ここはどこ? 山間に佇むモダンな建築とほっこり看板が目印の「ラムネ温泉館」
ミホ ミワさん、今回は先日の続きのお話ね。「大丸旅館」のお湯を満喫しただけじゃなくて、外湯の「ラムネ温泉館」にも行ったのよね? こちらも炭酸泉でしょ? どんなお湯だったのかしら? 興味津々!
ミワ お湯のすばらしさを語る前に、このほっこり看板とモダンな外観を見て!
↑ラムネ温泉の入り口はこの看板が目印
ミホ ロゴかわいい~♡ このゆるキャラ?の気持ちわかるわ~。温泉に入ったときの気持ちよさってまさにこのお顔ね。
ミワ イラストレーターで漫画家の南伸坊先生が描いてくださったんですって。この看板を見た時点で、もういい温泉に入った気分になって気持ちが緩んでしまったわ。
↑山間に佇むモダンな建物がひときわ目立つラムネ温泉館の外観
ミホ 建物もとてもオシャレ! ジブリ作品に登場しそうで、何だかワクワクしちゃう。
ミワ さすがミホさんお目が高い。こちらは東京大学の名誉教授で日本が誇る建築家のひとり、藤森輝信氏の建築作品なんですって。
ミホ これまでの鄙びた秘境の温泉地とは、雰囲気が全然違うわね。
ミワ 本当に! 優しい灯りが灯る夜も雰囲気がよくて。まるで童話の世界感!
↑夜のラムネ温泉館の外観
ミホ あら? ミワさん、夜、外湯に行ったのよね? 昼間の写真がたくさんあるけど。
ミワ 実は、あまりにお湯がよくて、夜も昼も行っちゃったの。日帰り温泉施設なので日中は、どこにこんなに人がいたの?って思うくらい、たくさんの人でにぎわっていたわ。
まずは体を温めるためにアルカリ成分たっぷりの「にごり湯」へ
↑洞窟のような雰囲気の内湯「にごり湯」。3つの浴槽が並んでいます
ミワ ではいよいよ温泉案内をさせていただくわね。こちらの大浴場にあるのは「にごり湯」と「ラムネ湯(高濃度天然炭酸泉)」の2種類の温泉。まず、かけ湯でしっかり汚れを落としたら、内湯の「にごり湯」で体を温めるの。
ミホ いきなり「ラムネ温泉」には入らないのね?
ミワ ラムネ温泉は32℃と温度が低め。だから、先に41℃ほどの「にごり湯」で体を温めるのがおすすめね。
ミホ 「にごり湯」も源泉かけ流しでしょ?
ミワ もちろん! 少し濁っているのはミネラル分が多いから。炭酸ガスは35℃を超えると溶けてしまうのだけれど、この41℃という高温の割に炭酸ガス量が1010ppm*も含まれているという珍しい温泉。何となく軽いプチプチ感を肌で感じられるし、体が芯から温まるわ。
*1ppmは1ℓ中に約1㎎の物質が溶けていることを表してします。
ミホ 湯温もちょうどいいし、「にごり湯」だけでも十分満足♡
ミワ 扉を開けると洞窟のような場所に内湯があるという演出もテンション上がったわ!
ミホ トルコの大衆浴場ハマムや古代ローマのお風呂みたい。雰囲気があってステキ♡
ミワ ラムネ温泉館の2種類のお湯は、「にごり湯」と「ラムネ温泉」の交互浴でより高い温泉効果が期待できるそう。だから、体が温まったら露天の「ラムネ温泉」へ移動ね。
炭酸パック級のプチプチ体験で、体の奥からポカポカ
↑自然を間借りしている「ラムネ温泉」。月日を感じる木の浴槽が風情のある空間を演出
ミホ こちらは自然の中のお風呂という感じね。
ミワ そう、使い込まれた木の浴槽の感触も、秋の風もとても心地がよかったわ。そして、高濃度天然炭酸泉パワーは、大げさではなく度肝を抜かれたの。
ミホ 度肝を抜かれる? どういうこと(笑)?
↑炭酸泉が湧き出ているのが肉眼でもよく見える
ミワ お湯につかると、プチプチ泡泡が肌に吸いついてもうお祭り騒ぎ(笑)。その量が天然温泉では文句なしの過去イチ!
ミホ まさにラムネみたいなわけね。
ミワ 作家の大佛次郎先生が長湯温泉のことを「これぞ、ラムネの湯だぜ」と世界に紹介したことから、「ラムネ温泉」の名前がついたのですって。ここは長湯温泉の中でも、炭酸ガス含有量が最も多い場所。炭酸ガス量は1400ppmという高い数値で、某有名固形炭酸入浴剤の15倍も炭酸ガスが含まれているそうよ。
ミホ それはすごい!
ミワ 前回もお話したけど、湯温が高くなると炭酸成分はお湯に溶けてしまうのね。ここの露天「ラムネ温泉」は32℃。これ以上、湯温が高くなると炭酸が溶けてしまうから、炭酸量を含んでいられるギリギリの湯温・ゴールデン温域をキープしている稀有な温泉なんですって。
↑手をお湯につけると、まるで泡が集まってくるように見える
ミホ そんなお湯をいただいたことないわ。効果的な入浴法はあるのかしら?
ミワ ここで地元の常連マダムの登場!
ミホ 大分には温泉情報を伝えてくれる地元マダムがどこの温泉にもいらっしゃるのね。
ミワ 本当にありがたいわ。「ラムネ温泉」でも私が隅のほうでぼーっとしていたら、「ここから源泉が出ているからこちらにいらっしゃい」と声をかけてくださって。そちらに行くと、そこからプチプチと泡がどんどん湧き出ていたの。思わず「わぁ~すごい」と声を出したら、マダムが「顔をつけてごらんなさい」って。
ミホ えっ? 温泉に顔をつけちゃっていいの?
ミワ それが壁にも顔をつけてOKの注意書きがあったのよ。ただし、顔も体もキレイに洗ってからつけるのは常識ね。
ミホ それでどんな感じだったの?
ミワ 最近、流行っている炭酸パックをご存知?まさに天然の炭酸フェイスパックみたいで、顔の上でプチプチ優しい泡がはじけて、一気に血流がよくなって、顔が桃色よ。
ミホ 毎日、通えたら顔までツルツルね。
ミワ そうね! マダムの方々はみなさんお肌がツルツルだったから、肌がキレイになるのは間違いないわ。そして源泉はゆずり合い。だから、新しい方が入ってきたらまたその方におゆずりして、ラムネ温泉をみなさんと楽しむ感じもアットホームでよかったわ。
ミホ 冬だとぬるくて寒くならないかしら?
↑広々としたサウナ室。シャワーで汗を流したら、露天の「ラムネ温泉」へ
ミワ サウナも完備されているから、サウナとラムネ温泉の交代浴もおすすめね。
ミホ 水風呂変わりにラムネ温泉! それは贅沢ね。
ミワ 「ラムネ温泉」は湯温は低めだし、入ってすぐに温まる温泉ではないのね。炭酸泉の効能でまず血行がよくなって、その後じわじわと体が温まってくるタイプ。冬なら「ラムネ温泉」の仕上げにもう一度「にごり湯」を浴びれば、体がポカポカ。私が伺ったのは9月末だったので、山の中の夜は少し寒いと感じたけれど、「ラムネ温泉館」の帰りは浴衣1枚で帰れるほど体が温まったわ。
ミホ ミワさんは夜も昼も入ったのでしょ。一日中入っていられそうね。
ミワ 温泉成分がパワフルなだけに、入浴時間は長くても40分、一日に2~3回までにおさえたほうがいいそうなの。
ミホ 効能が高い温泉ほど、長く入ればいいってもんじゃないのよね。
↑家族風呂にも2種類のお湯を楽しめる
ミワ 今度行くときには、「にごり湯」と「ラムネ温泉」ひとりじめ? 家族じめ? できる家族風呂に入りたい!
ミホ それもいいわね。気のおけない友人同士でおしゃべりしながら入るのもいいわ。
ショップ、美術館、湯上り後も「ラムネ温泉館」を満喫
↑建物の庭にある飲泉所。ぜひ湯上りの1杯にトライして!
ミワ 温泉後には飲泉水で体の中にも炭酸泉を注入(笑)。
ミホ おいしいの?
ミワ 鉄製の文鎮を舌にのせた感じ(笑)。おいしいとはいえないけれど、外から、内から炭酸泉を浴びたおかげで、翌日は快腸でした。
ミホ それはおめでとうございます(笑)。
↑ラムネ温泉館とゆかりのある文豪・川端康成氏や高田力蔵画伯作品などを展示した2階の美術館。時には館内で猫に出会えることも!
ミワ 二階には美術館も常設していて、帰りがけにゆったりするのもおすすめ。オリジナルグッズが可愛くて、Tシャツとミホさんには温泉のタオルをお土産に買ってきたわ。
ミホ まぁ、ありがとう! ミワさん、すっかり「ラムネ温泉館」にハマってしまったのね。
↑ショップにはつい買いたくなるオリジナルグッズがたくさん! オンライン販売もあるそう
ミワ 温泉好きの方なら、あのプチプチ感はクセになること間違いなし! ミホさん、今度はいっしょに家族風呂に行きましょう。
DATA
ラムネ温泉館
住所 大分県竹田市直入町大字長湯7676-2
電話 0974-75-2620
営業時間 10:00~22:00
休館日 毎月第1木曜日(1月と5月は第3水曜日に移動)
料金 大浴場大人(中学生以上)500円、小人(3歳から小学生)200円、3歳未満無料
家族風呂 1室1時間2000円
【ミホ&ミワ プロフィール】
ミホ
健康、医療、美容、ダイエットをテーマに雑誌やWEB、書籍で執筆するヘルスケアライター。ワインエキスパートの資格あり。20年以上前に温泉ソムリエを取得。温泉と酒と鉄道をこよなく愛す。特に秘湯が好きで、過去に「日本秘湯を守る会」のスタンプ帳を2回コンプリートした経験あり。最近ハマっているのは推し活(平野紫耀くん強火担・Number_i箱推し)。
ミワ
ダイエット、美容記事のほかトラベル媒体でラグジュアリーホテル、宿の取材歴多数。健康と美容と旅を追求するヘルスケア&トラベルライター。温泉好きが高じて温泉ソムリエを取得。温泉とマッサージと猫をこよなく愛し、いいお湯を求めて、全国の温泉を渡り歩く。
取材・文/山本美和