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「骨貯金」で老化予防!今すぐ始められる3つの習慣!そしがや大蔵クリニック院長に聞く

「新しい生活様式」を明るく前向きに送るための、読んでトクする情報をお届け! 今回は、〈おこもり時期ならではの体と心の不調〉の予防方法について。

ふと、スマホの歩数計機能を開いてみたら、1日1,000歩にも満たない。しかも、それが何日も続いて…という生活が続いていませんか。通勤や買い物の機会が減っている今、家にいるばかりだと運動量が落ちてしまいがちですが、寒くなると、動くこと自体がちょっと億劫になってしまいますよね。

 

運動不足を感じると「そろそろダイエットしなくっちゃ」とまでは思うかもしれません。しかし、体重増加だけでなく、運動量の低下は体と心に思いも寄らない不調を招く原因に

 

そこで、骨粗鬆症や関節リウマチなどの診療を行う骨の専門家・「そしがや大蔵クリニック」中山久徳医師に、運動や食事など、家で手軽にできる予防策について教えていただきました。

 

そしがや大蔵クリニック院長
中山久徳先生
Hisanori Nakayama

そしがや大蔵クリニックを2012年に開院。日本リウマチ学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医。リウマチ内科医として、関節リウマチ・膠原病・骨粗鬆症の診療に従事。全身疾患の臨床経験を生かし、身体の全般についても診察にあたる。

 

 

「動かない」が招く「動けない」体

 

活動量の低下により、心肺機能低下、消化器機能低下、筋肉の萎縮など体の働きが衰え、動かないでいることで骨の老化が加速し、〈生活不活発病〉という病気に発展する可能性も出てきます」。

 

生活不活発病は廃用症候群とも呼ばれ、体を動かさない、または動かせないことで生じる障害です。活動量の低下により、体だけでなくメンタルにも影響が生じて、動かない→動けない→気分が落ち込む→動けない…といったスパイラルに陥ってしまうことに。

 

OurAge世代が心がけたい「骨」への意識

 

なかでも、特に気になるのが骨への影響です。既にご存知かもしれませんが、女性の骨密度は、思春期から高まっておよそ20 歳でピークを迎え、閉経でガクンと低下。そのため、ちょっとしたことで骨折しやすくなる骨粗鬆症の発症リスクが高くなります。

 

動けない状況というと、加齢や病気などで寝たきりの場合を思い浮かべますが、たとえば「寝たきりの人の場合、1週間で1%程度、人によっては数週間で1年分の骨量を失うことも」。歩く範囲や距離が最低限、という現在の”おこもり生活”は、寝たきりとまではいかなくとも「これに近い状態であるという危機感はもったほうがいいかもしれません」と中山先生。

 

骨の老化予防のために習慣化したい3つのポイント

 

閉経を迎えるまでの間、しっかりとした骨密度を形成すること、いわば「骨貯金」をすることがとても大切。「骨密度を高めると、骨折や骨粗鬆症などを引き起こしにくい丈夫な体になります」。

 

骨貯金はできるだけ早く始めるのが吉! 昔は運動をしていた、コロナ以前はよく出かけていた、という人でも、運動量が省エネ傾向にシフトしてしまうと、一気に骨貯金が減少してしまいます。

 

運動量をできるだけキープすることに加えて、必要な栄養素をとることも重要です。骨だけでなく、筋肉の動きや神経の伝達の働きにも不可欠な「カルシウム」。そして、骨に加えて筋肉も強くする役割をする「ビタミンD」。これらを効率良くとることで、骨の老化を予防することができます。

 

中山先生が教えてくださる「骨貯金」には3つのポイントがあります。いずれも面倒なことは一切なし!なので、今からでもすぐに実践可能です。

3つのポイント:

  1.  家でもできる簡単な運動を習慣に

  2.  カルシウムはレモンで効率良く摂取

  3.  日光を浴びてビタミンDをとろう

 

1. 家でもできる簡単な運動を習慣に

 

骨は重力の負荷がかかることと振動を与えてあげることで活性化していくという性質を持っています」。まずは、天候に関係なく、いつでも家のなかでできる運動を毎日の生活に取り入れましょう。姿勢をできるだけまっすぐに保ち、無理のない範囲で行います。

 

<開眼片足立ち>

 

・目を開けて、床につかない程度に片足立ち
・左右それぞれ1分間×1日3セット

*必ずつかまるものがある場所で行い、転倒を予防すること
(テーブルなどに両手でつかまってもOK)

 

<階段昇降>

 

・階段の1段目を利用し「片足ずつのぼって降りる」
・1回1分繰り返し×1日3セット

 

2. カルシウムはレモンで効率良く摂取

 

骨の形成に欠かせないカルシウムですが、じつは、とても吸収されにくいミネラルなのです。カルシウムを豊富に含む食品の代表格、牛乳でも吸収率は約50%、小魚は約30%。口から摂取してもすべてが吸収されるわけではないため、日頃から気をつけて食べているというかたでも、カルシウムが不足しているかもしれません。厚生労働省による調査でも、30〜69歳の女性で1日の推奨量は650mg*1であるのに対して、平均摂取量は20〜65歳の女性で508mg*2という報告がされています。

 

カルシウムの吸収を助けてくれるのは、食品に含まれる「クエン酸」。なかでも含有量がトップクラスなのがレモンです。果汁に含まれるクエン酸がカルシウムを溶けやすい形に変えて、効率良く体内に届けてくれます。また「カルシウムとレモンを一緒に摂ることで骨を壊す細胞の働きを抑えられるという研究結果*3もあり、結果的に骨密度を増加させることが期待できるといえます」。

 

さわやかな香りと酸味で食事をおいしくしてくれるレモンが、体にもうれしい効果をもたらしてくれるのは魅力ですね。


*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準〈2020年版〉」
*2 厚生労働省「国民健康・栄養調査〈2019年〉」
*3 The Effect of Calcium-Fortified Lemon Drink on Bone Density and Bone Metabolism in Postmenopausal Women. IMJ 2017 ; 24(3) : 279-283

 

3. 日光を浴びてビタミンDをとろう

 

紫外線が当たることで皮膚でもつくられるビタミンD。おこもり生活、特に日照時間が少ない冬は、日に当たる時間が少なくなり、ビタミンD量も不足傾向になりますが 「晴天時なら15分、曇り空でも20〜30分で十分です」。

 

一番かんたんにできる運動「歩くこと」も、日の出ている時間に数十分間行う習慣にしましょう。

 

また、ビタミンDはきのこや魚、卵などにも多く含まれます。とり過ぎは腎障害や高いカルシウム血症など過剰症を招く恐れがあるので、サプリメントに頼らず、食事からとるのがおすすめです。

 

◆骨老化予防に! レモンの風味を生かした、カルシウム&ビタミンDがとれるメニュー

 

手間いらずの素材を活用した、忙しい日でもささっと作れるお手軽レシピをご紹介。カルシウムが豊富な乳製品や小魚、ビタミンDがとれる魚やきのこを、レモンと組み合わせて「骨貯金」を!

*大さじ1は15mlです。小さじ1は5mlです。

 

「さばとトマトのチーズ焼き」

 

材料(2人分)と作り方
①玉ねぎの薄切り1/4個分を耐熱の器に入れます。
②さば水煮缶詰1缶は缶汁をきって軽くほぐし、①にのせます。
③トマト水煮缶詰(カットタイプ)150g、レモン果汁小さじ2、乾燥バジル少々を混ぜ合わせ、②にのせて、ピザ用チーズ50gを散らします。
④予熱しておいたオーブントースターに入れ、チーズに焼き色がつくまで焼いたら出来あがり。

 

 

「じゃこときのこの塩レモンペペロンチーノ」

材料(1人分)と作り方
①フライパンにオリーブオイル大さじ1、にんにくのみじん切り1かけ分、赤唐辛子(種を除いて半分に切る)1本分を入れ、香りが立つまで炒めます。
②パスタ100gをゆで始めます。
②パスタのゆで汁大さじ3を加えてよく混ぜ、ちりめんじゃこ50g、お好みのきのこ50g(まいたけ、しめじなど:食べやすくほぐす)を加えてしんなりするまで炒めます。
③ゆでたパスタ、レモン果汁大さじ1を加えて全体にからめて火を止め、塩、こしょう各適量で味をととのえて出来あがり。水菜適量をトッピングしても。

 

 

「じゃことチーズのカリカリサラダ」

材料(2人分)と作り方
①サニーレタス3枚(一口大にちぎる)、ミニトマト4個(半分に切る)を器に盛ります。食べる直前まで冷蔵庫で冷やしてから、プロセスチーズ2切れ分(7〜8mmの角切り)をのせます。
②フライパンにオリーブオイル大さじ1/2、ちりめんじゃこ10gを弱火でこがさないように炒め、あつあつを①にかけます。
③レモン汁大さじ1、しょうゆ大さじ1/2、砂糖、粗びき黒こしょう各少々をかけ、全体をあえながらいただきます。

 

 

朝食や、家事や仕事の合間には、牛乳グラス1杯(約150ml)にレモン汁大さじ2とはちみつ大さじ1を混ぜてラッシー風にしていただくなど、ドリンクでレモンとカルシウムをいっしょにとるのもおすすめです。

 

レモン果汁には、交感神経を高める作用がある〈リモネン〉という香り成分も含まれます。交換神経には集中力や、やる気をアップさせる役割があります」。

 

レモンの香りでスイッチを入れたら、太陽を浴びながらのお散歩へ。ポジティブ気分で骨貯金に出かけましょう!

 

 

構成・文/椎名智美

 

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