髪が生まれるメカニズム、男性と女性の薄毛の違いをご紹介した前回。今回は髪や頭皮がどのようなダメージを受けているのかをご紹介します。
教えていただいたのは
長谷部未来さん
Miki Hasebe
ミルボン開発本部研究開発部シニアリサーチャー。お茶の水女子大学大学院ライフサイエンス修士課程卒業。ヘアカラーブランド「オルディーブ」の開発を10年間担当
加齢や頭皮環境が悪くなることで、角層の多重剝離が起こってしまう
「加齢により髪のうねりやパサつき、傷みやすさが加速した髪は、紫外線の影響や乾燥、白髪染めやパーマなどによってさらに頭皮環境が悪化します。特に注意したいのが白髪染め後の頭皮の状態です。通常は弱酸性の頭皮が中性付近までpH値が上がると、頭皮の角層が一度に何層も剝がれてしまうことが。この角層の多重剝離によってターンオーバーが乱れると、頭皮環境が整わないため髪の成長が途中で止まったり、健康な髪も生まれにくくなってしまいます」
髪を構成するタンパク質の強度を保つことが、美髪の秘訣
「髪の主要成分はケラチンというタンパク質の一種で、強度が高く外界から守る働きが。しかし、ヘアサイクルの乱れで未成熟なまま生まれた髪は、タンパク質自体の量が低下。また、ケラチンタンパク質にはSS結合という強い結合がありますが、年齢を重ねるにつれSS結合の量も減り、ダメージに対して弱くなるためタンパク質が流出して毛髪内部に棒状の空洞ができ、パサつきやコシの低下を招きます。さらに年齢とともに疎水性タンパク質が増えるので保湿がしにくくなり、うねりやパサつきの原因に」
若々しく健康な髪を取り戻すには、老化菌に着目した頭皮ケアを
「もともと頭皮にはスカルプフローラという細菌群があり、よい働きをする善玉菌や悪い働きをする悪玉菌、普段は影響を及ぼさない日和見菌がバランスをとって存在しています。ミルボンは頭皮に存在する乳酸菌の一種で悪玉菌のエンテロコッカスが、〝薄毛〟〝白髪〟〝細毛〟や〝髪のうねり〟といったエイジング現象を進行させることを発見し、老化菌と名づけました。エンテロコッカスは細胞を老化させて健康的な髪が生えにくくするため、この老化菌に着目したケアも重要です」
老化菌が増えるのを抑制し、地肌の健康を保つスカルプケアシリーズ。ツヤやハリ、コシをアップ。
[右から]オージュア フォルティス シャンプー 250㎖ ¥4,620・同 スカルプマスク 250g ¥5,720・同 ルミナスショット 100㎖ ¥7,370/ミルボン(美容室専売品)
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/國藤直子(STRIPE) 取材協力&資料提供/ミルボン