると「よい親子関係だったのでしょうね。うちは親子の確執があったから、介護なんてできない」と言われることもあるそう。でも、たやさん母娘も決してよい親子関係というわけでもなかったと言います。「でも、今、やっておかないと、気持ちを残してしまう。よい母娘関係ではなかったからこそ、きちんとそのわだかまりをほどいておきたいです。母と『向き合うために』介護をしているような気がします」

 

そんな介護生活では、自身の時間も大切にしている、たやさん。デイケアに行っている時間と、ヘルパーさんに入ってもらう日、姉2人にサポートをお願いする日をうまく組み合わせて、先日も沖縄に行ってきたそう。「ダラダラと自分の時間があるよりも、その限られた自由な時間でなんとかしようとするので、効率的に動くようになりますね。まず、介護する自分が毎日ごきげんでいることがいちばん大事、というのが私のモットーです」

 

そして、母親の介護をする中で、たやさん自身、「自分は最後、どう人生を終わりたいのか」ということをすごく考えるようになったと言います。親を介護する時間は、これからの自分を考える時間でもあるようです。

 

「介護は楽しいです。やりがいがありますし、自分と向き合うことができます」と、たやさん。「私も57歳。もうシニアの領域ですね。だから今、ストレッチや運動をしてきちんと自分の体をメンテナンスしたいと思っています。そして、動ける、元気な80-90歳を目指したいです」

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