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ねぶた祭りと青森観光で日本の夏を堪能

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。

2019年、令和元年の夏も終わりました。今年の夏は、梅雨がなかなか終わらず、明けたと思ったら突然強烈に暑くなるという不思議な気候でしたよね。

そんな中、短いお休みを取って、友人たちと、青森のねぶた祭を見に行ってきました。

実はわたし、ねぶたを見るのは、これが2度目。1度目は、青森のねぶた、弘前のねぷた、五所川原の立佞武多を三つ見るツアーに参加しました。ねぶたも立佞武多も小雨の中決行され、想像していた以上の迫力に圧倒されました。弘前では不幸な事故があり、ねぷたの運行が中止になってしまったのですが、それでも、ねぷたを展示する「弘前ねぷたの館」という施設内で、お囃子などの実演を見せていただき、そのすばらしさを体感することができました。その結果、ねぶた、ねぷた、立佞武多の大ファンになり、「また来年も来るぞ」と思ったのですが、なかなか果たせず、それから5年が過ぎた今年、やっと青森のねぶただけを見に行くことができたのでした。

まずは、簡単に、ねぶたの歴史と、ねぷた、立佞武多との違いをご説明します。

 

ねぶた祭りは全国各地にある土着の七夕祭りが発展したものと言われ、現在のような歌舞伎などを題材にした灯籠が登場したのは、1800年代初頭。大正末期から昭和初頭にかけては、化人(ばけと 扮装をしてねぶたとともに練り歩く人)が大流行しました。そして、技術の発達、観光化とともに、どんどん巨大化していったのです。

 

次に、ねぶたとねぷたの違いについて。青森のねぶたが立体的なのに対し、弘前のねぷたは立体的ではなく、扇型の灯篭の上に絵が描かれています。しかし、形の違いによってねぶた、ねぷたと呼び名を使い分けているのではなく、単に地域によって呼び方が違うだけのようです。

 

五所川原の立佞武多も、まったく形状が違います。青森のねぶたが横に広がる形ですが、立佞武多は上に高く伸びた形で、大きなものだと20メートル以上もあります。これがのっしのっしと運行する光景は、特殊効果の映画でも見るかのような迫力です。掛け声も、青森は「ラッセラー」、弘前は、「ヤーヤドー」、立佞武多は「ヤッテマレ」。それぞれ個性があって、見比べると本当に楽しいです。

ねぶた祭りの日程は、曜日に関係なく、毎年8月2日~7日に決まっています。他の地域でも、微妙に日程が違いますが、ほぼ、同じような時期に数日間行われるので、今日は青森、明日は弘前というように、祭りを見ながら旅をすることも可能なのです。ただし、その場合、問題になるのが宿です。祭り期間中は、市の中心部のホテルはどこもすぐ満員になるし、値段も当然跳ね上がります。三つの祭りを見るツアーは、値段が高いものだと街なかのホテルを確保している場合もありますが、多くは、離れた場所のホテルや旅館に泊まるので、祭りを見てから帰ると深夜になったりします。ねぶたに限らず、祭りや花火見物のツアーに参加する場合は、どこの宿に泊まるのかをよく見て選ぶことが大切です。

 

それでは今回、わたしたちは、どうやって宿を確保したのか。

実は、1年くらい前から、青森在住の知り合いの方にお願いしてねぶた会場近くのホテルを予約してもらったのです。行き帰りが楽でとてもよかったですが、普段だったら1万円くらいのシティホテルが数倍の値段になっていたのが驚きでした。

夕暮れ時に合図の花火が鳴り、いよいよ運行のスタートです。

こんなにたくさん、どこから集まったのかと思うほどの人、人、人。

 

ねぶたを作る工程は、まず、全体の構想を練って下絵を描き、顔、手などの細部の細工から作り始めます。次に支柱を立てて骨組みを作り、電気配線をして内部に電球を取りつける(1000個以上)、骨組みに紙を貼り、墨で顔などを描き、色を塗って仕上げるという気が遠くなるような作業です。

前だけでなく、横から見ても、後ろから見ても美しく見えるように設計されています。

大型ねぶたのような華々しいものばかりでなく、前ねぶたという小さなものもあり、素朴な味わいです。

こちらは、伝統的な金魚ねぶたをモチーフにした小さいねぶたです。

誰でも「跳人(はねと)、「化人(ばけと)」として行列に参加することができます。ただし、服装を整えることが大切。跳人は、この写真のように、浴衣を着て襷をかけ、花笠をかぶった姿が正装で、街なかの店でも入手できます。でも、ただ歩いているだけじゃダメ、ラッセーラーの掛け声に合わせて、跳びはねなければ跳人とは言えません。化人は、その名の通り何かに化けた人で、派手なお化粧と服装で仮装して練り歩きます。これも古くから歴史のあるものです。

 

 

青森ねぶた祭オフィシャルサイト

https://www.nebuta.jp/

祭りを存分に楽しんだ翌日は、ちょっとだけ青森県内を観光してみました。

まずは、石川さゆりの津軽海峡冬景色でもおなじみの竜飛岬を訪ねました。歌碑があり、スイッチを押すと歌が流れるようになっています。

本州最北端の岬で、晴れていれば北海道の山々が見えるようですが、この日はあいにくガスがかかっていました。

気候が冷涼なためか、8月上旬で、まだアジサイが満開です。岬が一面アジサイだらけでそれはもう美しく、同行の友人曰く、「鎌倉のアジサイよりすごい」とのこと。

十和田湖にも足を伸ばしました。

湖面が静かで、眺めていると、心が穏やかになります。

十和田市現代美術館にも行ってみました。

十和田市が推進するアートによるまちづくりプロジェクト、Arts Towada(アーツ・トワダ)の拠点施設として2008年開館した現代美術館で、十和田市官庁街通りに位置しています。「アートのための家」というコンセプトのもと、一つの作品に一つの展示室が設けられており、通りからも作品を見ることができる開放的な作りとなっています。向かい側の広場などにも、草間彌生をはじめとするさまざまなアーティストの作品が野外に展示されています。

こちらは美術館の象徴のひとつである、《フラワー・ホース》という作品です。韓国のチェ・ジョンファというアーティストの作品で、この美術館のある官庁街通りには、戦前、旧陸軍軍馬補充部が設置されており、「駒街通」という名で親しまれていたことにちなみます。

奈良美智《夜露死苦ガール2012》 撮影:小山田邦哉

 

これは、建物の壁に描かれた《夜露死苦ガール2012》 という作品。作者の奈良美智さんは青森県弘前市の出身です。

 

十和田市現代美術館の公式サイト

http://towadaartcenter.com/

 

 

帰りは、新幹線の七戸十和田駅から。楽しかったねぶたの旅。また近いうちに必ず来て、次こそ弘前のねぷたも見たいです。

 

 

 

吉田さらさ

公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

個人Facebook

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