いし こんにちは。ちょっとご無沙汰しちゃってすみません、ぐうたらライターのいしまるこです。
ハーバード大学医学部教授・根来秀行ドクターによるカラダ年齢若返り企画第7弾「副腎年齢を若返らせる!」の3回目ですよ。
根来 こんにちは。根来秀行です。
今回は「副腎疲労=アドレナル・ファティーグ」についてさらに解説します。
いし 耳慣れない言葉ですねぇ。
根来 それもそのはず、日本の医学界ではあまり認知されていないのです。
副腎機能が極端に低い「アジソン病」や、副腎機能が極端に高い「クッシング病」のように病名がつけば保険が適応されますが、副腎疲労は病気の手前、いわば「未病の状態」とされ、一般の医療機関では扱われていません。
いし そうなんですね。
根来 最近、いくつかのアンチエイジングクリニックが自由診療で診るようになりました。
いし 自分でわかる自覚症状とかはないんですか?
根来 簡単なチェックリストがありますが、やってみますか?
いし やります!やります!
チェックリストは次のページに!
あなたの副腎は疲れてない?
副腎疲労チェック
該当している項目が多いほど、副腎疲労の可能性が高くなります。
1 朝起きるのがつらくて起きられない
2 いつもだるくて疲労感があり、寝ても疲れがとれない
3 午前中は集中力がないが、夕方から元気になり、夜は目が冴えて眠れない
4 今まで気にならなかったことが気に障り、イライラして怒りっぽい
5 腹部膨満感がある
6 風邪をひきやすくなった 怪我がなかなか治らない
7 運動していないのに筋肉痛がする
8 皮膚のかゆみが増えた
9 頭がぼーっとして、仕事や家事がはかどらない。
10 気分がふさぎ、以前楽しんでいたことも億劫に感じる
11 今日食べたものが思い出せないなど記憶があやふや
12コーヒーやチョコレートなどカフェインの力を借りないとがんばれない
いし げぇーっ、半分くらい当てはまりますぅ〜。
根来 ちょっと副腎がお疲れ気味かもしれないですね。
いし なかなかやる気が起きないのは怠け癖のせいかと思っていたけれど、もしかしてアドレナル・ファティーグだったのか!?
根来 いやいや、これたけではそうとは言い切れないんですよ。
アドレナル・ファティーグの検査は血液検査と、1日4〜5回にわたる唾液検査が基本です。一般的な医療機関では扱っておらず、アンチエイジングクリニックなどで実施しています。
いし 治療する場合は、どんな方法があるんですか?
根来 アンチエイジングクリニックでの治療は、生活指導と併せてしばしばDHEAの補充などが行われています。
いし ホルモン補充療法ですね。更年期症状の緩和のためにすすめられることが多いですよ。
根来 はい。ただホルモン療法はリスクも高いから、僕はあまりすすめません。
特定のホルモンを入れると、ホルモン全体のバランスが崩れてしまい、細胞のがん化を始めとするリスクが高まることもあるので、ホルモン補充は慎重にすべきです。アメリカで実施した女性ホルモン補充療法の臨床試験では、乳がんの発症リスクが高まり中止になった前例もあります。
いし そうでしたねえ。ただ、あの臨床試験の対象者の選び方に問題があったという指摘もありますよね。
根来 そうであったとしても、副腎疲労が疑われる場合、ストレスで交感神経が高くなりすぎて、毛細血管の血流低下で栄養が全身に行き渡らず、体のあちこちで炎症が起きます。炎症が起きた部位では細胞分裂が過剰になり、その過程で遺伝子のミスリードも起きやすくなっているんですよ。
いし そんなふうにがんができやすい体内環境になっているところに、ホルモンを外から加えると、ますます発がんリスクが増すと考えられるということですね。
根来 そうです。
いし では副腎疲労にはどうアプローチするのがベストですか?
根来 前にお話した通り、副腎の大敵はストレスですが、コルチゾールやアドレナリンなどの抗ストレスホルモンは、交感神経と連動しているので、僕は自律神経から働きかけるほうがベターだと考えます。
実際、自律神経を立て直すと、副腎機能も上がってきて、ホルモン分泌も正常になってきますよ。
いし 自律神経ケアだったら、自分でできることがたくさんありますね!
次回は、自律神経を調整して、副腎を元気にするセルフケアを教えてください。
根来 はい。有効な副腎ケアを伝授しますので、お楽しみに。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
次回は「夜更かし返上で副腎ホルモンを正常に!」という話です。お楽しみに!
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン