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58歳パート主婦のモヤモヤ「結婚して30年。私は夫の家政婦じゃない!」/人間関係、仕事、セックス…アラフィフの”モヤモヤ”を一刀両断!藤森かよこの「読むワクチン」

家族の問題は、家族の数だけいろいろなパターンがあります。とはいえアラフィフの女同士、「それ、わかる~!」と共感できる部分も、もちろんあるはず。今回、藤森かよこ先生に晴らしていただくモヤモヤは、OurAge世代の悩みに多い「定年後の夫との関係」についてです。

言葉のワクチンを打ってくださった方(回答者)

藤森かよこ
藤森かよこさん
福山市立大学名誉教授、文筆家
公式サイトを見る

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。岐阜市立女子短大、金城学院大学短大部、桃山学院大学、福山市立大学を経て、福山市立大学名誉教授。アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者で、アイン・ランドの大ベストセラー『水源』『利己主義という気概』(ともにビジネス社)を翻訳。著書に『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』(すべてKKベストセラーズ)、『優しいあなたが不幸になりやすいのは世界が悪いのではなく自業自得なのだよ』(大和出版)、『ニーチェのふんどし』(秀和システム)などがある。

 

<58歳パート主婦のモヤモヤ>

 結婚して30年。

夫と結婚したことを後悔しています。

ワンオペで二人の子どもを育て、パートにも出て家計を支えてきました。

やっと子どもたちが巣立ち、ホッとしたのもつかぬ間、今度は定年した夫が家におり、いばりくさっています。

「私はあんたの家政婦じゃない! 経済力があったら、あんたなんかとっくに捨てているよ」と思いながら、我慢する日々です。

 

 

<藤森かよこ先生があなたに打つ「本日の言葉のワクチン」>

 

既婚女性で、結婚したことを後悔しているとおっしゃる人、本当に多いんですよね。

 

そして、あなたがついついそう思ってしまうのは、仕方がないと思う。

 

なぜなら、結婚後にしろ定年後にしろ、家庭そのものや妻の気持ちを考える人は男性にはあまりいないです。

そういう能力がないのです。それができる体力もありません。

ないものを求めても無意味です。

 

例えば「慣れない家事を頑張って覚えよう、楽しもう」という向上心を夫が持ってくれたらいいけれど、なかなかそうはいかないでしょう?

 

そろそろ、男性に過剰に期待することはやめませんか。

他人に期待するのは時間の無駄です。もっと自分の人生に本気で期待しましょう

徹底的に利己的になりましょう。

そうすれば、逆説的に他人に優しくなれますよ。

 

 

ところで「経済力があったら、夫なんか捨てている」とおっしゃいますが、すっぱり別れて夫のお金に頼らずに生きていく、という選択肢を本気で考えたことがありますか。

 

どうしてもそうしたければ、なんとか経済力をつけて、家を出ていきましょう。

 

でも、そこまでの強い決意でないのなら――。

家事も、夫の世話も、手を抜けばいいと思います。

 

今の自分に合ったペースで、自分が我慢を重ねずにすむ、そんなペースで動くのです。

 

 

夫と同じレベルに立とうとすると、イライラが増幅すると思います。

夫には「放し飼い」するような気持ちで接するのが得策ではないでしょうか。

 

放し飼いした当初は、夫が多少ごちゃごちゃ言うかもしれませんが、だんだん慣れるでしょう。夫も慣れるしかありません。だってあなたがいなければ、彼の生活は成り立たないんですから。

 

夫も大人なんだから、「自分のことは自分でやってよ」と突っぱねればいいんです。

そうこうしているうちに、少しは自分で家事ができるようになるかもしれませんしね。

 

夫へのイライラとは別の問題として、私はあなたの好奇心が枯渇していないかを心配しています。

 

あなたがもし、日々「退屈」を感じているなら、その退屈を吹き飛ばしてほしい。

退屈を吹き飛ばすコツは、夫という一人の人間にすべてを求めないことです。

 

退屈ってね、すでにわかっていることしか周りにない状態のことを言うんですよ。なんであれ、そこからもう何も学べないと思うと、退屈してしまうんです。

 

だから、今の自分の状況や悩みをいったんほったらかしにして、自分が知らない、わからないテーマに、あえて触れる機会を設けるといいと思います。

 

あなたは、読書が好きですか?

あるいは、映画やドラマを観たり、音楽を聴いたり、展覧会に行ったり、旅をしたり、といったことを楽しんでいますか。

 

方法は何でもよいですが、あなたがまだ知らない、わからないものに、積極的に接して「情報を得る」楽しさを取り戻してほしいのです。

 

要は、「ボケっとするな」と、私はあなたに言いたいのです。

 

50代はまだまだ「情報を得る」楽しさを享受できる年代です。

 

70代になった私は、あんなに好きだった読書も、目が疲れて以前のようにむさぼるようには読めなくなってきました。

それでもやっぱり、本を読んで、知らない情報を得る楽しみは何ものにも代え難い。

 

 

あなたもぜひ自分に合った方法で、新しい情報に触れる習慣をつくってほしいと思います。

 

いつか来る老後も楽しく生きられるように、引き出しを増やしていきましょうよ。

 

家でいばりくさっている夫なんて放し飼いにして、家のことは手を抜くこと!

その分の時間や体力を使い、どんどん新しい情報を得て、あなた自身の人生が明るくなるように、未来の糧にしてください。

 

取材・文/中沢明子 写真/Unsplash

 

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