【お話を伺った方】
美容業界で活躍して50年以上という、業界の重鎮。大手化粧品メーカーで商品開発、マーケティングなどを担当し、多くのヒット作を手がけたのち、独立。現在は美容コンサルタントとして講演やセミナー、商品開発・美容教育アドバイスなど多方面で活躍。化粧品の基礎から製品化までを研究してきた多くの経験をもとに、スキンケアを中心とした美容全般をわかりやすく解説し、正しい美容情報を発信している。
バブル時代は海外旅行先で海外コスメをしこたま買ってスキンケアを楽しんだ人や独身時代は(今より)潤沢だったお小遣いで憧れブランドのコスメをあれこれ使っていたという人も多いのでは。しかし、時は流れて更年期世代になると、忙しさにかまけて時短(手抜き?)スキンケアになったり、年齢を理由に美を磨く努力を諦めてしまったり。
40代、50代の皆さん、今こそ美容液の力を借りるときなのです。
「美容液を使わないなんてもったいない!」
美容液初心者のシマコに、男爵が美容液の奥深さを直伝
シマコ:こんにちは、男爵。50代の美容液初心者代表としてOurAge編集部から白羽の矢が立ったシマコです。今年55歳になりましたが、恥ずかしながらスキンケアは化粧水とクリームのみ。この連載を機に、美容液マスターになりたいと思います。
男爵:それはいいですね。私は美容業界に身を置いて半世紀以上になります。これまでの経験をもとに、この連載では、そもそも美容液とは何か、どんな美容液がOurAge世代に特におすすめなのか、そして化粧品を使う楽しさをお伝えできればうれしいです。
ではまず、美容液とは何か、からお話ししましょう。
【美容液の定義】by 男爵
保湿、美白、シワ改善、アンチエイジングなど「美容効果に特化」した基礎化粧品。特定の美容効果を発揮する美容成分が配合されたもので、形状は粘性のある液状のタイプが主流。
つまり、肌悩みに対して即効性や高い効果をうたった化粧品で、しみやシワ、美白など「機能」を訴求する美容成分が主体のものを美容液といいます。
日本で最初に美容液が登場したのは、いくつかの説がありますがひとつはエスティ ローダーのナイトリペア。日本に上陸したのが1984年です。薬瓶のような茶色いボトルはそれまでの化粧品とは一線を画したイメージで大ヒットしましたよね。今でも人気の超ロングセラー美容液です。
もうひとつはコーセーが1975年に発表したアルフォード R・Cリキッド 。プレシャス。
当時は化粧水や乳液しかない時代でしたが、美容成分をたっぷり配合した「機能性」のあるスキンケア商品として「美容液」と名づけたのは、この商品が初めてだともいわれています。
シマコ:確かに、機能性をうたっているなら効果があると思うのですが、化粧水とクリームだけでも、まあそれなりにスキンケアができているような気もしています…。
男爵:それは、本当にもったいない! 美容液をひとつプラスするだけで、もっと肌のコンディションがよくなりますから。
美容液ってね、使い始めるとすごく楽しいんですよ。
普段使っているスキンケアコスメとライン使いに、またはお気に入りの美容液をワンポイント追加するだけで肌が変わってきます。
シマコ:え、そうなんですか? じゃあスタバで「今日はソイラテにしようかな~」「フラペチーノにしようかな~」って感じで、美容液を気分で選んでもいいんですか?
男爵:そうそう、そんな感じです。ただし、日によって使う美容液を替えるよりは、ひとつの美容液を1カ月は継続して使うことが大事です。
なぜなら肌のターンオーバーが約1カ月ですから、その間に「これ!」と思った美容液をしっかり使って、肌を生まれ変わらせたほうがいいのです。
ライン使いに関してはメーカー側で相乗効果を設計していますから、ラインで使ったほうがより効果は期待できますが、違うメーカー、違うブランドを投入してもいいんですよ。
化粧品は、用法・用量を守って使えば成分が喧嘩することはありません。
美容液は特に、目的に応じて好みで選んでいいんです。
選べないときは、メディアが発表するベストコスメから選んでよし! なぜなら…
シマコ:そうなんですね。なんだか美容液って敷居が高い感じがするというか、美容愛好家が使うものというイメージがありました。好みで選んでいいとはいえ、種類がたくさんあって選べない場合はどうすればいいのでしょう。
男爵:ひとつは美容雑誌が行っているベストコスメを参考にしてみること。
僕も審査員になっていますが、選者は第一線で活躍している美容の専門家ばかりだし、その人たちが自分の名にかけて「これがよかった」と誌面で発表しているコスメです。
ですからそこで選ばれたものはぜひ一度使ってみてください。
あとは自分が信頼できるメーカーや好きなブランドで選ぶのでもかまいません。
シマコ:なるほど。でも、この年になるとシミもシワも美白も全部どうにかしたいんですが、目的別に使い分けたほうがいいのでしょうか。
男爵:それぞれの目的に絞ったほうが、効果は高くなります。
今月はシワ、今月は美白、という感じでひとつずつ片づけていきましょう。
オールインワン美容液もありますが、個々の効果に特化した美容液のほうが、効果を実感しやすいと思います。
いろいろ使ってしまうと、どの商品が効いたのかわからないので、できれば1カ月、その美容液の効果をしっかり見てください。
一方で、「肌の実力を底上げする」美容液もあります。
シワや美白など、ピンポイントの目的別ではありませんが、基本の美容液です。
今回は、初心者におすすめしたい殿堂入りともいえる3点をご紹介しましょう。
それぞれ独自の技術が生かされており「美容液を使うと肌はこう変わるのか!」ということを、実感できると思います。
〔上の写真左から:コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアセラム 、カネボウ化粧品 リサージ コラゲリードSP(薬用誘導美容液)[医薬部外品]、花王 ソフィーナiP ベースケア セラム<土台美容液>〕
◆美容成分の画期的なデリバリーシステム
コスメデコルテ
たまねぎのような層に美容成分を贅沢に抱えた超微細なマイクロカプセル「多重層バイオリポソーム」が1滴(0.1㎖)に1兆個。つけた瞬間からカプセルそのものが肌を美しく。あとから使う化粧品のなじみをよくするブースト効果も。
50mL ¥12,100(税込)
男爵:リポソームは保湿効果のある注目の成分です。潤い力だけでなく、美容成分を肌に確実に届けるというデリバリーシステムの登場は画期的でした。コスメデコルテの研究開発力、技術力の象徴ともいえる美容液です。
美容液は、化粧水とクリームの間に使うものが多いのですが、今回ご紹介する3点はすべて洗顔後のスキンケアのいちばん初めに使う「ブースター」といわれるタイプ。
ブースター美容液の目的はふたつあり、ひとつは後に使う化粧品のなじみをよくすること。
もうひとつは肌のウォーミングアップです。まずは美容液で地ならしをして、スキンケアの効果を高めるというもの。
◆コラーゲン研究が裏づける潤い肌
カネボウ化粧品
リサージ コラゲリードSP (薬用誘導美容液)[医薬部外品]
コラーゲンケア成分SP配合。コクがありながらもみずみずしい感触で、角層深くまで潤いで満たし、次に使う化粧液がなじみやすいなめらかで柔らかなハリ肌に導く。
50mL ¥5,500(税込)
男爵:コラゲリードという名前からもわかるとおり、肌のコラーゲンを立て直す美容液です。
リサージは30年以上、コラーゲンの研究を続けてきました。基本的な肌の代謝活性を見ながら商品開発されたものでリニューアルを繰り返し、ベストコスメでも常連。スキンケアの「軸となる」美容液といえます。
◆血行促進効果のある「炭酸美容」
花王
毛穴の約1/20サイズの炭酸泡の美容液が角層深部まで浸透。洗顔後の肌に使うことでスキンケアのなじみがアップ。潤い、きめ、ツヤ、ハリ、ごわつき、乾燥による小ジワを目立たなくする効果も。炭酸サーバー泡のように、泡の中でも炭酸を増やし続ける技術を実現。
90g ¥5,500(税込/編集部調べ)
男爵:土台美容液は、花王の高い炭酸技術が搭載された美容液です。肌の土台は代謝のベースになっているので、炭酸による血行促進は肌の立て直しになります。
炭酸美容は人気ですが、やはり花王はその先端メーカーといえるでしょう。美容液選びに悩んだら、信頼できるメーカーであることもひとつの目安になります。
ブースター美容液はどんどん増えていますが、特に今回ご紹介した3つのブースター美容液は、今のスキンケアが「より充実する」製品です。洗顔後にプラスして、美容液の効果をぜひ楽しんでください。
次回は「しわ、たるみ改善のおすすめ美容液」です。お楽しみに!
取材・文/島田ゆかり イラスト/カケハタリョウ
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