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「石川ブラシ」は凄い!秀逸な洋服ブラシに迫る

小暮美奈子

小暮美奈子

スタイリスト。東京生まれ。

数々のファッションやライフスタイル雑誌、広告などで幅広く活躍中。

もの選びの確かさと、身につけることが楽しくなるようなスタイリングが人気。

雑誌「エクラ」の表紙スタイリングや連載「いいものみぃつけた!!」なども好評を博した。

ベーシックでいて時代感覚をさりげなく取り入れたコーデイネートや、素敵なもののセレクトは、年齢を問わず参考になる。

旅好きやおいしいもの好きで知られ、、雑貨などライフスタイル提案にも定評あり。

2015年4月、初の著書「My Style ~スタイリスト小暮美奈子がたどりついた心地よさ」が発売に。

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先日、友人と会った時に洋服ブラシの話になった。なんと10万円を超える価格のブラシがあるそうで、知り合いもそのブラシを買って持っているという。

 

え〜〜〜〜!!凄すぎる。

 

一応私もブラシは持っている。ずいぶん前にちゃんとした物が欲しいと思って、ちょっと高いけどデパートで買った物だ。それでも確か1万円はしなかったと思う。仕事上素敵な服を目にする事が多く、私にしてみればかなり高額な服をエイヤっと買ってしまうので、その代わり丁寧にケアをして長く使いたいと思ったから。クリーニングに関しても、大切な物ほどなるべくクリーニングには出したくないと昔から思っている。なのでブラシをササッとかけてハンガーに吊るして風を通したり、休ませたりしていた。ただそれはコートやジャケット、パンツなどで、ニットに関しては全く別ものだと思っていた。

 

大人になるにつれ、カシミアとかシルクカシミアなどの高価で繊細な素材の気持ち良さを知り、ついそちらの方へ手が伸びるように。世の中的にもデザインだけではなく、素材を重視した商品が多く出回るようになったので、私のワードローブにもいわゆる高級素材がいつのまにか増えていった。
やわらかいカシミアのセーターやストールを自分で洗うのは怖くてドキドキする。でもクリーニングにも出したくない、といつも苦渋の選択で慎重に自分の手で洗ってはいるが、何かもっといい方法は無いのかなぁと常々思っていた。

 

ところがその高額なブラシは、ウールはもとより、カシミアやシルク、布帛からニット、キモノ(帯なども!)にも使えるという。特にニットはブラシをかける事により、埃などが取れ、つやが出て、毛玉ができるのを防ぎ、既にできた毛玉も取れるという。
本当?!凄い!!
これは是非そのブラシを見て確認したいと、さっそく取材の申し込みを行い、イセタンサローネメンズで行う実演販売会に行き、お話を伺えることになった。

 

こちらが〈イシカワ〉洋服ブラシの石川和男さん。

小暮美奈子

石川さんが使うのは尾脇毛と呼ばれる馬毛で、上質な毛筆に使われる素材。高価だし産毛のように繊細なもので、今まで服ブラシには使われなかったそう。その尾脇毛を手間と時間をかけて加工しブラシに作り上げた。一本作るのに大体3、4日かかるという。あたりは柔らかいのに驚くほど弾力があるので、繊細なカシミアやシルクに対応できるという。

 

「先ずブラシを触ってみて下さい」と言われたので触ってみると、とても柔らかい。毛足は私の家にあるブラシよりかなり長く、ブラシ自体もわりと大きい。
「ブラシのかけ方はこんな感じです」と、私が着ていたセーターの一部分にブラシをかけて、「どうですか?違いがわかりますか?」と聞かれた。

 

次ページに続きます。 

ネットで服ブラシを検索すると、ブラシのかけ方の記述もあり「手首のスナップを利かせて軽くかける」とあるが、石川さんは真っすぐサッサッと、わりと力を入れて上から下にかける。外出から帰った時は、反対に先ず下から上へサッサッとかけて埃や花粉を落とし、それから上から下にかけるといいそうだ。
ブラシをかけてくれた所はやはり他の部分より毛並みも揃っていて、だからなのか艶があるように見えた。

 

「ニットの毛玉は繊維がからんでできるので、ほぐせば元にもどります。間違っても毛玉取りやハサミで切り取らない事」と、言いながら毛玉のところを四方八方からブラシをかけてくださると、確かに毛玉が小さくなってきた。いつもブラシをかけていれば繊維が絡まず毛玉にもなりにくいというわけだ。なるほど、そうだったのか・・・毛玉になったとバシバシ切っていたらセーター自体やせしまうものね。
生まれたての毛玉ならブラシでほぐすことによって無くなり、そもそもブラシをかけていれば毛玉自体を防ぐ事ができるなんて!!なんだかブラシが光輝いて見えてきた。

 

「なるべくクリーニングには出したくないんです」と言うと、「そりゃあ出さない方がいいよ。ウールやカシミアなどは皆動物の毛だから油分がないとガサガサになって風合いが無くなってしまう。石油系の溶剤でその油分を根こそぎ取ってしまったら悲惨なことになる。それにドライクリーニングでは汚れは取れないしね」
と言って、家でのメンテナンス方法を教えてくれた。

 

・大切にしたい服は着る前と着た後に、ブラッシングをする。
・皮脂汚れや気になる汚れは、お湯を絞ったタオルで汚れをつまみ出すように取り除く。
・洗う場合は手洗い、洗剤はベビーシャンプーが良いとの事。「市販のウールやおしゃれ着洗いの洗剤にも科学成分が含まれるからね」と。
・タオルで水気を取ってから、日陰で自然乾燥。
・縮みを気にするなら、洗う前に紙に型取りして干す時にその型に合わせてピンを打てば大丈夫。
だそうだ。ベビーシャンプーや型取り&ピンというのは目から鱗だった。

 

さて〈イシカワ〉洋服ブラシのラインナップは全部で4種類。

小暮美奈子

価格の違いは、尾脇毛のブレンドの違いで使える素材が変わる点と、作る手間も違うので、それらが反映されているとのこと。

右上から時計回りに

¥54,000(税込み)/ウール、カシミアのスーツ、コート
¥108,000(税込み)/ウール、カシミアのスーツ、コート、ニット、セーター類、和服、毛皮
¥129,600(税込み)/ウール、カシミアのスーツ、コート、ニット、セーター類、和服、毛皮、シルクカシミア、ベビーカシミア
¥162,000(税込み)/上記の全ての素材、ビキューナ※

 

む〜〜〜ん、本当になかなか良いお値段!!
でも、
クリーニング代がほぼ無くなると思えば・・・
毛玉の悩みから解放されると思えば・・・
生涯使えると思えば・・・
(20年程ブラシ作りをしている石川さんのところには、今までブラシがダメになったとか、クレームなどは無いとのこと。メンテナンスもしてくれるそうだ)
着物や帯にも使えるし・・・
と、傾きつつ、かなり考えている私です。

 

今回、質問に快く答えて下さった石川さん。

とてもフランクな人柄の中に職人としてこのブラシに対する誇りと自信を感じました。当初驚いた価格の高さも、使っている素材と加工に相当の手間をかけるからこそ。10年以上使っても全くへたれないブラシは、職人の「手」によって作り出されているのでした。

小暮美奈子

尾脇毛を手作業でブラシ本体に装着しているところ

 

 

〈イシカワ〉洋服ブラシ

http://home.g08.itscom.net/ishikawa/index/

追伸
ひとつひとつ手作りで作っているため、次々と来る注文に間に合わず
現在はお願いしてから半年ほど経たないと手に入らない状況とのことです。

 

※ ビキューナ/アルパカの仲間の獣毛。あらゆる毛製品のなかで感触、風合い、光沢などにおいて最高級品とされる超高級繊維。

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