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モデル・雅子さんに先立たれた夫・大岡大介さんが再確認した妻への気持ち。(インタビュー/後編)

妻であり、モデルでもあった雅子さんの姿を、さまざまな人たちへのインタビューを通して追い求めた大岡大介さん。

映画『モデル 雅子 を追う旅』には、仕事場での彼女だけでなく、プライベートな場での彼女も登場する。

共に旅をしたときの彼女、家で料理をする彼女、散歩中の彼女、積もった雪で雪だるまを作る彼女、そして病室にいる彼女の姿も。

伝わってくるのは、夫と妻が互いに信頼しあう姿と、ふたりを結ぶ絆だ。

 

(映画製作の経緯と思いを語った、インタビュー前編はコチラ

 

撮影/武重到 取材・文/岡本麻佑

大岡大介さん

Profile

おおおか だいすけ●1971 年6月9日、兵庫県生まれ。監督・プロデューサー。本業であるTBSテレビでの番組制作のかたわら、本作を製作。2000年~2008年、同社映画事業部にて洋画『ハンニバル』(01)『バイオハザード』(02)などの共同出資事業、邦画『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』(03)『アフタースクール』(08)などの製作事業に携わる。2006年にモデルの雅子さんと結婚。2015年、雅子さんの他界に際して本映画の製作を決意。

 

撮影/高橋ヒデキ

 

雅子さん

Profile

まさこ●1964年7月30日、東京都生まれ。1984年、19歳でモデルデビュー。20代ではan・an、装苑、流行通信、30代はLEE、クロワッサン、ミセス、40代では家庭画報、美しいキモノ、エクラなどの雑誌やCMで活躍。映画『リング』(98年)で貞子の母・志津子を演じたことも。2014年『雅子 スタイル』(宝島社刊)を上梓。2015年1月29日、希少がん闘病の末に死去。享年50歳。

 

節制のカタマリのような彼女が、

まさか病気になるなんて‥‥

 

大岡大介さんと雅子さんは、親友同士のようなカップル。それぞれの仕事を認め合い、互いの個を尊重しあい、それでいてとても仲の良いふたりだった。

 

ふたりを結びつけたのは、共に映画が大好きだったこと。

 

「知り合ったのは映画の完成披露試写会ですし、紹介してくれたのは配給会社の方でした。僕はもともとハリウッド映画とかアニメーション作品が大好きなんですが、一方雅子はヨーロッパのアート系、とりわけフランス映画が好きなんです。だから趣味は全然違っていたけれど、雅子に勧められて一緒に『シェルブールの雨傘』を見たときに、その素晴らしさを初めて知って、魅せられました。そのとき改めて僕は、雅子という女性を作っているもの、雅子の背後にある世界を理解できたような気がします」

 

やがてふたりは結婚。互いをリスペクトしあいながら、日々の暮らしを愉しんでいた。そんな中、プロフェッショナルのモデルとして、雅子さんは徹底した自己管理をしていたという。

 

「言ってみれば、節制のカタマリみたいな人でした。ふだんから、お酒はもちろんのこと、タバコなんてとんでもない。夜8時以降は食べ物を口にしなかったし、外食して食べ過ぎてしまったときは、次の2~3日は食を控えて身体をちょっと休めるとか。もちろん肌の管理には敏感で、3月から10月いっぱいまで、ずっと日傘を差していました。1年間で日傘をさして出かける日のほうが圧倒的に多いんです。特別な運動はしていませんでしたが、家に帰るときは6階にある部屋までエレベーターを使わず、必ず階段を昇っていました。

だから、あんな病気にかかるなんて、信じられなかった。僕のほうがずっと不摂生なのに。あれだけ節制してあれだけ健やかに身体を保っていた雅子という存在が・・・・」

 

だけど病気が判明したのちも雅子さんは、そして大岡さんも、けして弱気にはならなかったという。

 

「本当に最後の1日か2日を除いて、発病から最後まで、絶対に治るとずっと信じていました。雅子も、僕も。しかも彼女の友達にはがんサバイバーの方が何人もいるんです。ですから悪性腫瘍だとしても、絶対に大丈夫だという気持ちがあった。絶対に治す、絶対に治る、という気持ちでいたことは確かです」

 

そして今、大岡氏は、残酷な結果を、この現実を受けいれようとしている。

 

「人生に“たら・れば”は無い、ということですね。今、この映画を作ったことによって、僕自身、すごく大きな自信とか誇りみたいなものをつかむことができました。僕はこの人のこと、やっぱりちゃんと愛していたんだと、確認できたんです。雅子が亡くなる前と比べたら、僕自身、前よりはマシな人間になっています(笑)。前はもっと不器用で乱暴で、人のこともあまり考えない、ゴツゴツした人間でした。それに比べたら、今の僕のほうが成熟している。でもこの成熟の途上には、間違い無く、雅子の死という要素があったんです。じゃあ今の僕は、雅子が死んだおかげなのか、なんて考え始めると“たら・れば”なんて意味がない。今のこの状況をあるがままに、そのまま受け止めていくしかないんです」

こうして完成させた作品を、大岡さんはなるべく多くの人に見て欲しい、という。

 

「モデルの雅子をずっと知っていてくれた人に、見て欲しいです。あと、雅子のことをまったく知らない、でも健やかにきれいに、素直に生きてみたいと思っている人たちに、見て欲しい。特に雅子を知らない人たちには、こんな素敵な人がいるんだよ、いたんだよって。どうだ、俺の奧さんきれいだろうって、素直にそんな気持ちです(笑)」

 

たしかに、本作を見ていると、雅子さんが年齢とともにどんどん美しくなっているのがわかる。20代よりも30代、40代と、余計なものは削ぎ落とされ、洗練され、その美しさは磨き抜かれていた。

 

「偶然、本人のインタビュー音源が残っていて、それもこの映画の中で使っているんですが、そこにこんなコメントがありました。『年齢を重ねてもいろいろな情報に振り回される必要はないと思う。自分自身がこうありたいと素直に思える姿、理想の自分、めざすべき自分があれば、そこに気持ちを寄せていくことで、自ずと必要なものはわかってくるはずだ』と。その時々の年齢に応じて、必要なものだけ取り入れて、思うがままに生きていく。雅子はそうやって生きていたと思います」

 

『モデル 雅子 を追う旅』というタイトルのこの映画には、凛々しく生きていた雅子さんの姿があふれている。と同時に観る者に伝わってくるのは、彼女をとことん愛し抜いた夫の思い。パートナーを亡くしたとき、人は何を感じ、何を見て何を考え、どう生きていくのか。その戸惑いと哀しみ、怒り、悔しさと諦め、すべての感情が、映し出されている。

 

「夫婦でいれば、いずれ必ず、大事な人を亡くしてしまう瞬間は誰にでもくるんです。そのときに、どうするか。具体的なアイデアを提供しているわけではないけれど、でもこの映画は、そのことに思いをいたすきっかけにはなるかもしれない。今はまだ若くても、あるいはかなりベテランのふたりでも、この映画を夫婦で見て欲しい。そう思います」

 

『モデル 雅子 を追う旅』

雅子さんが亡くなった後、「モデルとしての雅子」をほとんど知らないことに気付いた大岡さんは、生前の雅子さんと交流のあった人々をインタビュー、遺されたファッション・グラビアや映像をたどって、本作を作り上げた。

7月26日(金)から8月1日(日) UPLINK吉祥寺にて1週間限定公開。全国順次公開予定。

配給:フリーストーン

出演:雅子 インタビュー出演(登場順):安珠、田村翔子、藤井かほり、高嶋政宏、中田秀夫、石井たまよ、竹中直人ほか。

(c)2019 Masako, mon ange.

公式サイト:http://www.masakomonange.com/

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