これは私が24~25歳の頃に悟ったことです。ある晩、青年誌系の人たちと飲んでいたら、私の聞いたことのない単語が出てきました。それまでは、わからないことがあっても「そんなことも知らないのか!?」ってバカにされるのが嫌で、適当に話を合わせたりしてたんですね。
でも、その日は飲みすぎて話を合わせるのが面倒くさくなっちゃって(笑)。やさしそうなおじさんに、「それってどういう意味ですか?」と聞いたんです。そうしたら、バカにするどころか、とっても丁寧に教えてくれて。
しかも飲んで家に帰ったら、電話が鳴るので出たら、そのおじさんで、「さっきのことだけど、言い忘れたことがあって」って、さらに説明してくれました(笑)。
それで知りました。男は教えるのが好きなんだと(笑)。以来、知ったかぶりはやめて、わからないことは何でも人に聞くようになりました。『有閑倶楽部』のときなんて、どれだけみんなに電話して、あれコレ聞いたことか(笑)。でも、聞くことを覚えたおかげでブレインが増えて、スランプにも陥らずに描くことができました。
年齢を重ねると、知らないことを人に聞くって、恥ずかしくて躊躇するかもしれません。とくに甘えるのが苦手な人はそうですよね。でも、「ちょっと甘えてま~す」という雰囲気を出して、上手に聞くことができる人は、きっと仕事もデキる人だと思うので、わからないことを人に聞くというのをたくさんやって、テクニックとしてマスターしておくと役に立ちますよ。
「バカだなぁ。マジで知らないの!?」みたいにひとこと言う人もいますが、そこでいちいち「バカにされたー!!」と思わない。人は本当にバカだと思った人には、バカと言いませんからね(笑)。きっと親切に教えてくれるはずです!!
ちなみに私は「知ってたら聞きませんよ」って言います。
「天使のツラノカワ」コーラス1999年8月号刊扉
取材・文/佐藤裕美