「鳥獣戯画」の全貌を見られる、めったにないチャンス!
こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
いつもは、お寺、神社、仏像などをめぐる旅の情報をお伝えしておりますが、
今回は、東京国立博物館で開催中の特別展
「鳥獣戯画―京都 高山寺の至宝―」の
見どころをご案内したいと思います。
まずは鳥獣戯画をじっくり楽しむ
鳥獣戯画は、日本で一番有名な絵巻物のひとつ。
擬人化されたかわいい動物たちが繰り広げる
ユーモラスで生き生きとしたシーンの数々が人気を呼び、
漫画の元祖とも呼ばれています。
この絵巻物には、「甲・乙・丙・丁」の四巻があり、
もっともよく目にする
ウサギ、カエル、サルなどが擬人化されている部分は甲の巻。
その他の巻には、擬人化されない動物たちや
いろいろな行事を行う人間が描かれたものもあります。
現在は甲・丁巻が東京国立博物館、
乙・丙巻が京都国立博物館に寄託保管されていますが、
本来は、京都北部の栂尾(とがのお)というところにある
高山寺に伝わってきました。
展示室内のところどころに、実際の高山寺の写真が
パネルやスクリーンで展示されています。
鳥獣戯画四巻は、2009年から4年の歳月をかけて解体修理が行われ、
美しく蘇りました。
また、一部が切り取られて掛軸などに仕立て直された
断簡(だんかん)と呼ばれる部分が国内外に5幅存在することが知られており、
今回の展覧会では、それもすべて集められました。
会期は前期4月28日(火)~5月17日(日)、
後期゠5月19日(火)~6月7日(日)に分かれ、
それぞれの巻の前半部分、後半部分が展示されます。
展示されていない部分はパネルで紹介されているので、
前半に行っても後半に行っても、全体の流れはわかります。
国宝 鳥獣戯画 甲巻(部分)平安時代 12世紀 京都・高山寺
後期゠5月19日(火)~6月7日(日)展示場面
制作されたのは12~13世紀(平安時代末期 – 鎌倉時代初期)
よく見ると、巻ごとに作風が違うので、
作者も描かれた時期も違うことがわかります。
絵巻物なので、おそらく何らかの物語があるのでしょうが、
何を表現しているかはまだ解明されていません。
そうした謎めいたところも、鳥獣戯画の魅力のひとつなんですね。
展示の様子。下がガラスケースに入った実物で、
上は、それを拡大したパネル。
対照しながら見るとわかりやすい。
高山寺の宝物も見どころ
高山寺は奈良時代に創建された古刹です。
しかし、その存在がよく知られるようになったのは、
鎌倉時代、明恵上人というお坊さんが
ここで修行を始めてからです。
明恵上人は、自らには厳しい修行を課すと同時に、
困窮する貧しい人々を助けました。
無私、無欲で聡明で優しい理想的な人物だったようです。
国宝 明恵上人像(樹上坐禅像)鎌倉時代 13世紀 京都・高山寺
前期4月28日(火)~5月17日(日)展示
これは、松の木の枝に座って坐禅をする明恵上人の姿を描いたもの。
大自然と一体化することを願った明恵上人の内面を表わしているようです。
こちらは前期のみの展示ですが、後期には、また違う明恵上人像も展示されます。
重要文化財 子犬像 鎌倉時代 13世紀 京都・高山寺
通期展示
その明恵上人が愛したとされる
可愛らしい子犬の像は、全期間展示されます。
明恵上人は、動物が大好きで、夢にもしばしば動物があらわれたそうです。
ここでしか買えないミュージアムグッズも充実しています。
鳥獣戯画は、もともとがキャラクターっぽいので、
グッズも、いろいろ面白い。
吹き出し付きの付箋は楽しく活用できそうです。
小皿や湯呑もお勧め。案外お手頃値段ですね。
このように見どころもりだくさんの今回の展覧会。
東京国立博物館のホームページ http://www.tnm.jp/
鳥獣戯画―京都高山寺の至宝―特設サイト http://www.chojugiga2015.jp/
高山寺のホームページ http://www.kosanji.com/
吉田さらさ
公式サイト
http://home.c01.itscom.net/
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