おうちで楽しむ、京の味と物
新型コロナの蔓延で落ち着かない日々が続きますね。旅行はまだだけれど、おうちにいながら京都気分に浸れる、『おうちで楽しむ 京の味と物』をご紹介しています。インターネットや電話などで、全国どこからでも注文できます。
第25回
最中の専門店の香ばしい味をおうちで味わう「種嘉商店」
移動の自粛がまた求めらるようになった今、おすすめなのが、ほっこりする甘いもののお取り寄せ。
2020年に堺町御池通が交差する北にオープンした「種嘉商店」は、京都でも珍しい最中の専門店。そもそもここは、創業昭和22年の最中の皮を作る工房なのです。
京都の多くの和菓子店に並ぶ最中ですが、実は、そこに並ぶ最中の皮は、昔から専門店に依頼し、その店ならでは形やデザインで作られているのです。
「へぇ~そうだったんだ~」と、友達と共に訪れ、その事実を知りました。誰もが食べたことがある最中ですか、その皮の材料や作り方をご存じでしょうか?あまりに身近すぎ、今まで考えたこともありませんでした。
そこで特別に最中の皮づくりを見学させていただくことに…。
店の奥にある工房では、三代目店主の舟越さんが、大きな機械の前で休む間もなく手を動かしています。
「最中の皮は、もち米粉を蒸して、ほどよい弾力になるまで搗いたものを使います」と。
あらかじめ工房で作られた柔らかめの餅のような種を、皮の型に合うようにカットします。
厳選された滋賀県産の羽二重餅米粉を使用。原料で、皮の美味しさは変わるのだそう。
今回、見学時に焼かれていたのは、ここのお店ならではの新しい最中の皮で、有機ナッツのクルミ、アーモンド、カシューナッツを砕いて練り込んだもの。だから生地に少し色がついていますが、一般的な生地は、もち米粉の白い姿のままだそう。
小さくカットされた種は、一定のスピードで動く焼き型にセットされます。
「あの~こんなに小さくていいんですか?」と思わず伺いました。
「はい、型は上下で圧縮するようにかぶさり、その力で種が伸びて、全体に行き渡るんです」と。もち米に含まれるでんぷんは、焼きもちや煎餅でもわかるように、焼くと空気を含み膨張します。それが最中の皮のサクサクした食感をもたらします。ちなみにアイスクリームのコーンも、同じようにトウモロコシのでんぷんが膨張したものです。
ガスバーナーで熱せられた型は、ちょうど1周すると程よい焼き具合で、元の場所に戻ります。次々にできる香ばしい最中の皮。「どうぞ~」と特別に焼きたての最中の皮をひとつ頂きました。「美味しい!」と思わず声を…。餡の美味しさが最中のカギだと思っていた私ですが、皮自体がこんなに美味しいとは…感激の瞬間でした。
お店では、その日に焼いたサクサクの最中の皮に、注文後、餡を詰めた最中がいただけます。
時間が経つと、どうしても皮は、餡の水分を吸収して、サクサク感は減退してしまいます。「最中の皮の美味しさを、もっと楽しんでもらえたら…」という思いから、工房をイートインスペースのある店に改装し、最中の販売を始めたのだそう。
「今までは、和菓子店に納めていたので、直接一般のお客様の声を聞くことはありませんでした。初めは店をやることに戸惑いも感じましたが、『美味しいですね!』というお客様の声を直接伺い、こちらも嬉しく、励みになっています」と舟越さん。
最中の餡は、北海道産小豆を丁寧にふっくら炊き上げた種嘉オリジナルの粒餡。さらにより味のバリエーションを豊かにしたのが、キャラメリゼしたクルミやペースト状に挽いたアーモンドや落花生との斬新な組み合わせ。コーヒーなどにも合う新しい最中です。
「昔は、すべて手で皮を焼く作業をしていたんですよ」と舟越さん。店の一角には、その当時の型が展示されています。機械化が進んでも、職人の技は必須。「気温や湿度の変化などで焼き具合が微妙に異なり、それを見極めながらの作業なんです」と。
香ばしい最中の皮の美味しさを味わっていただこうと、お取り寄せセットも開発。おうちで餡やペーストを皮で挟めば、お店同様の美味しさ満喫できる最中の完成。自分好みの餡の量の調整も可能です。餡だけでなく、アイスクリームなどを挟んでも…。
贈り物にも人気だそう。
お店のイートインスペースでは、善哉や最中アイスも楽しめます。
京都にいらっしゃるときは、ぜひ立ち寄ってはいかがでしょう。それまでは、お取り寄せで本場の味をどうぞ~。
種嘉商店
京都市中京区車屋町通二条下ル仁王門突抜町317
☎075-201-3016
営業時間 11:00~17:00 定休日 木・金・土曜
お取り寄せはホームページから
小原誉子のブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」