クロモジと聞くと、まず思い出すのはお茶席や和菓子店で使っている楊枝ではないでしょうか? 千利休がお茶を点てたときに、庭のクロモジを小刀で削り、和菓子に添えてもてなしたという話が伝えられています。
クロモジは香りのよい精油成分を含んだ樹木。枝を折ってみると甘く、それでいて頭がすっきりとするような爽快感のある香りがします。日本では古くから、この精油成分をさまざまなものに生かしてきました。
歯磨きの習慣は江戸時代から始まったという説がありますが、クロモジは折ると芳香があるので、歯を磨く道具として使われていたとも言われています。また、鎮静作用が認められ、生薬として薬酒などにも使われてきたそうです。
そして現在、クロモジは健康効果の高い「和ハーブ」として、あらたに注目を集めています。
クロモジは、日本のあちらこちらの山林に自生しており、クロモジの林で森林浴をすればリラックス効果が得られるそうです。
枝に葉がついたままで採取し、蒸留することによってできた精油がクロモジ油。香りがよいため香水や石鹸として利用され、リラックス効果の高い商品として人気のようです。
また、クロモジには「プロアントシアニジン」と呼ばれるポリフェノールが含まれているとのこと。ポリフェノールの抗酸化作用により、老化予防や美肌の効果が期待できそうです。さらに、細胞内の抗酸化酵素を活性化し、間接的にウイルスの増殖を抑える働きがあると言われ、感染症予防効果の研究も進められているようです。
和菓子をいただくときにちらっとお目にかかるだけのクロモジでしたが、クロモジの小枝で作る「クロモジ茶」なるものをいただいたので、早速飲んでみました。
改めて香りをかぐと爽やかですっきりとした、とてもよい香りがするのだということがわかりました。カフェインが含まれていないのでお子さんも妊婦さんも、どなたでも安心して飲めます。口に含むと、クロモジの柔らかい甘さも広がる、とても飲みやすいお茶でした。
クロモジ茶大さじ1(煮出し用お茶パックを利用すると便利)を1リットルの水から煮立てて10分沸かします。沸騰してくるとなんと、ピンクの色に! 飲んでみるとハーブティーとして、よい香りを楽しめます。
クロモジには消炎作用もあり、花粉症の不快な症状を和らげる効果も期待されているようです。リラックス効果の高いお茶として、また、花粉の季節や肌荒れの時期を快適に過ごすためのアイテムとして、続けて飲んでみたいと思います。