広く浅く知識がある人は、バブル時代には重宝されました。流行に敏感だとか、いいお店を知ってるとか、そういう情報が以前は貴重だったわよね。
でも、今はネットで検索すれば、何でも情報が出てるから、広く浅い人はあまり必要とされなくなっちゃったのよね。代わりに今、求められてる人材はオタク。興味の幅は狭いけど、ひとつの分野に深く精通している人。最近は就職試験でもそういうタイプが人気らしいのよ。
オタクって頑固だから、自分の好きな分野に関しては、相手が誰だろうとはっきり意見を言うのよね。上司に対しても「それは違いますよ」って容赦なく言えちゃう。扱いにくいけど、忖度がないから、それがいいらしい。
私もオタクなので、デビューの時からハッキリ自分の意見を言って…集英社も扱いにくかったであろう。
もちろんコミュニケーション能力が高くて、要領のいい人は営業なんかには必要だけど、イエスマンばっかりだとこの時代、会社もどん詰まりしてますからねえ。
ようは、自分なりの個性を持っている人じゃないと生き残れない時代になってきたってことですね。この先、AIに仕事を奪われないためにも自分の感性をもっと磨かねば、世の中に捨てられますよ(怖)。
「天使のツラノカワ」コーラス2000年10月号扉
取材・文/佐藤裕美