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肺を脅かすタバコ病〝COPD〟って?/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行教授

根来秀行教授

1967年、東京都生まれ。『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業「毛細血管」は増やすが勝ち!』(集英社)は版を重ね、台湾、韓国でも翻訳され好評発売中! ハーバード大学医学部PKD Center Visiting Professor、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、杏林大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的に活躍中。

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いし こんにちは。ぐうたらライターのいしまるこです。

ハーバード大学医学部根来秀行教授のweb講座「肺年齢を若返らせる!」です。予告通り、今回は「タバコ病」〝COPD〟についてお話していただきますよ。

 

 

根来 こんにちは。根来秀行です。COPDというのは、慢性閉塞性肺疾患のことです。まだあまり耳慣れないかもしれませんが、日本人の死亡原因のトップ10にもランクインしているんですよ。

 

 

いし 知りませんでしたー。どんな病気なんですか?

 

 

根来 タバコの煙や大気汚染、粉塵など有害な空気を長期間吸い込むことで、気管支や肺に炎症が起こり、組織が壊れてしまう病気です。
慢性気管支炎や肺気腫を伴うことが多く、息を吸ってもうまく吐き出すことができず、呼吸困難に陥ります。10から15年かけて徐々に症状が増していき、末期になると酸素吸入しても溺れているような苦しさが継続します。

 

 

いし 陸にいるのに溺れているような!?

 

 

根来 はい。患者の9割以上が喫煙者のため、「タバコ病」とも呼ばれます。

 

●COPDチェック
□同世代の人と歩くと自分だけ遅れる
□階段や坂道を上るとひどく息切れがする
□冬になると朝方に咳・痰が出る
□風邪でもないのに痰がからむ
□前かがみになると動悸や息切れがする
□呼吸をするとゼイゼイ・ヒューヒュー音がする
□20年以上、煙草を吸っている、またはかつて吸っていた

 

 

根来 最近、人間ドックなどで「肺年齢」の検査として行われている、「肺機能検査(スパイロメトリー)」は、COPDの早期発見に役立ちます。肺にある空気をどれだけ多く、長く吐き出せるかを調べる簡単な検査で、10分ほどで終わりますよ。上のチェックリストで該当項目がある人は、1度この検査を受けてみるといいですね。

 

 

いし タバコ病というくらいだから、COPDは喫煙者が多い男性に多い?

 

 

根来 そうですね。男性の方が喫煙者は多いこともあり、女性より男性患者の方が2〜3倍以上多いです。ただ、受動喫煙の機会が増えると、COPDや肺がんのリスクが高まることが明らかになっています。

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いし 女性喫煙者からは「タバコをやめたら食欲が出て太るからやめられない」という声もけっこう聞くんですけど。

 

 

根来 ニコチンには、脳の視床下部を刺激して食欲を抑える働きがあります。そのため、喫煙中は無意識のうちに食欲が抑制されているんです。
禁煙すると、今まで抑えられていた食欲が通常に戻ります。そのため、禁煙したとたんに食欲が今までよりも増加し、食事の量が増えることで太ってしまうということはあるでしょうね。あと、味覚が正常に戻って、おいしく食べられるようになるから、食欲が増すということはあると思います。

 

 

いし そういえばタバコを吸っていると、本来の味がわからなくなるって聞いたことがありますよ。

 

 

根来 タバコを吸うと体内で活性酸素がどんどん作られますが、活性酸素は亜鉛を消費するんですよ。亜鉛は味覚に関係があって、不足すると食べ物をおいしいと感じられなくなることがあります。これは喫煙者には多く見られる味覚障害のひとつです。

 

 

いし おいしいものがおいしく感じられないなんてサイアク!

 

 

根来 ですよね。たとえスリムな体型を維持できたとしても、肌荒れや、シワ、シミを招きやすいし、美容的にもどうかと思いますよ。
タバコを吸う人に共通する顔の老化パターンがあって、目もとや口もとに深いシワができる、肌がくすみ暗くなる、唇がカサカサ、歯や歯茎がどす黒く変色、白髪が増えるなど独特の老け顔になり「スモーカーズフェイス」と呼ばれます。これには喫煙に伴う毛細血管の劣化も、少なからず影響しています。

 

 

いし やっぱりタバコって毒なんですね〜。
あ、でも、新型タバコならどうですか?最近は、乗り換える人も増えていますけど。

 

 

根来 電子タバコや加熱式タバコなどの新型タバコなら安全と思われがちですが、程度の差はあれ、発がん性や受動喫煙のリスクはあります。
自分のためにも周りの人のためにも、1日も早い禁煙をすすめます。

 

 

いし 長年のヘビースモーカーはすでに肺にダメージがあると思うんですけど、禁煙をすれば、傷ついた肺の細胞も回復できたりするの?

 

 

根来 残念ながら、禁煙したからといって、傷ついた肺の細胞を回復させることはできません。それでもこれ以上の肺へのダメージを減らし、肺機能低下のスピードを緩やかにすることはできますよ。
禁煙を1ヶ月続けると、咳やたんなどの呼吸器の症状が改善します。COPD患者でも、1年禁煙すれば、肺の機能に改善がみられますよ。
禁煙期間が2~4年になると、狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気のリスクが、タバコを吸う人と比べて著しく低下します。
さらに10~15年禁煙すると、咽頭がんのリスクが60%、10~19年で肺がんのリスクが70%も低下します。20年禁煙すれば口腔がんのリスクが、タバコを吸わない人と同レベルになるといわれています。

 

いし へぇ〜、すごい。体って応えてくれるんですねぇ。

 

 

根来 タバコをやめて損することって何もないですから、喫煙習慣のある人は、ぜひ、禁煙してくださいね。

 

それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

Dr.negoro_photo

 

 

 

(次回は、「肺がんの原因に女性ホルモンがかかわっている!?」です。お楽しみに!)

 

取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン

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