HAPPY PLUS
https://ourage.jp/odekake_joshigumi/371738/

美食家に人気の銀座「すがの」でこの上なく美味しい鴨を堪能する

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

記事一覧を見る

こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。

 

今回は、わたしがこよなく愛する食材「鴨」を心ゆくまで味わえるお店「銀座すがの」をご紹介します。2022年に開店以来、食通の間で人気となり、この秋から第二章の幕開けとして、「⽟鋼鉄板」で焼き上げる“鴨”を軸としたお料理の提供を開始しました。

「玉鋼」(たまはがね)とは日本刀の原材料で、日本の古式製鉄法で作られる鋼の一種です。

こちらのお店では丹後地方の刀鍛冶の方に特別注文してこの玉鋼で鉄板を作ってもらい、それを使って鴨を焼きます。この写真の左側が玉鋼、右側が玉鋼鉄板。そしてそれを持っている方が店主で料理人の菅野功一さんです。

 

菅野さんは大阪生まれ。15歳から料理の道に入り、数々の名店で腕を磨きました。そして2022年に「すがの」を開店。全国のさまざまな⾷材を取り扱う中で出会ったこの上なく美味しい鴨を「⽟鋼鉄板」で焼き上げる “焼き鴨(お狩場焼)”を主体としたコースを新たに提供することになりました。

 

⽟鋼鉄板は鉄密度が⾼く、熱を保ちやすいため、ふっくらジューシーに焼き上がるのが特徴とのことです。

 

こちらが今回焼いていただく鴨です。うかがったのは10月で、まだ天然鴨の狩猟シーズンに入っていなかったので、限りなく天然に近い育て方をした養殖の鴨が使われています。部位により油の入り方や繊維の方向などが違うのがわかりますね。

 

店主さん自ら書かれた本日のお品書き。鴨だけでなく、この日に入った最上の食材を使った料理が次々に供されるため、日によってお料理は違います。

おまかせでお値段は3万円。これに松茸が加わると4万5千円になります。

 

メインが鴨ということで、まずは魚を使ったお料理が5品ほど出てきます。こちらは葱鮪。表面を少しだけ焼いた半生の鮪をトロリとした御汁に入れて、葱と生姜をトッピング。つまりこれ、江戸料理のねぎまです。

「日本料理はとかく京料理を真似ることが多いけれど、ここは東京だし、お江戸の料理も取り入れたいと思いまして」と菅野さん。なるほど、そうすれば一般的な懐石料理とはまた違った味も楽しめますね。

 

こちらは紅殻菱蟹。北海道の渡り蟹を醤油に漬け、ウニをたっぷりとかけてあります。

10月はまだ松葉ガニなどが解禁になっていないのですが、渡り蟹も独特のねばりけがあってとても美味。豪快に手づかみでいただきました。

 

いよいよ焼き鴨の始まりです。まずは胸肉。「繊維に垂直に切る」、「繊維に平行に切る」の二種類の切り方で食感が違うのがわかります。大根おろし、かんずり、粒胡椒と塩の三つの薬味があり、味変も楽しめます。

わたしは粒胡椒と塩が一番好きでした。箸休めにミョウガの甘酢漬けも添えられています。

 

そしていよいよ、菅野さんが言うところの「メシハラ」が始まります。

菅野さんは料理の基本はごはんを美味しく食べることと考えており、すでにおなかいっぱいかも知れないと思っても、ごはんものはどんどん出す方針なのです。それがメシハラ。わたしもごはん好きなので、これは大賛成です。

ちなみにこちらは、鴨そぼろの炊き込みごはん。大きな土鍋でどっさり炊くので、美味しさひとしおです。

 

お米は福井県の三方五湖の近くにある「たごころ農園」から取り寄せたコシヒカリを使い、お客さんが来る一時間前に玄米から精米しています。「たごころ農園」のお米は湧水米といって、雪解けのミネラルを含んだきれいな水を直接田んぼに引き込んで育てられています。

 

メシハラ第2弾は親子丼。先ほどの鴨そぼろごはんの上に鴨の卵で作ったとろとろの餡をかけています。鴨そぼろに鴨の卵だから親子です。

 

左が鴨の卵、右が普通の鶏の卵。鴨の方が1・3倍ほど大きいです。鴨の卵は黄身も大きくて、味が濃いのが特徴です。鴨の卵が手に入らない日は、もちろん、親子丼は出しません。鶏の卵で代用したら親子にはなりませんから。

 

メシハラのラストは鴨煮麺。鴨はダシもすごく美味しいので、どれだけおなかいっぱいでもこれは欠かせません。

 

デザートも二品。蕨餅とシャインマスカット入りのおぜんざい。どちらもすべて手作りで、蕨餅はその場で練って作ってくださいます。たいへん美味しく、「もしやこれもデザハラか?」と思いながらもつるつると食べてしまいます。

 

秋の夜長の満腹美味体験。

これからシーズンが深まると、本格的な蟹料理もメニューに加わります。楽しみですね。

 

 

銀座すがの

東京都中央区銀座8丁目7ー7 JUNO銀座誠和ビル3階

03-6263-8873

営業時間 第一部18:00~ 第二部20:30~

定休日 不定休

インスタグラム

 

𠮷田さらさ 公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

個人Facebook

https://www.facebook.com/yoshidasarasa

イベントのお知らせFacebook

https://www.facebook.com/yoshidasarasa2


おでかけ女史組の正しい楽しみ方
おでかけ女史組 キーメッセージ おでかけ女史組 キーメッセージ
<前の記事

<前の記事
第217回/生誕130年記念 北川民次展─メキシコから日本へ メキシコの大地と人々のエネルギ…

この連載の最新記事

美食家に人気の銀座「すがの」でこの上なく美味しい鴨を堪能する

第218回/美食家に人気の銀座「すがの」でこの上なく美味しい鴨を堪能する

生誕130年記念 北川民次展─メキシコから日本へ メキシコの大地と人々のエネルギーを 描いた日本人画家

第217回/生誕130年記念 北川民次展─メキシコから日本へ メキシコの大地と人々のエネルギーを 描いた日本人画家

埼玉県の秘境、竹寺で風流な精進料理をいただく

第216回/埼玉県の秘境、竹寺で風流な精進料理をいただく

この連載をもっと見る

今日の人気記事ランキング

OurAgeスペシャル