漫画家仲間の妹分達から「最後の砦」と言われていた一条でありましたが、38歳で結婚したら「希望の星」と言われ、めでたく7年後に離婚して、今や「おひとりさまの聖地」でおひとりさまライフを楽しんでおります。ホント、色々ありましたが、とりあえず結婚披露宴の続きです。
ウェディングドレスは、自分でデザインしました。ボディコンシャスなマーメイドライン、レースもフリルもないすっきりしたロングドレスで、胸の谷間がしっかり見えるやつ(笑)。
30代後半だったからね、初々しさがない分、他のところでサービスいたしました。そしたら友人代表の里中満智子さんがスピーチで開口一番、「私、花嫁の谷間、初めて見ました」って(笑)。さすがの突っ込みですね。
メイクも派手にしました。花嫁のメイクって、普通ピンク系で、ほんわかした雰囲気に作るけど、それだとボヤけた感じになるからイヤだなと。結婚式は言ってみれば舞台よ、舞台。まさに人生の大舞台の結婚式ですからね、遠くから見てもハッキリくっきりわかるように気合を入れねばと!
それでアン・ルイスさんのメイクアップアーティストもしてる方にお願いして、メリハリのあるパンチが効いたメイクにしてくださいってお願いしました。
最初はビビっていたメイクさんも話しているうちにだんだん乗ってきて、っていうか乗りすぎちゃって、後から見たらコレはちょっとやりすぎ暴走列車でしたね。いやぁまさにこの時代のボディコンメイク!
眉毛もすごい太い!!シャドウも斜めにビシッ!ちがう…なんか違う。
アン・ルイスというよりは、安全地帯の人みたいになりました(笑)。
メイクさんも「結婚式でこんなメイクしたことありません」って言ってたけど、そうでしょうね。
お色直しのドレスは黒よ!黒!
昔、「黒衣の花嫁」って映画があったけど、花嫁が黒のドレスっていうのも前代未聞じゃないかな。どうだ!まいったか!?
そもそもウェディングドレスがなぜ白なのか、みなさん御存知? 純潔っていう意味もあるけど、「あなた色に染まります」っていう意味らしい。あらヤダそういうことなら、わたくし、どんな色をつけられようが絶対染まらない黒にしますわってね(笑)。
どうでもいい話だけど、一条は中国に行って驚いた。なんと中国でいちばん多いウェディングドレスの色は赤でした!真っ赤っ赤!さすが中国ですね。
んで、お色直しのドレスですが膝上くらいの丈で、上半身はノースリーブで黒のスパンコールがギッシリ。スカートは黒のチュールレースを20枚くらい重ねたデザインで、もちろん一条のデザインざます。まあどう見ても舞台衣装ですね。
宴たけなわで、花婿は会場に放置で、一条だけお色直しのため退場しました。だってね、花婿が着替えても無駄だしってことで、本人同意の上で旦那は貸衣装でした。ほほほ、結婚式の主人公は花嫁なのじゃ。
速足で控室に急ぐ花嫁。それはね!早くタバコが吸いたかったのよ〜!
ヘビースモーカーだった一条でも、さすがに花嫁が披露宴でタバコを吸ってはイカンという常識と美意識はもっておりまする。
よし控室に戻った!黒いドレスに着替えた!頭をセットしてもらいながらスパーっと一服してたら、ぎゃー!!タバコの灰がドレスに落ちた!!落ちた━!!じゅわじゅわ~っと灰の形にレースに穴が開きました(笑)。
まあ、20枚重ねだし、元々穴が開いてるチュールだから大丈夫かって、パンパンとはたいて、なかったことにして披露宴に戻りましたわ。ドンマイ!
それから数年後、私のアシスタントが結婚する時に「一条さんのウェディングドレスが素敵だったから貸してほしい」と言われて貸しました。白いヤツよ。胸がガポガポで、いっぱいいろんな詰め物してたけど、なかなか似合ってましたね。
問題は、その時にはすでに私は離婚してたんで、ケチがついてるドレスなわけですよ。万一彼女が離婚したら、きっとあのドレスのせいです。
「ぶ~け」1994年1月号表紙
取材・文/佐藤裕美
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