畑のあるお蕎麦屋さん～栃木県・板室温泉～

石井宏子

温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト
温泉旅で心も体もきれいになる
“ビューティツーリズム”を提唱。
トラベルジャーナリストとして取材執筆・
温泉の講演などで、年200日全国を旅する。

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畑のあるお蕎麦屋さん～栃木県・板室温泉～

お蕎麦は日本のソウルフードのひとつかもしれません。日本各地を旅すると、その土地の食べ方がある「○○蕎麦」があったり、手打ち蕎麦屋さんがあったり。今回、那須塩原の板室温泉を旅した時に立ち寄ったお蕎麦屋さん「柏屋」は、お店に入るとすぐ横で手打ち蕎麦を作っていらっしゃるのが見えます。北海道沼田産の蕎麦の実を使い、店の中で石臼を使ってそば粉を引き、細くて美しい十割の蕎麦を、ゆでたてで出してくれます。

人気なのは、鳥団子汁そばだと聞いて、さっそくいただいてみました。ふわっふわの鳥団子はジューシーな味わい。濃いめの熱々の鳥団子汁に繊細なお蕎麦をさっとからませていただくと、そばの香りがふんわり広がって、後からじわーっと鳥団子のコクのあるつけ汁の味わい・・・。

これで感激していたのですが、さらに驚いたのは「天ぷら」。こちらのお店では天ぷらは別注料理になっていて、しかもすべて野菜のみの「精進てんぷら」。ちょいと盛りとしっかり盛りと2種類。（写真はしっかり盛り）

え～、天ぷら？鳥団子汁そばでお腹いっぱいになっちゃうかも～。とか言っている場合ではありませんでした。このお店にいらしたら、ぜひとも、この精進てんぷらをいただいてみてください！！

理由は、これ。野菜まるごとごろん。それをさっと揚げた、とても珍しいスタイルなんです。人参まるごと、塩をちょっとつけてパクリといただくと「甘～い」。そして、人参の香りがほわーんと鼻へ抜けていきます。これは、美味しい。本当に生の人参を揚げたの？甘く煮てから揚げたのではないですよね？と、お店のおかみさんに聞いてしまったほどです。

赤い丸いものは「トマト」。かぼちゃもオクラも、野菜の味と香りが濃厚なんです。天ぷらは油を使っているからと敬遠する人もいらっしゃいますが、実は衣をまとわせることで、中の食材を蒸し焼きにすることになり、栄養分を中にぎゅぎゅっと閉じ込める調理法なんです。特に野菜のビタミンＣや、β-カロチンなど、肌のアンチエイジングやハリを保つために欠かせない栄養分を逃さずいただくことができるそうです。そして、良質な油と一緒に摂取することでビタミン類の吸収力も高まります。