老舗呉服店が考案したデニムの着物「でにむどす」
京都のおしゃれな女性たちの間で、話題になっているのが、デニムの着物「でにむどす」。そう、ジーンズに使われるあのデニム素材でできた着物です。これを作ったのは、老舗の呉服商「弓月」。西陣でお召など高級呉服を製作、販売する、和服通の間では、有名なお店。
和服ばなれが目立つ昨今。発想豊かな店主が「もっと気軽に和服を楽しんで欲しい」との思いから考案した画期的な着物です。「和服を着たいけれど、扱いや手入れが面倒そう…」と、憧れてはいるものの、踏み出せない人には、もう着物を着ない言い訳ができません。なにせ素材が、ジーンズに使われるデニムなのですから…。汚れも気にせず、家で簡単に洗濯機で洗える扱いやすさは、他の素材に比べようもないもの。
「デニムの着物って、若い人が着るものじゃないの?」と思う人もいらっしゃるでしょう。でも、「この着物を気に入ってくださるお客様は、ご高齢の方も多いんですよ」とご店主。日頃、お召など高級素材の和服愛好家が、このデニム素材の着物を楽しんでいらっしゃるのだそう。それは、扱いやすいという実用面からだけでなく、「大人の遊び心」が大いに関係しているのです。
世界的な有名なデニムの生産地、岡山県児島のデニムを使った「でにむどす」の定番は、3万円台から購入できます。それに名古屋帯などを締めるのがおしゃれな大人の着方。「茶道の先生方が、よく出稽古や野点などカジュアルなお席に着て行かれるんですよ。若い人が着るより、むしろ大人の女性の方が、グッとおしゃれな感じになるんです」と。
定番は、ジーンズのようなステッチが、ポイントの遊び心あふれるもの。また、文様が入ったものは、デニムとは思えないエレガントさが漂っています。
「でにむどす」は、男性用、女性用があり、いずれもすでに完成品で販売されており、すぐに楽しむことができます。女性用は、SとMサイズ。着方も、自由で、紬の着物のように、長襦袢で着て、半襟を見せ、帯締めや帯揚げをするきちんとした着方だけでなく、夏は浴衣感覚で着ることも可能。汗をかいても、洗濯機で洗え、しかも浴衣のように糊付けやアイロンがけもいらないのですから…その気軽さは例えようもありません。
「海外旅行に持ってゆく方も多いんです」と。スーツケースの中に、丸めて押し込んでも大丈夫。「デニム素材でも、れっきとした和服ですから、海外で着ると、なかなか好評なんだそうです」。西陣で長らく培われた確かな技術をもとに縫製されているので、気やすさも格別。
「大人の女性にこそ、似合う究極のカジュアル和服」といえるデニムの着物「でにむどす」。「素敵な着物…え~ジーンズなんですか?」そう驚かれるも、着た時のちょっとした楽しみに…。
着物初級者から、ベテランまで、あらゆる人が、それぞれの着方で手軽に楽しめる、まさに現代の和服です。
弓月 祇園店
京都市東山区祇園町南側570-120 ☎075-533-7100
営業時間:平日11:00~18:00 土・日曜・祝日10:00~18:00
木曜定休
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」
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