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足の裏を刺激する…立って行う「めまい改善訓練」 

めまいの改善には、簡単な「めまい改善訓練(前庭リハビリ)」を行うことが大切です。この回では、立ったときや歩いたときにふらつく人に効果的な4つのトレーニングを紹介。足裏をしっかり使って、重心の変化などの刺激を与えることで、深部感覚を養います。全国から患者が集まる「めまい治療」の名医・新井基洋先生が解説します。

立って行う前庭リハビリで足裏を刺激して深部感覚を鍛える

足踏みをしたり片足で立ったりして、足裏を刺激します。同時に足腰の筋肉(抗重力筋)の増強もかなう、立って行う「めまい改善訓練」の方法を紹介します。

 

 

まずはルールをチェック!

訓練のルール

1:毎日続けよう/体調が悪いときは回数を減らしてもいいので、毎日続けましょう。
2:慣れてきたら回数を増やそう/1日1回から始めて、最終的には1日3回を目指します。
3:元気よく声を出して行おう/「いち! に!」と声を出すことでモチベーションがアップ。
4:苦手な訓練こそ繰り返し行おう/苦手な動きも繰り返すことで克服できます。
5:前向きな気持ちで行おう/「めまいに負けない!」という気持ちが大事。
6:不安なときは医師に相談を/症状が重い場合、原因がわからないときは必ず医師に相談してください。

 

あなたのめまいはどのタイプ?

めまいの症状には大きくa.b.c.d.eの5タイプがあります。それぞれに特に効果的な前庭リハビリを紹介します。これらを中心に行うといいでしょう。

めまいのタイプ 表

タイプ別おすすめの前庭リハビリ

aタイプ:「目を開けて50歩足踏み」
bタイプ:「目を開けて50歩足踏み」「片足立ち」
cタイプ:「目を開けて50歩足踏み」「ヘッドチルトホッピング」
dタイプ:「目を開けて50歩足踏み」「つま先立ち」
eタイプ:「目を開けて50歩足踏み」

 

立って行うトレーニングの基本姿勢

背すじを伸ばしてまっすぐ立ちます。ふらつきが強い人は、壁や机などに手をついて体を支えます。

 

1.「目を開けて50歩足踏み」  その場で足踏み

両手をまっすぐ前に上げて、その場で足踏みをする前庭リハビリです。平衡感覚を養うだけでなく、太ももの筋肉(大腿四頭筋)など、抗重力筋を鍛えることもできます。

 

① 両手を肩の高さでまっすぐ前に伸ばし、手のひらを下に向けます。目は開けたまま前を見ます。

② 右膝を曲げて、太ももが床と平行になるくらいの高さまで上げます。

③ 右足を下げて床につくのと同時に、左足を同様に上げます。

④ この②→③を繰り返して、その場で50歩足踏みをします。「いち! に!」と大きな声を出して行います。

 

ポイント:両手は前に伸ばしたまま動かさず、膝をしっかり上げて足踏みを! 高齢者や体がふらつく人は壁などに手をついて行いましょう。

これはNG!:膝が上がっていない、手が下がってしまうのはNGです。

こんな症状を改善:まっすぐに歩けない、暗がりを歩くのが怖い、外出時にめまいが起こらないか不安。

 

 

2.「目を閉じて50歩足踏み」で その日の危険度もわかる!

目を閉じて、その場で足踏みを行います。目を閉じて行うと、自然と立ち位置がズレていきます。そのズレ具合で、外出や運転が可能な状態かの判断にもなります。転倒する可能性があるので、必ず一人ではなく、よろけたときに支えてくれるサポーターと一緒に行います。いないときは、この運動を一人で行うのは危険なのでおすすめしません。

 

① 両手を肩の高さでまっすぐ前に伸ばし、手のひらを下に向け、目を閉じます。

② 右膝を曲げて、太ももが床と平行になるくらいの高さまで上げます。

③ 右足を下げて床につくのと同時に、左足を同様に上げます。

④ この②→③を繰り返して、その場で50歩足踏みをします。「いち! に!」と大きな声を出して行います。

 

ポイント:サポーターは足踏みをする人の正面に立ち、手のひらに触れないように、その下に手を添えます。危険を感じたら、手を握って支えます。

これはNG!:膝が上がっていない、手が下がってしまう、一人で行うのも危険なのでNGです。

こんな症状を改善:真っすぐに歩けない、暗がりを歩くのが怖い、外出時にめまいが起こらないか不安、外出や運転が可能かの判断をしたいときに。

 

終わって目を開けたときの立ち位置はどこ? その日の危険度チェック!

めまい 目を閉じて足踏み

A 正面から左右45度未満:外出や運転をしてもほぼ大丈夫
B 正面から左右45~90度:外出は近所ならOK!
C 正面から左右90度を超える:外出や運転は控えましょう。

 

3.「つま先立ち」  かかとの上げ下げでふらつき予防

壁に片手をついて、もしくは支えなしで、左右の足のかかとを上げて下げる…という、下腿三頭筋を鍛える前庭リハビリ。立ち上がるときにふらついたり、歩くのがつらい人におすすめです。

 

① 壁の横に立ち、片手を当てて体を支え、背すじを伸ばします。両足は骨盤の幅くらいに開き、視線は前を見ます。支えがなくてもできる人は壁なしで。

② 両足のかかとを同時にゆっくりと上げて下げます。1秒間に1回のリズムで、大きな声で数えながら10回行います。

 

ポイント:視線はまっすぐ前に!

これはNG!:猫背のままはNG。

こんな症状を改善:立ち上がったときにクラッとしたり、歩くときにふらつく。

 

 

4.「片足立ち」  やりにくい側を重点的に!

片方の膝を上げて、そのまま15秒キープ! 平衡感覚や足腰の強化に役立つ前庭リハビリです。

 

① 壁の横に立ち、片手を当てて体を支え、背すじを伸ばします。両足は骨盤の幅くらいに開き、視線は前を見ます。

② 右膝を曲げて、太ももが床と平行になるくらいの高さまで上げます。この状態で15秒キープ。「い~ち! に~い! さ~ん!…」と、声を出して15までカウントします。

③ 続いて、左足も同様に行います。これを左右交互に3セット。

 

ポイント:視線はまっすぐ前に! 膝をしっかり上げましょう。苦手なほうを重点的に行うことが大切です。そうしないと、畳やフローリングでつまずくのはそちらの足です。弱点を改善しましょう。

これはNG!:猫背のままはNG。

こんな症状を改善:立ち上がったときクラッとしたり、歩くときにふらつく。

 

 

5.耳石を元に戻す「ヘッドチルトホッピング」

耳に水が入ったときの水抜きの要領でジャンプする前庭リハビリです。繰り返す良性発作性頭位めまい症で、耳石が半規管の途中に入り込んでしまった「クプラ型」の改善に。

 

めまい ヘッドチルトホッポング

①右手を壁に当て、頭を右側に傾けます。左膝を軽く曲げ、右足で上下に10回ジャンプしながら、頭を右に振ります。

②同様に左も行います。

 

ポイント:必ず右から行い、左右とも行いましょう。膝や腰が悪い人はジャンプせずに、椅子に座って耳の水抜きをする要領で頭を左右にしっかり傾け、耳の上、こめかみあたりをコツン、コツンと10回叩くのでもOKです。

これはNG!:10回ジャンプは必ず壁に手を当てて行ってください。

こんな症状を改善:寝返りをうつと何度もめまいがして、治療をしてもグラッとするのが改善しない。

 

あなたはできましたか? 少しずつ回数を増やしていきましょう。

 

【教えていただいた方】

新井基洋
新井基洋さん
耳鼻咽喉科専門医
公式サイトを見る

1964年生まれ。横浜市立みなと赤十字病院 めまい・平衡神経科部長。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本めまい平衡医学会専門会員・代議員。北里大学医学部卒業後、国立相模原病院、北里大学耳鼻咽喉科を経て現職。『全国から患者が集まる耳鼻科医の めまい・ふらつきの治し方』(KADOKAWA)など著書多数。

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子

 

 

 

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