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近藤誠さんに聞く、ダイエットの意外な落とし穴とは……?

近藤 誠さん

近藤 誠さん

1948年生まれ。83年より慶應義塾大学医学部放射線科講師をつとめ、乳房温存療法のパイオニアとして、抗がん剤の副作用、拡大手術の危険性など、がん治療における先駆的な意見を発表し、啓蒙を続ける。その功績により2012年、「第60回 菊池寛賞」を受賞。現在、「近藤がん研究所・セカンドオピニオン外来」を運営。

科学的根拠に基づいた患者本位の治療を実現するために、医療のタブーに挑み続ける近藤誠さんに、Our Ageの更年期コラムでもおなじみ帝京大学教育学部教授の草野いづみさんが連載インタビュー。話題の最新刊『もう、だまされない! 近藤誠の「女性の医学」』から、草野さんの気になるテーマを掘り下げます。

 

ちょっと太めのほうが長生きします

 

草野 前回、「コレステロール」についてうかがいましたが、今回はその延長で体型のことについて聞きたいんです。あのですね、実は私、一時期すっごい太っていたんですよ。

 

近藤 ふうん。どれくらい?

近藤先生_写真

 

草野 身長153cmで体重が以前は50kg前後だったのが、ストレス太りで最大時で64kgに。その時は膝が痛くなって通院するようになり、さすがにマズいと思いました。それで2年くらいかけて減量して最小時で49kg に。

その後、ちょっと緩んで今は53〜54kgになりました。ほんとはもっと絞って若いころの40kg台に戻したいんですが。

 

近藤 ふんふん。

 

草野 やせたおかげで着れなかった洋服も着られるようになったんですけど、『女性の医学』で、「太めのほうが長生きする」と書かれていましたよね。
美容的にはこれ以上太りたくないけど、長生きするには、もうちょっと太ったほうがいいのかしらん?と思いまして。

近藤先生_写真

 

近藤 「太め」じゃなくて「ちょっと太め」ね(笑)。
じゃあデータを見てみよう。男女で数字が違ってくるんだけど、女性はBMI23〜25くらいがもっとも死亡率が低いね。ちなみに男性の場合は25〜27がいちばん長生きする。

近藤先生_写真

近藤先生_写真

BMIの計算法は「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」。
草野さんの以前の体重で計算すると、「64÷(1.53×1.53)=27.3」

 

草野 あ、やっぱり以前は高かったんですね。今はBMIは23だから、ちょうどいいんだ。よかった! やっぱりあんまり太っていたら危険ですよね?

 

近藤 そうだけど、BMI19未満のやせすぎのほうが肥満よりはるかに危険。ある意味栄養失調だから、感染症になりやすいし、血管がもろくなるから脳出血が起きやすい。がんにもなりやすいんです。
今年2月、アメリカ政府の食生活ガイドライン諮問委員会は「コレステロールの摂取制限は必要ない」と発表しています。これまで1日300mg以下としてきたコレステロール摂取の目安も撤廃されました。

 

草野 へぇ〜。じゃあ、肉や卵、脂肪もあまり気にせず摂っていいんですか?

 

近藤 タンパク質と脂肪は元気のもと。健康で長生きしたいなら〝貯肉〟です。草野さんは現状維持で、ダイエットなんかしないほうがいいよ。

 

草野 そうですか。もっとスリムになりたいけれど、お墨付きをいただいたので、まあいいかな。このままをキープします(笑)。

近藤先生_写真

 

「先生におまかせ」は危険です

 

近藤 コレストロールに限らず、定期健診で検査する項目の多くには〝基準値〟があり、健康な人でも5%が〝基準値外〟になるように設定されているんです。つまり、基準値を超えたこと=病気でも、異常でもないわけ。

 

草野 だけど受ける側としては、「基準値外」と結果が出れば、自分は健康に問題があるんだと思い込んで、心配になってしまいますよ。

 

近藤 本当にそうだね。健診を受けて異常がなくて安心できたという人もたくさんいると思うけれど、その一方で、ちょっとした変化を見つけられて病気のレッテルをはられ、やれ薬だ、やれ手術だと不要な治療をされている人もたくさんいます。そもそも定期健診を受けても、健康になったり、寿命がのびるという科学的根拠はありません。

 

草野 そうなんですか。私、面倒くさがりなので、ときどき健診をすっとばしたり、バリウムやレントゲンが苦手でわざと受けない種目もあるんですが、受けた方がいいのかな、と心配ではあったんです。国が推進したり、医療者が奨めたりすることでも正しいとは限らない。単純にうのみにしてはいけないんですね。

 

近藤 そう。僕のことも疑ったほうがいい

近藤先生_写真

 

草野 近藤先生のことも?

 

近藤 自分の頭でちゃんと考えないで僕の言うことをただうのみにするのでは、別の医者に行くと今度はそっちがもっともらしく思えてきて、結局、多数決で多いほうに流されてしまうんです。だから、僕のことも疑うような態度でないと、いずれどこかで、医療の落とし穴に落っこちてしまいかねないと思う。

 

草野 うーん、そうですね。医者に正しい答えを提示してほしいという人は多いけれど、自分で考えて納得しないと、依存になってしまう。
「先生におまかせします」というのは、自分の体に対する責任を放棄した態度なんでしょうね。

 

「賢い患者」ではなく「愚直な患者」になろう

 

草野 結局、患者が治療を自己決定するには、もっと賢くならないといけない、ということですか?

 

近藤 僕は「賢い」って言葉があんまり好きじゃなくてね。
なんだか、「自分は人より優秀なんだぞ」っていう不遜な響きがない?「みなさんも私と同じになりなさい」みたいな。それって僭越だよね。
僕はね、賢い患者じゃなくて、愚直な患者になろうって言ってるの。

近藤先生_写真

 

草野 愚直な患者!?

 

近藤 とにかくどんなことでもわからないことはしっかり質問する患者さん。医者に問いただしていく態度がいちばん必要なことだと思うから。

 

草野 賢くなくても愚直でいい、と言われるとホッとします。
でも「忙しいお医者さんにこんな質問したら失礼かしら」とか「バカにされるのでは」なんて躊躇して聞けない人は多いと思うんです。
私は、ふだんはけっこうしつこく、何でも納得するまで追求するタイプなんですが、病院に行くときって体も弱ってるせいか、医師に冷たくされると心が折れそうになります。あれこれ聞くと嫌な顔をされたりしそうだし。

 

近藤 そういう医者は無能かつ不誠実な証拠だから見限っていい。
その人が知りたいことはどんな小さなことでも意味のある質問です。
僕は質問されるほどうれしいよ。最近では、ちゃんと答えてくれる
医者もそこそこ増えてきていると思いますよ。

 

草野 患者は医者を選ぶことができるんだと。
そこでふるいにかければいいんですね。愚直な患者、いい言葉ですね!

 

 

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『もう、だまされない! 近藤誠の「女性の医学」』集英社 1300円(本体)+税

 

文・構成/石丸久美子
撮影/ガンダーラ井上

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