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【樫出恒代さんに相談!】ゴツゴツした骨っぽい体ではなく、もっと脂の乗った体になりたい!

「太りやすくなった」という悩みを持つ人が多いOurAge世代。その一方で、痩せ型の人は「年令を重ねるにつれ、体のラインがゴツゴツ&骨ばってきた…」という悩みも。「単に、食べる量を増やせば脂が乗る、というわけではありません」とは、漢方ライフクリエーターの樫出恒代(かしで ひさよ)さん。漢方的解決策を聞きました。

 

 

 

樫出恒代
漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載「女性のための漢方救急箱」の味わいあるイラストは、本人によるもの。美容家・吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)

 

 

<お悩み>

「年齢的なものなのか、体質なのか、年々、体が骨っぽくなってきているのが悩みです。痩せているよりも“脂の乗った状態”の体つきを目指したいのです。コレステロールは増やさないように、ナッツやえごま油などはとっているものの、体に脂肪をつけるというのはなかなか至難の技。アドバイスをお願いします」(59歳・会社員)

 

<回答>

体によい成分がしっかり吸収されていますか?

 

「脾」のチカラが弱い=「胃腸が弱っている」可能性アリ

 

太って痩せにくいという人も、痩せ気味で体がゴツゴツしてきたという人も、漢方的にはじつは同じ、「脾」が弱っている状態。つまり、胃腸の働きが弱っていることが大いに考えられます。

樫出さん 五臓

 

 

「脾」は胃腸・消化器系のはたらきですが、単なる消化吸収だけでなく、体に必要なものは全身に供給させ、不要なものはちゃんと体外へ出すはたらきがあります。

 

お悩みにある「ナッツやえごま油をとっている」という食習慣について、それ自体はとてもいいことだと思います。

けれど肝心の胃腸が弱っているとしたら?たとえ良質な油をとっていても、それらの栄養分を、体はしっかりと吸収することができていません。すると肌にまで栄養を届けることもできず、体はたしかに、ゴツゴツ、カサカサした印象に。相談者さんの場合ももしかすると、栄養を吸収し、運ぶことができない状態にあるのではないでしょうか。

 

私のカウンセリングルームでも、そういう方の場合、「けっこう食べていますよ」とはおっしゃるものの……。よくよく聞くと、食事にむらがあることが見えてきます。

「朝はコーヒーとヨーグルト。昼は家にあるもので適当に、夜は一応、作っています」など。また「揚げ物は、食べると胃がもたれるので食べません」と、最初から避けている傾向も見られます。食べているとはいっても実際は、きちんとした栄養が全然とれていない、というケースが多々ありました。

 

そういった食生活が当たり前になっている、あるいはちょっと食べすぎると下痢になる(または便秘になる)、食べる気力が出てこない、という人は、「脾」のチカラに注目してほしいと思います。

 

まずは普段の食生活を見直してみましょう

 

胃腸の状態は、日頃の食生活と密接な関わりを持っています。

そこで「脾」のチカラを高める=「胃腸の吸収を良くする」第一歩として簡単なのは、最初にスープや味噌汁などの「温かい汁物」を飲み、お腹を温めてから食事をすること。それだけでも、胃腸の吸収率は上がっていきます。フランス料理や中華料理のコースメニューでは、最初に温かいスープが出てきますね。それも目的は、胃腸の準備といえるでしょう。

 

「脾(胃腸)」によいのが、かぼちゃ、さつまいも、とうもろこしなどの黄色い食べ物と言われています。体を温める食材が多いです。

そして、胃腸の負担を軽くするためには、油をつかう調理法より煮たり蒸したりして、ホクホクさせるのがいいでしょう。

樫出さん アイキャッチ

 

また、体がゴツゴツ、骨ばっている体型の方は、早食いの傾向も。いつも忙しい生活を送っていて、無駄な時間を作らないよう、つねにテキパキと動いている方が多い、という印象があります。そのため、気が急いて早食いになっているのかもしれませんが、食事の時間はなるべくリラックスして、ゆっくり、ひと口30回は噛むことを心がけるようにしてください。

漢方には、心の状態が体に現れる「心身一如」という言葉があります

 

脂の乗った体を目指し、「コレステロールが溜まらないナッツやえごま油などをとっている」という点について、少し気になったこともあります。それは、「脂が足りないから脂を」「ビタミンCが足りていないからビタミンCを飲む」というような、思い込みの習慣はないか、というところ。「足りないから足す」という西洋医学的観点とは違い、先述のように、まず「食べたものがしっかりと吸収できる体になっているか」について考えていくのが漢方的視点なのです。

 

1日3回、朝起きたときにはお腹が空いて、昼になればまたお腹が空いて、夕食時にはまたお腹が空く。そのように3食いつも、おいしく食事を食べていますか?好き嫌いなく美味しく食べて、その後は下痢をすることも便秘をすることもなく、スムーズな排泄がある。漢方では、そのような理想的な状態になってはじめて、「脾の働きが整い、体もちゃんと巡っている」と考えます。

 

文面だけではわからないのですが、相談者さんの目指す「脂の乗った体」というのは、おそらく「柔らかさや色艶のある、ふんわりとしたラインの体」ということかな、と理解しました。

 

漢方には「心身一如」という言葉があります。それは、心の状態が体に現れる、という意味。体がゴツゴツと骨ばっている状態は、もしかすると「年齢を重ねたら、柔らかい体つきでなければ!」とか、「体にいい食べ物をとれば解決!」という、少々思考優位に傾いている心の状態を表しているのかもしれません。

 

忙しい毎日の中でも余白の時間を作り、胃腸の状態にも目を向けて、心にも体にも、しなやかさを取り戻していきましょう。

 

 

取材・文/井尾淳子

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