気持ちよく暮らす「生活のしきたり」
しきたり74:歩道と車道の区別もない狭い道では、気持ちよく譲り合う
季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!全部で84の「しきたり」を生活研究家の阿部絢子さんが教えてくださります。
このパート【気持ちよい暮らしをするための、社会生活の「決まり」】では、暮らしを快適にするためのしきたり68~77をご紹介します。
●気持ちよい暮らしをするための、社会生活の「決まり」●
気持ちよく、暮らしを快適にするための、社会を緩やかにかたちづくっているルールがあります。このルールは、誰が決めたわけでもないのですが、いわば長い歴史の常識がつくり上げてきたようなもの。それに逆らって暮らしても、きっと心地よさは得られないでしょう。少々はずれても、大きく添っていれば気持ちよく、暮らしていられるはずです。そんなルールを社会マナーとでも呼び、私たちはうまくルールに合わせてきました。
イラスト/みひらともこ
しきたり74
歩道と車道の区別もない狭い道では、
気持ちよく譲り合う
人間とは自分に都合よく解釈したり、勝手に判断したりする生き物です。自分が自転車、自動車に乗っているときは、歩行者は危険だ、自転車の気配にすら気がつかない、歩道でそんなに並んで歩いては迷惑だ、のんびり歩かれては自転車は進めない、自転車で車道を走っては自動車の邪魔など。
一方、歩行者になると、そんなスピードで突っ込んでは危ない、交差点でどっちに曲がるか手をあげてよ、混雑してるんだから自転車降りて歩いたらなど、お互いに、勝手な言い分を持っています。
自転車はあくまでも軽車両なので、法律上は車道を走るのが原則です。例外的に、車道の幅が狭いのに、交通量が多い、道路工事や縦列駐車がある、などの場合は歩道走行が認めらています。
確かに、歩道、自転車道、自動車道がハッキリと分かれている国と違い、狭い道が多いですから、歩行者、自転車、ベビーカーやキャリーカーまで加わり、狭い道がよけいに狭くなり、歩きづらい、走りにくいといったことが起こっています。そして、狭いからこそ起きている事故もあるのです。
歩道と車道の区別もない狭い道路を走るとき、自転車はなにより歩行者、キャリーカーやベビーカーなどに気をつけなければなりません。互いに譲る覚悟を持って、スピードは出さない、急がない、追い越しはしない、坂を急スピードで下りないなどに心がけ、ケガのないよう、通行者にもケガさせないようにします。
また、当然のことですが、特に夜の運転には注意します。黒っぽい衣類を着ている歩行者は見えにくいのでゆっくり走る、前を歩く人に注意を促すベルもできるだけゆっくりと鳴らす、交差点ではスピードを落とし、歩行者を確認するなどです。
自転車を利用するのは早く目的地に着くためではあるのですが、スピードを出して歩道を走るのは危険です。それは歩道には必ず歩行者がいるからです。もし、急いで目的地に到着したいなら、自動車道を走ることです。私は、人的な労力によるか、機械的労力によるかの違いだけで、動く道具としては、自転車も自動車と一緒という考え方をしています。
※法律上、自転車は軽車両。車道走行が原則、歩道走行は例外です。
何を使ったとしても、いえ、たとえ歩いたとしても、急いでスピードを出すのはよくないこと。気持ちよく道路を使うには、互いの存在を認め、狭い道を互いに譲り合って歩き、走りたいものです。
次回は、しきたり75:公共トイレは次に使う人のことを考えて、始末する、についてご紹介します。