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脳細胞のつながりは歳をとっても衰えない!?根来秀行医師が解説

根来秀行

根来秀行

1967年、東京都生まれ。医師、医学博士。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

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いし こんにちは、ぐうたらライターいしまるこです。

年々記憶力が落ちていくばかり……と悲観しているみなさん、
記憶力は簡単には衰えないことを根来教授にレクチャーしていただく
新企画「脳年齢を若返らせる!海馬編」の3回目ですよ。

 

根来 よろしくどうぞ、根来秀行です。
今回は脳細胞の老化についてお話ししたいと思います。

 

いし みなさん、それがいちばん気になるところですよね。いしまるこも年々、頭の回転が落ちている気がするんですけど、これは記憶を司る脳の神経細胞が老化しているからじゃないですか?

 

根来 確かにアワエイジ世代になると、ニューロン(神経細胞)自体はいくぶん老化してくるので、若い頃より情報の処理速度は多少落ちるでしょうね。

 

いし じゃ、やっぱり年とともに脳は確実に衰えていくんじゃないですか?

Dr.negoro_ill

 

根来 そこが脳のよくできたところで、加齢でニューロンが老化してきても、経験を重ねシナプスのつながりを増やすことで、神経細胞同士のネットワークが広がって、記憶を強化することができるんですよ。

 

いし へぇ〜、そうなんですか?

 

根来 理解を深めるために、シナプスについてもう少し詳しく解説しますね。
では前回のおさらいから。シナプスとはなんですか?

 

いし ニューロン同士のつなぎめで、脳に入ってきた情報の連絡通路です。

 

根来 正解です! ところで、つなぎめといいつつ、シナプスには〝シナプス間隙(かんげき)〟と呼ばれる、数万分の1mmほどのわずかな隙間があります。

 

いし つながっていないのにどうやって情報を伝達するの?

 

根来 情報は電気信号で送られますが、シナプスは電気信号を通すことができないんですよ。ですから電気信号のかわりに「神経伝達物質」という化学物質が使われます。

 

いし 神経伝達物質って、ドーパミンとか、セロトニンとか?

 

根来 そうそう。神経伝達物質の種類は100種以上あり、どこの部位の神経細胞かによって、使われる神経伝達物質が異なります。最も一般的な神経伝達物質は、海馬や小脳、大脳皮質などの神経細胞で作られる〝グルタミン酸〟で、記憶や学習に重要な働きを果たします。

 

いし 神経伝達物質ってなんだか得体が知れないなと思っていたけれど、そういうものだったんですね。

 

根来 受け手となるニューロンの表面には、放出された神経伝達物質を受けとる受容体があり、受容体でキャッチされた神経伝達物質は再び電気信号に変換されます。

 

いし シナプスの隙間は、神経伝達物質が電気信号の代走をしているんですね。

 

根来 そうですね。脳に新しい情報が入ってくると、そのようにしてシナプスはどんどんつながりを増やし変化していくわけですが、脳の神経回路が変化していくことを「可塑性(かそせい)」といいます。

 

いし 可塑性によって記憶は更新されていくわけですね。

 

根来 はい。可塑性によって脳のネットワークをカスタマイズしていく、それこそが「記憶すること」なんです。

 

いし なるほどー。

 

根来 脳の可塑性は、ニューロン同士をつなぐシナプスによって変化していくわけですが、近年、シナプスの結合強度を決定づける神経細胞の構造が明らかになってきました。ニューロンにある「スパイン」です。

 

いし スパイン?

 

根来 スパインとは「棘(とげ)」という意味で、ニューロンから木の枝のように分岐している〝樹状突起〟に棘のように備わっています。電気信号から神経伝達物質という化学信号に変換されてニューロンから送り出された情報は、この小さな棘で再び電気信号に戻されてシナプスを作るのです。

 

スパインが記憶の鍵を握る!

Dr.negoro_ill

海馬にはひとつのニューロンに3万個ものスパインが存在するものもあり、1〜3万個くらいのシナプスが作り出されていますが、それぞれ異なる情報を扱っています。

 

根来 スパインは小さいうちは自然消滅しやすいのですが、同じ情報が何度もインプットされると特定のスパインが強化され大きく育つことが、近年明らかになりました。スパインが大きくなると、情報を効果的に受け取ることができ、記憶が安定化します。

 

いし 繰り返し学ぶことで記憶が定着するのはスパインのおかげだったんだ!

 

根来 年を重ね経験を積むほどに、シナプスのつながりはより豊かになります。
そして記憶したいことは繰り返し学べば、スパインが大きくなって、シナプスがより強固になり、脳には神経回路のパターンがどんどん蓄積されます。
すると、記憶を総合的に活用できるようになり、広い視野に立って的確な判断が可能になる。これぞ「大人の知恵」というものですよ。

 

いし 勇気づけられました!

 

根来 脳細胞のつながりをよくするには、細胞呼吸が大事です。
詳しくは拙著『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業
病まないための細胞呼吸レッスン』をお読みください。

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ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 

病まないための細胞呼吸レッスン

細胞呼吸が低下すると、老化の元凶である活性酸素が大量発生し、全身の細胞が酸化、脳も体も見た目も劣化が進み、大きな病気を招くことになりかねません。細胞が元気に呼吸するための知っておくべき基礎知識とその対策を、根来教授がレクチャーします

 

それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

Dr.negoro_photo

根来先生の著書「病まないための細胞呼吸レッスン」より、

自律神経のバランスを整え、ストレス耐性を高める「基本の4・4・8呼吸法」という動画がYoutubeにアップされました。ぜひチェックしてみてくださいね!

(次回は「ジェスチャートークで記憶力UP!」です。お楽しみに! )

 

取材・文/石丸久美子 イラスト/浅生ハルミン

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