おうちで楽しむ、京の味と物
京都では緊急事態宣言が解除されたものの、再拡大も懸念され、まだ遠方から訪れるのには慎重でありたいですね。おうちにいながら京都気分に浸れる、『おうちで楽しむ 京の味と物』をご紹介しています。インターネットや電話などで、全国どこからでも注文できます。
第32回
アイディア次第でいろいろ楽しめる唐紙づくりキット「キラレ Kira Let’s」
「唐丸」(京からかみ丸二)
京都の伝統工芸のひとつ「京唐紙」は、雲母(きら)の品格ある輝きから、襖などの装飾として、日本家屋の設えには欠かせない素敵な伝統の技です。その文様は、人々の幸せを願う吉祥文様で、それを目にするだけで、心が穏やかになるよう…。長い歴史の中で、色あせることなく愛され続けるデザイン性の高さには驚くものがあります。
さて今回は、そんな「京唐紙」の素晴らしい伝統文様を身近に楽しめる唐紙づくりキットの「キラレ Kira Let’s」(4,950円)をご紹介します。版木1枚、絵具(キラ)、パッド、刷毛、無地ハガキ6枚がセットされ、手軽に唐紙文様のハガキが作れる優れもの。
オンラインショップで注文できるこのキットを販売するのは、「京からかみ丸二」。江戸時代に作られた版木など、さまざまな種類の貴重な版木を数多く所蔵し、多くの茶室、座敷などの襖紙を手掛ける数少ない唐紙専門店のひとつです。
「キラレ Kira Let’s」にセットされた版木は、朴(ほう)の木に、唐紙の伝統文様を使いやすいサイズにアレンジし、機械でシャープに彫りあげたもの。未来永劫平穏を願う「青海波」、繁栄と長寿を意味する「」、円満と家運隆盛を込めた「花輪違い」の3種類。いずれも古くから人々に愛された吉祥文様で、そのうち1枚を選べます。
さて、使い方も簡単…
まずは、80度ほどのお湯で、トロトロになるように絵具を溶き、付属のパッドの表面に伸ばします。
パッドの絵具をのせるような感じで、版木に置いていきます。
版木に合わせるようにハガキをのせ、その上を優しく円を描くよう指を動かします。
ここが、バレンを使う版画などと違う点。手で摺ることでふっくらとした味わいが生まれます。
紙の一部を押さえながら、半分めくり、その下の版木に絵具を再びおき、二度摺りをします。
反対側もこの作業を繰り返します。二度摺りをするのも唐紙ならではの手法。
絵具が湿っているときは、あまり目立たない文様ですが、乾くと雲母(きら)独特の輝きが現れます。
表面がコーティングされた紙は、絵具がのらないので使用できませんが、ハガキ以外にもさまざまなものに応用できるのも嬉しいこと。
例えば、名刺…版木の一部を使い、好みのサイズで唐紙文様が摺れます。
白一色の名刺に、いっそうの特別感がもたらされるもの。
絵具は、水性のスタンプパッドの使用も可能。いろいろな色が楽しめ、応用範囲も広がりそう。
使用後は、版木を水洗いして、表面の絵具を落とし、陰干しを忘れずに…。
版木1枚あれば、いろいろなもので伝統的な吉祥文様を楽しめますが、一度、唐紙づくりの楽しさを体験すると、他の文様も欲しくなってしまいます。
「京からかみ丸二」直営のショップ「唐丸」の店内には、さまざまな種類の木製スタンプや版木が揃っています。お気に入りの文様をぜひ見つけたいもの…。
「唐丸」では、工房で本格的な唐紙づくりも体験できます。京都の旅にぜひ…。
まだ京都までは…という方に、まずは、唐紙づくりキット「キラレ Kira Let’s」でおうち時間をより充実したものに…。そんな思いを込めて、今回、ご紹介しました。
唐丸(京からかみ丸二)
京都市下京区高辻通柳馬場通西入ル泉正寺町460
☎075-361-1324
営業時間:10:00~17:30
定休日:月・日曜・祝日
小原誉子のブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」