猛暑の夏を経て、ようやく秋らしく朝晩が涼しくなった京都。やっと「和服でも着よう」かという気になってきました。さすが京都、ちょっとしたお出かけにも、気軽に和服を召される女性たちが多いのです。お茶会だけでなく、神社仏閣への参拝や美術館、ギャラリー、骨董店めぐり、また友人同士のランチなどへも和服で…。
不思議に和服姿だと、「いい女に見える…」との声もちらほらと…。気を良くして、今年も和服を…と思うのですが、毎年同じ着物では、さすがに少々気が引けます。そんな時、出会ったのが、四条烏丸交差点にほど近い場所にある半襟専門店「荒川益次郎商店」です。
明治19年創業の和装小物の老舗で、平成22年にモダンな雰囲気の半襟専門店をオープン。そこには常時1000点以上の半襟があるという、和服愛好者なら見逃せないところ。
店内の棚の中には、本当にさまざまな半襟が入っていて、「こんなに種類があるんだ~」とビックリ。刺繍、染め、伝統文様やモダンなデザイン…それらを見るだけでも、心躍ります。まるでアートギャラリーに来たような感じ。半襟をフレームに入れて飾っても、りっぱな装飾品になりそうなものばかり。
そもそも和服において半襟は、胸元という非常に目立つところに位置します。もちろん白の半襟が一般的ですが、それだけでは、いつも印象が同じに…。そこで威力を示すのが半襟なのです。首回りを飾るため、小さくても、全体の雰囲気をガラリと変えることができます。特にお食事の時など、目が行きやすく、まさにアクセント。その威力はあなどれません。
いつも着物を素敵に着こなす、京都生まれの友人は、確かにいつもちょっとおしゃれな半襟をつけています。いっしょにいると白い半襟の私の着物姿は、あまりに普通すぎて、着物馴れしていないのが一目瞭然。京美人の友人…さすがポイントをしっかり押さえています。
さて、一口に半襟と言っても、単(ひとえ)や袷(あわせ)、夏の絽など、四季折々に変化する着物の素材などに沿うように、またTPOよっても異なる着物の種類にマッチするよう種類はさまざま。まさにそれに対応するように、ここには1000点以上の半襟がそろっているのです。
最近は、訪問着や色無地など、華やかなお席の着物には、刺繍などが施された豪華な半襟が、また、紬や小紋などには、遊び心あふれたデザインや粋な感じのものが人気だそう。
ところで半襟は、折り畳んで使うため、美しいデザインや豪華な刺繍が全体に大きく施されていても、ごく一部しか外には現れません。わずかに現れる部分だけでも、全体の雰囲気を十分感じさせるように半襟は作られているそう。う~なんと奥ゆかしい…。これぞ日本の美意識と、改めて着物の奥深さを感じます。
よく着物は帯で、印象を変えるといいますが、そう思っても、気軽に何本も帯は買えません。その点、1万円くらいでも購入できる半襟は魅力的。
一度、白い半襟を、色やデザインのあるものに替えてみてはいかがでしょ。いつもの着物が、まるで別のもののように思えるはず…。
もし可能なら、ご自分の着物をお持ちになって、実際にお店で合わせてみるのもおすすめ。
着物をよく知るスタッフの方が、アドバイスしてくれます。
粋な半襟で、京都の町の散策に…。小さな半襟は、この秋、大きな楽しみをもたらしてくれそうです。
半襟専門店「荒川益次郎商店」」
京都市下京区室町通綾小路角
☎075‐341-2121
11:00~19:00 定休日:火曜日
交通:阪急京都線「烏丸駅」から徒歩3分
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」
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