今回もちょっと不思議なタイトルです。
老後資金になぜパンプスとスニーカーが関係あるの?と思った方もいらっしゃることでしょう。
さっそくですが、その理由をご説明していきますね。
まず、あなたの靴箱をチェックしてみましょう。
そこにはどんな靴が入っていますか?
・お出かけ用の靴がいくつもある
・似たような色やデザインの靴がいくつかある
・「素敵!」と思って買ったものの、足に合わなかったりしてあまり履いていない靴がある
・履いていく場がそんなにないのに、ハレの日用の靴がいくつもある
……なんてことはないでしょうか。
一般的に50代になると、みなさん必要なモノはほとんどすでに持っている世代。
靴や洋服、生活雑貨などは、今手持ちのものだけで死ぬまでやっていけるというくらい、新たにモノを買わなくても暮らせるはずなんです。
◆「WANTS(欲しい)」「NEEDS(必要)」の違いを知って、買う前に自分に問おう
でも「今年の冬は新しいコートが欲しいな」とか「手持ちの服ばかり着ているのもつまらない」という気持ちもよくわかります。
そこでモノを「欲しい」と思ったとき、ひと呼吸おいて考えみてほしいことがあります。
その「欲しい」は欲望を刺激されているため欲しい(=WANTS)のか、または気持ちや生活の上で必要だから欲しい(=NEEDS)のかです。
現代は消費社会。
テレビコマーシャルをはじめとして、人々の「WANTS」を刺激する仕掛けがたくさんあります。
たとえば靴。
店先でふと目にしたパンプスを「素敵!欲しい」と思ったとします。
その「欲しい」はWANTSなのでしょうか?
それともNEEDSなのでしょうか?
それを判断する手っ取り早い方法は3つあります。
・すでに持っているもので似たようなものがないかを考えてみる
・それを履く機会がどれだけあるのか(使用頻度)を考えてみる
・靴箱の様子を思い浮かべる(すでにたくさんの靴でいっぱいだったら、さらに靴を増やす理由は何なのか)
です。
似たような靴は持っていないし、履く機会もたくさんありそうだし、手持の靴をどれか処分してでも手に入れたほうがよいと思う靴であるなら……。
その靴は〝NEEDSな靴〟という確率が高くなります。
◆老後資金を貯めたいのなら、メンテナンスにお金がかからないものを選ぶべし
ここまでは「WANTS」と「NEEDS」の違いと、その見極め方をご説明しましたが、ほかにもモノを手に入れる前に考えてみて欲しいことがあります。
それはコストです。
モノには最大で4つのコストがかかります。
①手に入れたときの値段
②手に入れた後、メンテナンスにかかる費用
③それを活かすための費用
④手放すときの処分費用
たとえばパンプスであれば、購入するとなれば①がかかります。
そして履いているうちに、ヒールの補修などが必要になってきたなら、メンテナンスのコスト(②)が生じます。そして③に当てはまるのが、パンプスの場合、服となります。パンプスに合う服(=パンプスを活かす服)はどちらかというとフォーマルなタイプの服。クリーニングが必要な服になりがちです。一回のクリーニング代は少額でも、積もり積もっていくと大きな額になっていきます。
その点スニーカーなら、合わせる服は自宅で洗えるカジュアルなものが多くなると思いますので、②も③もパンプスに比べればかかりません。老後資金を貯めたいのであれば、今のうちから服や靴などファッションアイテムのカジュアルダウンをはかってみましょう。
またカジュアルダウン化は、外食やレジャーでもやってみるとよいでしょう。
一番稼いでいたときに行っていたレストランや場所ではなく、リーズナブルで美味しいお店や入場料が安いのに一日中楽しめる場所を探してみる。
支出を抑えられるだけではなく、老後を楽しく過ごすことにもつながります。
◆使わずにしまい込んでおく。それが一番もったいない!
余談ですが、服や靴、バッグなど「ハレの日用」をしまいっぱなしにしていませんか?
最近、アラフィフ女子と話すと「高かったからとしまい込んでいた服を久しぶりに引っ張りだしてみたら、デザインが古すぎて、結局捨てた」とか「大事にしまい込んでいたハレの日用の服を、ふだんの日もどんどん着ることにした」と聞くことがよくあります。
・すでに持っているものは、購入時の金額が高くても、しまい込まずにどんどん普段使いする
・新たに買う場合は、「お出かけ用」「普段着用」と分けず、両方で使える出番の多いものを選ぶ
そんなモノとの付き合い方を意識していくことも大切かもしれません。
本日はここまで。
次回は「お金を貯められる人の特徴とは」をご紹介します。
【教えていただいた方】
1969年生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年に日本総合研究所に入社。在職中にFP資格を取得、98年に独立系FPとして転身。現在は、各種セミナーや講演、執筆、個人相談など幅広く活躍。CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格取得。「がんとくらしを考える会」理事、城西国際大学経営情報学部非常勤講師なども務める。著書に『がんとお金の真実(リアル)』『親の介護は9割逃げよ』『病気にかかるお金がわかる本』(共著)『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』『終活1年目の教科書』など多数。
取材・文/倉澤真由美、写真/山田真由美