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「発酵調味料は本物を」人気料理研究家・藤井恵さんが使う、深い味わいのしょうゆ、酢、味噌&味噌ナムルのレシピをご紹介!

しょうゆ、酢、味噌をはじめとした発酵調味料には、麹や乳酸菌の力によって生み出された旨味とともに、健康効果の高い成分も含まれています。おいしさの決め手であり、健康を応援してくれる存在の発酵調味料。おいしくヘルシーな料理で人気の料理研究家・藤井恵さんに、どんなものを愛用しているか、さらに、それを使ったレシピを教わりました。

・藤井 恵
・藤井 恵さん
料理研究家・管理栄養士
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家族の健康を考えたおいしくてヘルシー、簡単に作れるレシピが大人気。近年は更年期世代にフォーカスしたメニュー提案も多い。『藤井恵さんの更年期ごはん 心と体がラクになる食べ方の工夫』(世界文化社)など著書多数。

 

毎日体に入れる調味料は、質のよいものを

テレビや雑誌で紹介するレシピは、常にベーシックなものを大切にしているという藤井恵さん。

 

「一度作ると繰り返し作りたくなるレシピ」と語る長年の熱烈なファンが多いのは、こうした基本に忠実な、食べ飽きないシンプルなおいしさが魅力のようです。

 

また、近年はご自身も50歳を過ぎ、「仕事もプライベートも充実させるには、なんといっても健康がいちばん大切」ということを実感。健康が当たり前だと思っていた若いときよりも、体によいものを意識して食べるようになった現在のほうが体調がよいのだとか。50歳からの体を整えるレシピ本も数多く手がけています。

 

「調味料は、1回に使用するのは少量ですが、毎日体に取り入れるもの。できるだけ良質なものを選びたいと思っています。また、素材の味を引き立て、料理の味の決め手になるものなので、味のクオリティにもこだわって選んでいます。

店頭でパッケージを見て、おいしそうだなと思ったものはどんどん使って試してみます。気に入ったものに出会えるとうれしいですね。

ここで紹介するのは、そんなお気に入りの調味料。一度使い始めたら、そのおいしさ、香りの豊かさ、味の深みに感動されることと思います」とのこと。

 

そんな藤井さんが紹介してくださる発酵調味料。今回は、和食の基本調味料、しょうゆ・酢・味噌です。

 

 

素材を引き立てる、上品な香りと深い旨味の淡口しょうゆ

まず、藤井さんが取り出したのは、淡口しょうゆ発祥の地、兵庫県龍野で400年の歴史を持つしょうゆメーカー「ヒガシマル醬油」の、限定醸造淡口醤油「龍野乃刻(たつののとき)」

龍野は兵庫県南西部に位置し、播磨の小京都といわれている美しい城下町です。

 

「透き通った美しい色が特徴。深い味わいと甘味、上品な香りでとてもおいしいです。お刺身のつけじょうゆとしてはもちろん、大根おろしや冷ややっこなどの淡泊な素材の味を引き立ててくれますし、お吸物や煮物に使っても味が引き締まります。大豆や小麦など、原料はすべて播磨産を使用というこだわりもうれしいです」と藤井さん。

 

「龍野乃刻」は、研究開発に5年をかけて2002年に誕生。「究極の淡口しょうゆ」としてヒガシマル醬油が世に送り出した名品です。2005年には全国醤油品評会で、農林水産大臣賞を受賞。400年以上の伝統の技3つのこだわりが、その独特の旨味と香りを生み出しています。

 

1)大豆、小麦、塩、水など、材料はすべて厳選された播磨産の原料
2)春に仕込んで秋に搾るという伝統製法
3)こだわりの新製法「甘酒二段仕込み」
もろみの熟成中に一段目の甘酒を、熟成終了後に二段目の甘酒を仕込みます。
一段目の甘酒が深い味わいを作り上げ、二段目の甘酒が上品な甘味と芳香を与えてくれます。


限定醸造淡口醤油「龍野乃刻」
ヒガシマル醤油

※通信販売限定品で、今年の注文は終了。2024年6月から注文開始予定。

 

 

酢の物に最適の「穏やかな酸味」と「やさしい香り」

次に紹介していただいたのは酢。「飯尾醸造」の「富士酢 プレミアム」

 

「ツンとくるような、とがった酸っぱさではなく、とてもまろやかな酸味。加えて、やさしい香りと濃い旨味があります。野菜や魚介の酢の物や酢飯に使うと、この酢の豊かな味わいが感じられ、食べ慣れた定番のお料理の味もぐんとランクアップします」と藤井さん。

 

「富士酢 プレミアム」を製造している「飯尾醸造」は、創業明治26年(1893年)。京都・宮津で130年、お酢を造り続けている醸造元です。京都・宮津といえば、きれいな水と豊かな土、寒暖差の大きい気候といった、よい米を栽培し、よい酢を造るために欠かせない条件がすべてそろった場所です。

 

飯尾醸造では、自社の酒蔵で杜氏が創業からほぼ変わらない製法で清酒を仕込んでいます。こうした麹づくりからもろみの仕込みまで、すべて自社の蔵で行っているメーカーは非常に少ないのだそう。

 

そんな飯尾醸造が、「至高の純米酢」として、20年かけ、2代にわたって開発したのが「富士酢プレミアム」。原料には地元、京都・丹後の山里で栽培期間中 農薬不使用栽培の米を使用。

 

JAS(日本農林規格)では、「米酢」として表示するには、1ℓの酢を造るのに40g以上の米を使用していることが定められていますが、「富士酢 プレミアム」では、その8倍量にあたる320g以上の米を贅沢に使用。

 

こうしたことにより、ただ酸っぱいだけではない、アミノ酸がたっぷりの、コクと旨味の強い酢が出来上がります。

 

また、現代では、多くのメーカーでは8時間から長くても数日で発酵が終わる速醸法の「全面発酵」と呼ばれる、タンクの中に空気を人工的に送り込んで発酵を促進させる方法を用いていますが、飯尾醸造で行っているのは、「静置発酵」と呼ばれる伝統的製法。

 

タンクの表面の酢酸菌が自然発酵していくのを待つという方法です。この製法では、発酵だけで約100日間と時間はかかりますが、アミノ酸がとばず、まろやかな味の酢に仕上がるとのこと。そして、「長期熟成」により、やさしい香り、穏やかな酸味、そして円熟の旨味が堪能できる極上の純米酢に仕上がります。


富士酢プレミアム

飯尾醸造

 

 

酒精(醸造アルコール)無添加、国産原料使用の天然醸造味噌

最後は、長野県上高井郡小布施町にある味噌蔵「穀平みそ」天然醸造味噌。「穀平みそ」は、創業が天明4年(1784年)。古くから続く味噌屋さんです。小布施は奥信濃にあり、千曲川東岸に広がる豊かな土地。肥沃な土地を生かした特産品も多く農業の盛んな地域です。

 

藤井さんがこの味噌をすすめる理由は、その奥深い味わい。

 

「味噌はいろいろなメーカーのものを使用していて、料理によってもいろいろ使い分けたりしますが、これは、特に長年のお気に入り。私は日本酒が大好きでよく地方の酒蔵にお気に入りの日本酒を買いに行くのですが、長野の小布施にもよく行きます。そして、お目当ての酒蔵に向かう途中で『穀平みそ』さんにふらりと立ち寄って味噌を購入し、そのおいしさにすっかり魅了されてしまいました。

それ以来、小布施に日本酒を買いに行く際には、必ず立ち寄って購入しています」

 

穀平みそでは、1~2年の間、自然にじっくりと発酵させる「天然醸造法」を守り通しています。その深く豊かな滋味は、奥信濃の冷涼な空気と爽やかな気候から生まれます。もちろん、添加物は一切使用していません。


吟醸味噌 1㎏ 手量り詰め

穀平みそ

 

「吟醸味噌も、伝統ある天然醸造味噌。大豆の旨味と、麹独特の深い熟成の香りがとても気に入っています。加熱せずに生で食べるとその風味がよくわかります」とのこと。

 

そこで、藤井さんお気に入りの天然醸造味噌を使った、簡単ナムルを紹介していただきました。生で味わう味噌の風味で、野菜や魚介がぐんとおいしくなります。

 

「今回はグリーンアスパラガスを使用しましたが、もやしやごぼう、ほうれん草など、野菜は旬の野菜、その日に冷蔵庫にあるもので自在にアレンジしてみてくださいね」

 

【レシピ】味噌ナムル

材料(作りやすい分量)

グリーンアスパラガス: 200g
A
ごま油:大さじ1
味噌:小さじ2
おろししょうが:小さじ1/3

作り方

①アスパラガスは根元の硬い部分の皮をピーラーなどでむいて取り除く。斜めに4~5等分に切る。
②アスパラガスを沸騰した湯でさっとゆでてザルに上げる。

③ボウルにを入れて混ぜ合わせ、アスパラガスを加えてあえる。

 

 

撮影/神林 環 取材・文/瀬戸由美子

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