睡眠によって美と健康をもたらすさまざまなホルモンが分泌されることはわかりましたが、
睡眠は時間だけでなく「質」もとても重要なもの。
あなたは質のいい睡眠がとれているでしょうか?
まずは、下のテストでチェックしてみましょう。
多く当てはまった人は、眠りの質が低下!
上のチェックリストで、当てはまる項目が多い人ほど、眠りの質が低下中。
ご紹介する方法で睡眠の質を高めて。
今日から始める! 睡眠の質を高めるための22カ条
寝る時間や長さ、一日の過ごし方、寝具など、睡眠の質を高める22のコツをご紹介します。寝苦しい夏の夜もこれでぐっすり!
1
ふたつの若返りホルモンの
分泌時間が重なるように寝る
睡眠中の若返り効果を高めるコツが、成長ホルモンとメラトニンの分泌時間が重なるように寝ること。
「成長ホルモンの分泌が高まるのは、入眠後3時間の眠りが最も深くなる時間帯。一方、メラトニンは起床後朝日を浴びてから15〜16時間後に分泌が始まり、その後2〜3時間でピークに。例えば6時に起きて朝日を
浴びたら21時頃から分泌が盛んになり、23〜24時頃に多量に分泌されるので、このとき就寝すればスムーズに寝つけ、眠りも深くなります。すると成長ホルモンの分泌も促され、メラトニンの分泌のピークと重なり
ます。ふたつのホルモンが同時に分泌されると働きが活発になり、若返り効果が数倍にアップ。ですからふたつのピークが合うように就寝するのが理想的です」(根来先生)
6時に起床し、23時に就寝するのが理想的
成長ホルモンとメラトニンの分泌のピークを重ねるには、6時に起床し、23時に就寝するのが理想的。午前0~1時頃にメラトニンと成長ホルモンのピークが重なり、若返り効果が倍増
2
理想の睡眠時間は「寝ている」
時間を7時間確保すること
睡眠の長さのベストは7時間。「アメリカの研究で最も死亡率が低く、長生きだった人の睡眠時間は7時間で、それより長すぎても短すぎても死亡率が高いという報告があります。6時間以下だと血糖値を上げ
る遺伝子が活性化し、体内の炎症が起きやすいこともわかっていますし、睡眠中に分泌されたホルモンが全身に届き、修復を十分に行うにも7時間が理想的。というと7時間寝床に入っていればいいと思いがちですが
それではダメ。眠っている時間を7時間確保してください」(根来先生)
次ページに続きます。3
朝に向かうほど浅い眠りが増えるので、
なるべく12時には寝る
成長ホルモンは入眠3時間後に多く分泌されるなら、就寝時間が後ろにずれても同じように分泌されるのでは? とも思いますが、実はそうではありません。
「睡眠中は、深い睡眠のノンレム睡眠と、浅い睡眠のレム睡眠が交互に繰り返されます。ただ、明け方に向かうにつれて、レム睡眠が多く出現するようになります。それに加えて、眠りを誘うメラトニンは明け方に向かうにつれて減っていき、逆にストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが増えていきます。これらの影響で、午前3時頃から明け方に向かうほど眠りは浅くなります。成長ホルモンの分泌を高めるには、できるだけ眠りを深くする必要があるので、遅くとも12時には寝たほうがいいのです」(内田先生)
【午前3時以降は眠りが浅くなりやすい】
明け方に向かうほどレム睡眠が増える
睡眠中はノンレム睡眠とレム睡眠が交互に繰り返されています。寝入りばなの3時間までに最も深いノンレム睡眠が多く出現し、明け方に向かうと浅いレム睡眠が増えます
朝に向かうにつれメラトニンが減りコルチゾール増加
朝に向かうにつれ、メラトニンは減少。一方、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの分泌は徐々に増え、体は目覚めモードに。このため明け方は眠りが浅くなります
次回も『眠りの質を高めるための22ヵ条』つづきます!
お話を伺った方々
すなおクリニック院長
内田 直さん Sunao Uchida
1956年生まれ。医学博士。精神科医。スポー ツドクター。早稲田大学スポーツ科学学術院 教授などを経て現クリニック開業。睡眠にまつわる病気やうつ病、認知症の診療にあたる
ハーバード大学医学部客員教授
根来秀行さん Hideyuki Negoro
1967年生まれ。医学博士。パリ大学医学部客 員教授。事業構想大学院大学理事・教授。専門は抗加齢医学、睡眠医学など。著書『「毛細 血管」は増やすが勝ち!』(集英社)も話題
快眠セラピスト
三橋美穂さん Miho Mihashi
寝具メーカー勤務を経て独立、睡眠のスペシ ャリストとしてメディアや多方面で活躍。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)など
撮影/天日恵美子 スタイリスト/程野祐子 取材・原文/和田美穂 撮影協力/アワビーズ