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https://ourage.jp/life/interview/319822/

西川貴教さんが不器用なミュージシャンになれなかった理由(インタビュー/前編)

デビューから30年以上経つというのに、まったく衰えを感じさせない西川貴教さん。

6月に上演される世界的ダンスエンタテインメント『バーン・ザ・フロア』日本公演で、スペシャル・ゲストシンガーとして花を添えることになった。

いつもパワフル、見るたびエネルギッシュ。公演にかける意気込みと、52歳の今、顔も体もその笑顔も、まったく鮮度が落ちないその秘密を聞いてみた。

 

撮影/富田一也 ヘア&メイク/浅沼薫(Deep End) 取材・文/岡本麻佑

西川貴教ポートレート OurAge カメラ富田一也

西川貴教さん
Profile

にしかわ・たかのり●1970年9月19日、滋賀県生まれ。1996年、ソロプロジェクト『T.M.Revolution』としてデビュー。2018年からは西川貴教名義での音楽活動を本格的に開始。2019年にNHK連続テレビ小説『スカーレット』に俳優として出演。俳優・声優・ラジオパーソナリティ、番組MCなど、多方面で活躍。2008年から初代『滋賀ふるさと観光大使』に任命され、2009 年以降、滋賀県初の大型野外ロックフェス『イナズマロック フェス』を主催。2020年、2021年『ベストボディ・ジャパン日本大会』モデルジャパン部門ゴールドクラス(50歳~59歳)で2 年連続優勝。2023年8月~9月にはミュージカル『スクールオブロック』で主人公デューイを演じる(柿澤勇人とのWキャスト)。

 

僕は踊りませんけどね! 

 

不思議。この人を見るとなぜか、元気がわいてくる。歌は抜群にうまいし俳優としてドラマにも出ちゃうしバラエティに出るとバリバリ存在感がある。そんな西川貴教さんがこのたび、世界的に超有名なダンスエンタテインメント『バーン・ザ・フロア』日本公演にスペシャル・ゲストシンガーとして参加することになった。

 

『バーン・ザ・フロア』は「ダンスのフルコース」と称されるパフォーマンス。

ワルツやタンゴ、サンバなどのボールルームダンス(社交ダンス)だけでなく、ストリートダンスやコンテンポラリーダンスの要素も練り込んで、16人のエリートダンサーたちが息つく暇もなく踊りまくる。

世界30カ国以上で公演を重ね、日本でも過去10回、のべ45万人の観客を集めた鉄板のステージだ。

2020年にも公演が予定されていたけれど、コロナであえなく中止に。今年6月、ようやく11回目の日本公演が実現することになり、東京と大阪、合わせて17公演が予定されている。

 

「僕も2019年に韓国の公演を観せていただきました。すごい迫力です!」

 

スペシャル・ゲストシンガーとして参加する、ということは?

 

「僕の持ち歌とか、クイーンの楽曲とか、歌わせていただくことになりそうです。

2014年にはスペシャル・ゲストダンサーとして今井翼さんが参加されているので、このお話をいただいてすぐに相談したら、『カンパニーの皆さんがすごく明るくて楽しい方ばかりなので、すぐ仲良くなれると思いますよ』って励ましてくれました。

記者会見のときに、3人のダンサーさん(ディロン・ダニエルズ/マルチェラ・ソリメオ/増田隆)に会ったんですけど、みなさん元気でフレンドリーで、安心しました(笑)」

西川貴教 全身写真 カメラ富田一也

パワフルなダンスをバックに熱く歌う西川さんの姿が目に浮かぶ。きっと一緒に踊るシーンもあるのでは?

 

「いえもう、僕は精一杯歌うだけです。実は僕、膝に爆弾を抱えていまして。あと、そうそう、靱帯切ってるし、踊れないんですよね(汗)」

 

えっと、そういう情報は、入っていませんが・・。今までライブのステージでは、踊ってましたよね?

 

「自分のツアーでは、そういうシーンがあったかもしれませんけど、『あれは僕じゃない』ということで。なんとか逃げ切りたいと思ってます。

だってみんな、まるで野生動物みたいに無駄のない美しい肉体でキレッキレに踊るんですから、そんな群れの中に僕が入って行けるはずがない(笑)。

僕ってほら、『ダンサー』じゃなくて『ガンサー』。顔で踊るタイプなんですよ! 躍動感は表情でお伝えしていこうと、そう考えております」

 

否定すればするほど、リアルタイムでは見事なダンスを披露する前フリのような気がしてくる。実際どうなるかは、6月の公演で確かめたいところ。

 

 

それにしても西川さん、活動範囲が広い。音楽活動だけでなく、音楽フェスを主催したり、アニメーション作品やアイドルグループのプロデュースをしたり。

いったいそれは、なぜに?

 

「憧れはあるんですよ、音楽一筋で不器用なミュージシャンに(笑)。ミステリアスな雰囲気で、何か聞かれてもじっくり考えて『・・気持ちを込めてます』としか言わないような。でも、どうやらそうはならなかった(笑)。

自分がやりたいことを実現するために居心地の良い環境を求めていくうちに、独立して活動するようになって。最近でこそ、フリーで活動する俳優さんやアーティストは増えましたけど、その何十年も前から、ひとりでやってきました。

当然、風当たりも強くて、なかなかメディアに出していただけなかった時期もあったり、それなりの苦労はしてきたんですね。

そんな中、いただける仕事はお断りせず、100%やり尽くしてお返しするのが当たり前。『やりたくない』とか『これは無理』と思ったとしても、頑張って乗り越えていくと、その先に次の扉が待っている。それが実感です。

ですから独立した時から、なんでもやるのが宿命というか(笑)。そうやって活動しているうちに、いろんなことができるようになりました。

おかげで、普通に音楽だけやっていたら見えないような景色をたくさん見ることができたんです。遠回りもしたけれど、さまざまな経験は今、財産になっていますね」

 

今、エネルギーのカタマリみたいに見える西川さんは、人生の荒波が作り上げた存在なのかもしれない。

西川貴教 劇場でのポートレート OurAge カメラ富田一也

「もともと僕は、自己評価がすごく低い人間なんですよ。家族にも友達にもそう言われます。自分の良さみたいなものを、一番自分がわかっていない。

ですからドラマとか舞台とか映画のお話をいただいても、その瞬間は、自分には無理だと思ってしまう。まわりが『向いてるよ』とか『できるよ』って言ってくれないかぎり、自分ひとりだったら絶対に挑戦しなかったことばかりなんです。

 

それでも、やる。しんどい思いもするし、汗もかくし、イヤな思いもたくさんする。でも、そうしないと得られないものがあるんですね。

もうこの年齢なので、やりたくないことはやらないですむし、会いたくない人には会わなくてもいいし、行きたくないところは行かなくてすむ。でも、苦労やしんどいことを避けてしまうと、そこで出会えるはずの人とも出会えなくなるんです。

 

今の僕は、どちらかというと芸能界より実務関係の方が知り合いが多いし、その人たちとの話から、僕自身の可能性を他の分野で花咲かせることもできて。『それができるならこれも』とか、いろんなご提案をいただいているうちに、こうなっちゃったという。カッコいい言い方をすれば、人に磨かれるタイプなのかもしれませんね(笑)」

 

『バーン・ザ・フロア』の記者会見後に行われたこのインタビューも、実は全国47都道府県ツアーの真っ最中、翌日は宮崎でライブというタイミングだった。

 

「あさっては佐賀で、その翌日は沖縄に行ってファンクラブツアーの打合せをして、戻ったらレギュラー番組の収録をやって、歌舞伎町タワーのオープニングセレモニーとライブがあって・・」

 

ステージでパフォーマンスするだけでなく、大忙しの日々なのだ。

 

「だから時間をどういうふうにコントロールするか、それが一番難しい。1日は24時間しかないので、”ながら”がすごく多いです。毎日おいしいものを食べたいし、体のことを考えるとフィットネスはマストだし・・」

 

西川さんのこのボディも、人生の荒浪ならぬ、20年以上前から続くトレーニングと節制が作り上げたもの。

50代にしてこの体、この元気。いったいどうやってできているのかは、インタビュー後編で!

 

(筋トレを始めた理由と、その方法について語ったインタビュー後編はコチラ

 

カンテレ開局65周年記念『バーン・ザ・フロア BE BRAVE.TOGETHER.』

ダンスショー「バーン・ザ・フロア」ポスタービジュアル

ワルツやタンゴ、サンバをはじめストリート・ダンスやコンテンポラリーダンスの要素まで取り込んだ、圧巻のダンスパフォーマンス。世界30カ国以上で上演され、日本では2002年から2018年まで10回の公演を重ね、45万人の観客を魅了してきた。2020年の公演中止を乗り越え、セットを新たに新曲も盛り込む今回の公演はチャンピオン級のダンサー16名が登場、さらに日本公演ならではの特別なコラボレーションとして西川貴教をスペシャル・ゲストシンガーを迎えて行われる。

西川貴教 ダンスショー「バーン・ザ・フロア」記者会見写真

東京公演2023年6月14日(水)~6月18日(日) 全8回 日本青年館ホール

大阪公演2023年6月20日(火)~6月25日(日) 全9回 クールジャパンパーク大阪 WWホール

公式ホームページ https://www.ktv.jp/btf/

 

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