日々溢れる情報にさらされている私たちは、旅先でも、つい情報を確認するような受身な視点になりがちです。
でも奈良は、1300年前に日本最初の都が置かれてからこちら、多くの神社仏閣、仏像が作られた日本文化の発祥の地。また同時に、古くから薬草や生薬が使われてきた土地でもあります。
そしてここには、この地ならではの恵みを大切にし、守り受け継いできた人々がいます。
旅をしてそうしたものや人に出会うたびに、私たちは多くの「発見する喜び」を感じることができます。
視点により違った発見ができる場所である、奈良。奈良への旅では、この地の伝統野菜や素材を大切にしているレストラン、奈良ならではのもてなしをしているホテルももちろん訪れたいのですが、まずは五感を取り戻し、体の声を聞いて不調に向き合い、自分を整えられる貴重な場所に向かいましょう。
オオニシ恭子さんは、フードメディスナー。食を通じて心身のトラブルを改善するエキスパートです。長くヨーロッパの地で東洋的食養法を広めてきて、今は奈良県、初瀬のこの古民家で「やまと薬膳」を主宰。
女性のための、「艸(くさ)の下で(植物ベースの食で)体が楽になり、艸(くさ)を生活の彩りにさまざまに活用し、暮らしを楽しむ」食養生の知恵を、セミナーやオンライン講座で発信しています。
「奈良にはなんとなく惹かれるものがあって終の棲家に選びましたが、いいところに来たと感じています。なんといっても食材のパワーが強い。体を温めてくれる大和いも、肥沃な土壌で育つ宇陀の金ごぼう、免疫力を高める働きのある大和橘など、女性の不調におすすめしたいものがたくさんだから」
オオニシさんが今気がかりなのが、体が冷えている女性が増えていること。料理教室などの講座に訪れる女性も、体温が35℃台の人が少なくないそう。
「冷えは万病のもと。血行が悪くなると、指先や足先、脳などの末端まで酸素や栄養が行き渡りません。また、女性にとって最も温かい場所でなければならない子宮のあたりが冷えていると、さまざまな不調につながります」
そう話すオオニシさんが提唱する、冷えをとるためのお手当てとレシピは、今すぐ試してみたいものばかり。
次回から、その『冷えをとる“やまと薬膳”の大地の恵みレシピ』をOurAgeでご紹介していきます。
オオニシ恭子さん
フード*メディスナー®。食養料理研究家の桜沢リマ氏に学び、1981年に渡欧。以来32年にわたり、東洋的食養法を基本としながら欧州の素材と環境を取り入れた食養法「ヨーロッパ薬膳」の普及に努める。2013年1月より、奈良・初瀬の地に移住。心と体を整える食養生を考え、提案する「やまと薬膳」を主宰。料理教室や各種オンライン講座などの詳細はHPで。
https://yamatoyakuzen.com/
オオニシ恭子さんの「やまと薬膳」について、また奈良の野菜を大切にしていて、食べると元気がもらえるレストランや、奈良らしい最新のおすすめホテルなど、詳しい情報を一気に見たい方はぜひ、
撮影/福森クニヒロ 大段まちこ(外観) 取材・原文/井尾淳子