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災害備蓄用の水や食料、どう保管するのが正解?

被災時をしのぐ水や食料の備蓄は必須。どんなものをどれくらい、どのように備蓄しておけばいいの? いつも食べているものの消費と補充を繰り返していく「ローリングストック」の正しい方法や、大量の水の保管について、防災に詳しい国際災害レスキューナースの辻直美さんに伺いました。

被災時の食料は「何が必要か」より「どう食べたいか」

食料の備蓄と聞くと、乾パンや缶詰、レトルト食品などを思い浮かべる人も多いのでは?

でも「結論から言うと、防災食に絶対的な正解はありません」と、国際災害レスキューナースの辻直美さん。

 

「よく聞くこれらの防災食は、温めなくても食べられるものが中心なんですね。

例えばグラノーラやプロテインバーなどは平時でも被災時でも食べ方は変わりません。しかし、私は冷たいままのレトルト食品は苦手。そういう人にとって『温めないでも食べられる』というものは積極的に食べたいとは思いません。だからこそ、何を用意するかというよりも『どう食べたいか』でまずは考えるのがよいと思います。

 

温かいものをおいしく食べるには、カセットコンロとガスボンベの用意は必須。お湯を沸かすことができればレトルト食品も温かい状態で食べられるし、インスタントラーメンなども調理できます。

 

キャンプが趣味で携帯用のガスコンロなどを持っている人は、それで十分です」

 

カセットコンロとガスボンベがあれば、特に「災害用」と考えなくても、普段食べているものをちょっと多めに用意しておけばOK。

 

「ローリングストックという言葉もかなり浸透してきましたが、いつも食べているものを少し多めに用意して、食べたら補充していくという方法がおすすめです。

 

ポイントは、賞味期限の近いものから手前に置いて消費し、食べたら新しいものを奥に補充していくこと。

こうして賞味期限の近いものが自動的に前に押し出されていくようにすれば、ロスしにくいです。この方法で保管場所を常に満たしておけば、災害が起きたときに慌てて『食べ物を買いに行かなきゃ!』とならずにすみますよ。

 

食べ慣れない災害食では、いざというときに食べられなかったり、心がつらくなることも。

 

また、乾パンなど『防災用』として防災リュックにしまい込んでいるものだと、久々に開けてみたら賞味期限切れ…ということもよくある話。

ロスさせずに、非常時でもおいしく食事をとるには、やはり普段から食べ慣れているものを普段から使って回すという、日常の延長に備えがあるのがベストです」

 

水はいろいろな場所に「分散保管」

水の備えは、一人当たり1日3L目安と言われます。内訳は飲用1L、生活用水2L

これを「地震10秒診断」で割り出した断水日数分用意するのが基本です。

 

「普段何気なく使っている水ですが、家庭で一人が1日当たりに使う水の量を知っていますか?

 

東京都水道局によると、221L(令和3年度)。これは平時なので水洗トイレなどの水も含まれます。

もちろん、家庭でその量を備蓄できるわけはありません。しかし自分たちが普段どれくらいの量の水を使っているか知っておくと、1日3Lは本当に“最低限”の量なのだとわかります。

 

水の備蓄で皆さんが悩むのは保管場所。段ボールのままで置いておこうとするとかなりまとまったスペースが必要になります。例えばクローゼットの奥のほうに保管してしまうとローリングしづらいですよね。

 

なので私はキッチン、リビング、寝室などの棚やクローゼットなど、家の中のあちこちに分散して置いています。

 

 

「段ボールのまま置いておける場所があればもちろんよいのですが、バラしてしまえばいろいろなところに置くことができます。しまう場所がなければ、見た目的にもインテリアを損ねないおしゃれな紙袋に入れておくという方法もあります。

 

そして食品のローリングストックと同様に1本使ったら1本買ってきて補充する、ということを繰り返していけばOK。

 

防災用のアイテムとして『5年水』『10年水』といったものもありますが、普通のミネラルウォーターよりも割高です。あと、私は5年前の水を飲むのはちょっと抵抗があるので、普通のミネラルウォーターにしています。

 

普通のミネラルウォーターの賞味期限はだいたい1年。賞味期限は「表示された容量が確保できる期限」なので、未開封で冷暗所で保管していれば1年を過ぎても飲めます。容量は少しずつ減っていきますが、普段から使い回していけば1年以内に使いきれると思います。

 

長期保存水であれば、製造から10年経過後もpH・硬度・ミネラル成分にまったく変化がない商品もあるほどです。

しかし、ペットボトルには気体透過性があるため、長年放置していると内部に空気が入ったり保管場所のにおいが移ったりすることも。できれば賞味期限内に消費してください。

 

未開封でも、飲んだり料理に使うことに抵抗があったり、開封してかなりの日数放置している水は、例えば植物の水やりや非常食を温めるための水など、生活用水として活用するとよいでしょう。

 

地震が起きたときに、どこの部屋にいるかなんてわかりません。たまたまいる部屋のドアが開かなくなって閉じ込められたり、一括保管してある物入れの扉が開かなくなったとしても家中のいろいろな場所に水が置いてあればひとまずしのぐことができます」

防災イラスト 水のストックの仕方 分散収納

 

水は容量ごとに3種類用意しよう

さらに2Lのペットボトルだけではなく、500ml、1L、2Lと3種類の容量で用意しておくのがおすすめ、と辻さん。

 

「水は一人当たり1日3Lと言われますが、これは2Lペットボトルなら1本半。

でも半分余らせて使うのって、人の心理として意外と難しいんですね。2本使い切ってしまって、その積み重ねで結局足りなくなる、ということが予想されます。

2L+1Lとか、2L+500ml+500mlとか、小分けにしておくほうが3Lをきっちり守りやすいと思います。

 

また、2Lのペットボトルだとバラしてもそれなりに大きいので場所を取りますが、500mlなら家具の隙間などさまざまな場所に置けるという利点も。

我が家では本当にいろいろな場所に置いているので、引っ越しの際に業者さんから『いろんなところから水が出てきますね~』と驚かれました(笑)。

 

試しに、一人当たり1日3Lの水で生活する、という実験をしてみるのもおすすめです。

水の大切さがわかると同時に、どうやったら水を極力使わないですむか、といった工夫を考えるきっかけにもなりますよ」

 

 

【教えていただいた方】

辻 直美
辻 直美さん
国際災害レスキューナース
公式サイトを見る
Instagram

一般社団法人育母塾代表理事。1991年、看護師免許取得。1993年「国境なき医師団」の活動で上海に赴任。帰国後、阪神・淡路大震災で実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。以降、国際緊急援助隊医療チーム(JMTDR)において国内外の被災地で活動。現在はフリーランスのナースとして講演、防災教育、被災地支援活動を行う。『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)ほか、防災関連の著書多数。

イラスト/ミヤウチミホ 取材・文/遊佐信子

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