こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
今回は、東京のど真ん中で自然の美しさを体感する素敵な展覧会のご案内です。
東京ドームシティ内にある「ギャラリー アーモ」は、
いつも、ちょっと面白い視点のイベントを開催してくれるお気に入りのミニ美術館。
今回は、こちらで、『NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO』という不思議なタイトルの展覧会が行われると知り、行ってみました。
けれど、このタイトルだけ見ても、内容がよくわからない。
アクアリウムとは、熱帯魚を飼うための水槽のことだと思うのですが、
そもそもそれは、美術品なのでしょうか。
しかし、会場に行ってすぐ、わたしは、水草と魚たちが織り成す美しい世界に魅せられてしまったのでした。
寡聞にしてこれまで存じ上げなかったのですが、この展覧会は、天野尚さんという、世界的にも著名な水景クリエイターの作品と、そのお弟子さんたちの作品で構成されています。
こちらが天野尚さんです。天野さんは大判カメラを駆使して主に水のある自然風景を撮る写真家としても知られていました。
実は2015年に亡くなられているのですが、お弟子さんたちにその意志と技術は受け継がれています。
経歴を読んで驚きました。
なんとこの方は競輪選手としても活躍され、その傍ら、世界中を巡って素晴らしい写真を撮り、アクアリウムを芸術の境地にまで高める活動をなさったのだとか。
そんなすごい人のことを、今まで全然知らなかったなんて!
天野さんが日本及び世界各地で撮影された写真が特大パネルで展示されています。
水をはじめとする自然の細部までクリアに写されており、見ていると、まるでその場にいるような不思議な感覚に捉われます。
肉眼で見るよりも美しいのではないかと思うほどの水の流れ。
水墨画のように幽玄な巨樹の写真。森に立ち込める霧の細かな水滴まで感じられます。
こちらは、天野さんの遺作となった、ポルトガル、リスボン海洋博物館の巨大アクアリウム「水中の森」を写したもの。
これも、まるでその場にいるかのような動きのある写真です。
後半には、この展覧会のために制作された実際のアクアリウムが展示されています。
ぐるりと回って観られる「ネイチャータワー360°」が圧巻です。
熱帯雨林の8つのエリアの自然を再現したもので、水中だけでなく、地上の植物も植えこまれています。
霧が流れ落ち植物が生い茂る様子を眺めていると、本物のジャングルに迷い込んだかのような気分になれます。
天野さんの意志を受け継ぐ5人の水景クリエイターたちの個々の作品もあります。
それぞれのテーマにしたがって植えこまれた水生植物のまわりを泳ぐ小さな魚たちに心癒されます。
こちらは、お弟子さんのひとり、荒木大智さんとその作品です。
天野さんが設立された会社が新潟にあります。
これらの作品は、まずそちらで各自のイメージにしたがった植物を植え込んで形よく育て、いったん水を抜いてからここまで運んできて、水と魚を入れるという手順で設置されています。
荒木さんは、高校生のころからアクアリウムの世界的アーティストである天野さんに憧れ、念願かなって天野さんの会社のスタッフになりました。
遺作となったリスボン海洋博物館のメンテナンスを任されたことがとても光栄だったと語ってくれました。
この写真の真ん中あたりに、小さなエビがいるのがわかりますか。
実はこれは、水中の余分な汚れを食べてくれる掃除屋さんの役割をしています。このエビを入れると水をきれいに保てることを発見したのも天野さん。
「だからこれはアマノ・シュリンプという名前で世界中に知られているのです」と荒木さんが嬉しそうに教えてくれました。尊敬する師匠の技術を伝承して作品を作れるなんて、本当に素晴らしいことです。
ミュージアムショップには、自宅でも小さなアクアリウムやテラリウムを作って楽しむための素材がいろいろ売られています。
会期中の土・日・祝日にはガラスポットを使って小さな自然を作り上げるミニバルダリウム作成のワークショップもあります。
NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO
東京ドームシティ内ギャラリー アーモ
詳細は、公式サイトをごらんください。
𠮷田さらさ 公式サイト
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