曲家の古民家はスウェーデンのゲストハウス?!~福島県・南会津町~
南会津町に残る曲家(まがりや)は、L字型に曲がった茅葺屋根の古民家で、農作業などの大切な相棒だった牛や馬と一緒に暮らしながらも人々の生活空間と上手に住み分けていた、この地域独特の家の形です。前沢曲家集落が有名ですが、南会津町を旅すると、ぽつりぽつりとこの曲家スタイルの家を見かけます。
しかし、近づいてみると、この家はなんだか様子が違います。入口に大きな赤い木馬、そしてアーチ形の小窓と木馬のイラストが描かれていました。ここは、人気のゲストハウス&レストラン「ダーラナ」。およそ150年前の曲家を再生し、古民家の暮らしと北欧・スウェーデンの世界が融合するオーベルジュです。この木馬は「ダーラナホース」、幸せを呼ぶ馬です。
曲家のある南会津町の風景を見たとき、スウェーデンのダーラナ地方の風景と重なり、この地でオーベルジュを始めることになったそうです。オーナーは北欧で修業を積んだ料理人。スウェーデン大使館のレストランのシェフとしても活躍していました。「わたし、六本木のスウェーデン大使館のレストランに行きました!」「あ。それ、僕の料理です」わあ、懐かしい。そのシェフの料理がいただけるなんて、とても楽しみです。
部屋の扉を開けると、そこは北欧・スウェーデンでした。ダーラナ出身の画家・カール ラーション(Carl Larsson)の名前が付けられた部屋は、彼の家の壁と同じリボンのモチーフが描かれていて可愛い。それでも窓辺に近づいてみると、茅葺屋根や集落の風景が見えて、外国なのか?日本なのか?おとぎ話の中にいるような気分になります。
気になるお料理は、次ページに!
北欧料理・ダーラナの定番、アボカドサラダとニシンの酢漬け。ですが、アボカドの上にはマグロのたたき、これが、もっちりとしていて極旨。ニシンの酢漬けとのコントラストも抜群です。添えられているのは「さっき摘んできた“のびる”です。」南会津の春と北欧が一皿になった、楽しい始まりです。
こちらも日本の春、ホタルイカとのびるのマリネ。これが、日本酒の地酒にも合う!この日は、香り豊かでコクがある南会津の蔵元・国権酒造の一吉をいただきました。南会津のエリアまで来ると、生活圏としては新潟に近い感覚、日本海の幸もやってきます。
「今日、釣ってきたんですよ。天然ものだから大きさがバラバラでごめんなさいね」大きいのが1匹の皿もあれば、小さいのが2匹の皿もある。まさにそれこそが、ローカルキュイジーヌ。今、ここにある恵みをいただく美食です。天然ヤマメのグリルは、ほろ苦の蕗の薹のマヨネーズ風ソースで。春一番のグリーンアスパラは驚きの甘さ。南会津町の名産です。
フレッシュトマトのスープは、ちょっとスパイシー。トマトの酸味とスパイスが好相性です。山菜がようやく出始めて南会津に春がやってきました。5月の連休を境に山の色ががらりと変わる芽吹きの季節到来です。「7月になると地元の美味しいトマトが出ますから、ぜひ、またいらしてくださいね。」南会津町の中でもこの南郷エリアはリコピンたっぷりの「南郷トマト」が有名です。夏野菜とともに地元産の絶品トマト料理をいただくなら、夏が狙い目ですね。
ポークステーキのアンチョビチーズ焼き。そういえば、アンチョビとかニシンとか、青魚の魅力を知ったのは北欧料理だったのを思い出しました。
じゃーん。デザートです。お誕生日ではなくても、ホールケーキってテンションがあがります。しかも今宵は苺のショートケーキ。もちろん、これも全て手作りというから驚きです。
こんな幸せがあるのでしょうか。お腹いっぱいだったはずが、一口いただいた瞬間に別腹が存在していました。オーベルジュの夕食は至福の旅ごはんです。
ゲストハウス「ダーラナ」
http://dalarna.jp/guest/about.html
石井宏子
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