My Age2018年夏号では「カリフォルニアワインとSPA&ビューティを探す旅」として、カリフォルニアのさまざまな魅力をご紹介しています。なかでもソノマでは、これから日本でも注目されそうな新しい食のスタイルに触れることができたので、そちらをチラとご紹介しましょう。
それは「Farm to Table」というスタイル。直訳すれば「農園から食卓へ」となります。つまりは採れたてのフレッシュな野菜や、自家飼育で安全なお肉を食べましょうという話なのですが、これだけだと農家なら当たり前のことですよね。新しいのは、これがレストラン主導で行われているというポイントなのです。
ソノマの中心に位置する小さな街ヒールズバーグがまずその舞台。イタリアのトスカーナと比べられることも多く、食通やワイン愛好家が集まるグルメタウンでもありますが、そのなかでもレストラン「SINGLE THREAD(シングル・スレッド)」が代表的な存在です。
いま、便宜上レストランと書きましたが、実はここの正式名称は「Farm Restaurant Inn Single Thread」。つまり農園とレストラン、そして宿泊施設が一体化した施設だというわけ。レストランはミシュラン二つ星を獲得している高級レストランですが、ここで使用されているほとんどの野菜は5エーカー(約2万㎡)もの自家農園で栽培されたもの。野菜やハーブ、フルーツのみならず、テーブルを彩る花まで栽培し、はちみつや卵も自分たちで養蜂・養鶏して採取するなど、極力オーガニックな環境で育てられた安全・安心な食材を供給しています。
農園担当はカティーナ・コノートンさん。パートナーでシェフであるカイル・コノートンさんはザ・ウインザーホテル洞爺にある「ミシェル ブラス トーヤ ジャポン」でシェフを務めた経験を持ち、日本の食材や調理法にも精通しています。数あるカリフォルニア・キュイジーヌの中でももっとも先鋭的な美食を楽しめるレストランのひとつだと言えるでしょう。
同じく「Farm to Table」が楽しめるのはやはりソノマのワイナリー「Russian River Vineyard」です。いま注目されているワインの産地であるロシアン・リヴァー・ヴァレーに位置するこのワイナリーの名物も畑直結のレストラン。ワイナリーに隣接した1.25エーカー(約5,000㎡)では200種もの野菜とハーブが完全オーガニックで栽培され、素材の味を活かした料理へ仕立てられていました。
たとえばこちらはビーツにサワークリームをたっぷり添えたトースト。ほかにもスパイスを効かせたカボチャのローストやフレッシュなハーブたっぷりのサラダ……どれも美味でしたが、私が一番気に入ったのはこちら。
シンプルなポテトチップスです。じゃがいもそのものの味が濃いのでしょうか。スライスして揚げ、塩をぱらりと振っただけなのですが、まさにやめられない、止まらないおいしさでした。
カリフォルニアの陽光がさんさんとふりそそぐテラスで、採りたての野菜とワイン。大地の恵みをペアリングで味わえるのは最高の贅沢だと言えるでしょう。「Farm to Table」はこれからも気になる食のキーワードのひとつです。
Single Thread www.singlethreadfarms.com
Russian River Vineyard www.russianrivervineyards.com