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40、50代が知っておくべき「目の病気」④【加齢黄斑変性】

過去、OurAgeでは「飛蚊症(ひぶんしょう)」「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」「眼瞼下 垂(がんけんかすい)」など、さまざまな目の不調を取り上げてきました。そしてそのたびに反響の大きさに驚かされました。

 

今と将来に備えてしっかりチェック!

 

40代、50代が知っておくべき

「目の病気」

 

OurAge世代になると特に、目の疲れ、見えにくさ、乾燥など、さまざまな不調が気になってきます。もちろん加齢による変化もありますが、気になる症状のすべてを年齢のせいにするのは危険です。

ここでは、気になる症状からどんな「目の病気」の可能性があるか、そして、その症状への対処の仕方などをご紹介していきます。

 

今回は、【加齢黄斑変性】についてです。

 

 

 

大鹿 哲郎さん Tetsuro Oshika

1960年生まれ。’85年、東京大学医学部卒業、同大学眼科学教室に入局。東京大学医学部助教授を経て、現在は筑波大学医学医療系眼科教授。医学博士。白内障、角膜疾患、網膜硝子体など、眼疾患全般の診療を行っている

1960年生まれ。’85年、東京大学医学部卒業、同大学眼科学教室に入局。東京大学医学部助教授を経て、現在は筑波大学医学医療系眼科教授。医学博士。白内障、角膜疾患、網膜硝子体など、眼疾患全般の診療を行っている

 

 

【加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)】 

真っすぐなものが曲がって見える

 

現在アメリカでは、失明原因の第1位になっている加齢黄斑変性。

日本でも10~15年前から、高齢化や食生活の欧米化を背景に、患者数が増加中の病気です。

 

 

放置すると
徐々に視力が低下

 

「網膜の病気の中で、最も見え方に影響が出るのが、黄斑部の障害から起こる加齢黄斑変性です。ものが歪んで見える、視界の中心が暗く見えるなどの症状が現れ、放置すると徐々に視力が低下します。両目に生じますが、多くの場合どちらか一方の目から先に起きます。また起こり方や進み方によって、進行が早い滲出(しんしゅつ)型とゆっくり進む萎縮型に分けられます」(大鹿先生)

 

早期発見に有効なのがアムスラーチャート(下図)。線が歪んだり中心部が暗く見えたりしたら、ただちに眼科で診察を受けましょう。

 

「加齢以外にも喫煙、紫外線、食生活など、さまざまな要因が重なることで黄斑部の障害は進みます。進行を遅くするには、早期治療と生活習慣の見直しが有効です。禁煙する、外出時はサングラスや帽子で紫外線から目をガードする、野菜や魚などの抗酸化食品を食べて体の酸化を防ぐ、などがおすすめです。ルテインなど、抗酸化のサプリメントをとるのもいいでしょう」

 

治療法としては眼球への薬剤の注射が一般的で、ほかにレーザー照射などの方法も。できるだけ早く眼科で検査を受けることが大切です。

 

 

MyAge_012_072-眼球イラスト

 

MyAge_012_072-黄斑部病変イラスト

 

■前駆病変

網膜の様子を詳しく観察すると、ドルーゼンと呼ばれる垢のようなものや、シミのような色の変化が見られることが。こうした変化は、加齢黄斑変性の前段階で生じやすい「前駆病変」と考えられています

 

■滲出型の加齢黄斑変性

脈絡膜の血管から「新生血管」と呼ばれる異常な血管が枝分かれし、増殖していきます。新生血管は非常にもろいため、破れて出血を起こしたり、血管壁から血液成分が漏れ出したりして、黄斑部の障害が進行。日本人に多い

 

■萎縮型の加齢黄斑変性

新生血管は見られず、網膜色素上皮細胞が徐々に萎縮していき、その上にある視細胞が減少していきます。進行は緩やかで、中心窩に萎縮が及ばないかぎり視力は保たれます

 

 

次ページに続きます。

MyAge_012_072-加齢黄斑変性

(右)

加齢黄斑変性の早期発見に有効なのが、この「アムスラーチャート」。片方の目ずつ、約30㎝離れた場所から中心点を見つめてください

 

(左)

チャートの線が歪んだり、中心部が暗く見えたりしたら加齢黄斑変性の疑いがあります。ただちに眼科で検査を受けましょう

 

 

 

■こんなふうに見える

黄斑部の障害が進むと、左の絵のように視野の中心が見づらくなっていきます。さらに症状が進行すると、今度は視野の中心部分が欠ける症状が現れ、見えない部分が広がって視力が低下していきます

黄斑部の障害が進むと、左の絵のように視野の中心が見づらくなっていきます。さらに症状が進行すると、今度は視野の中心部分が欠ける症状が現れ、見えない部分が広がって視力が低下していきます

 

 

 

■治療法→おもな3つの治療法

 

[抗VEGF療法]

●眼球の中に、注射で薬剤を投与します。
●入院は不要。外来で受けられます。
●薬の値段が高く、自己負担額が大きい。
⇒VEGF(血管内皮増殖因子)とは、血液中に含まれる糖タンパクの一種。この働きを防ぐことで新生血管の増殖を抑えます。

 

[レーザー治療]

●強いレーザーを病変部に照射します。
●入院は不要。外来で受けられます。
●中心窩に病変がある場合は行えません。
⇒新生血管を確実に焼きつぶす方法。周囲の組織もダメージを受けるため、実施できる例が限られます。

 

[PDT(光線力学的療法)]

●光に反応する薬と弱いレーザーを用いた治療法。入院治療が原則。
●治療後、まれに視力低下が起こることも。
●抗VEGF療法と組み合わせることもある。
⇒新生血管に集まりやすい性質の薬を点滴し、弱いレーザーを当てて新生血管を塞ぎます。

 

 

▶▶▶OurAgeの過去記事も参照

連載:加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)を知ろう

 

▶▶▶MyAge2016春号・P162〜も参照

書店でご注文いただくか、ネット書店や「OurAgeストア」でも購入できます

→ https://www.flagshop.jp/ourage/

http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-102211-3&mode=1

 

 

次回は、[飛蚊症(ひぶんしょう)]について詳しくご紹介します。

 

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/上田恵子

取材協力・資料提供&監修/大鹿哲郎

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