疲れが取れるかどうかに最も大きくかかわっているのが睡眠の質。ちょっとした工夫で睡眠の質は上げられるのです。眠りの質を高めれば、寝ている間に疲労回復!
2回に分けてご紹介します。
●寝る前にコップ1杯の白湯を飲む
寝ても疲れが取れないのは、水分不足が原因の場合も。
「体からはつねに呼吸や皮膚から水分が失われているため、水分を補わないと脱水症状を起こしやすくなります。特に起こしやすいのが睡眠中。脱水状態になると血圧や心拍を整える自律神経の負担が増え、寝ても疲れが取れなくなる原因に。これを防ぐため寝る前にコップ1杯の白湯をとりましょう。水分補給だけでなく、胃腸が温まり副交感神経が優位になって寝つきやすくもなります」(梶本先生)
●疲れが取れやすいのは右向き寝
寝姿勢でも疲労回復度が変わり、最もよいのが〝右向き寝〟なのだそう。
「仰向けで寝るといびきをかきやすくなります。いびきは舌根や喉の筋肉が下がって気道を圧迫して生じますが、すると呼吸に多くのエネルギーが必要で、自律神経も稼働して疲弊し、寝ても疲れが回復しません。おすすめは右向き寝です。横を向くといびきが抑えられるうえ、右を下にすることで胃の消化も助けられて自律神経の負担が減り、疲れが取れやすくなります」
大阪市立大学医学部疲労医学教室が開発した高反発横向き枕と抱き枕のセット。特殊形状の高反発ラテックス使用で、横向き時に首が折れるのを防止。
ラテックスメディカルピロー&抱き枕セット¥16,800/東京疲労・睡眠クリニック
足元まで支えて横向き寝の際の肩や腰への強い圧力を軽減、いびきに着目した抱き枕。
ボディピローいびき¥38,000/ロフテー
●疲労回復に必要な睡眠時間は最低5時間
忙しくて睡眠不足の人も多いけれど、疲れを取るために必要な睡眠時間は最低5時間。
「睡眠中は浅い〝レム睡眠〟と、深い〝ノンレム睡眠〟が90分ほどの周期で繰り返されます。ノンレム睡眠は、深さの度合いによってステージ1〜4に分かれ、最も深い眠りのステージ3〜4が睡眠中に3回は起こると疲れが取れるといわれています。ですから90分×3回に、ベッドに入ってから就寝するまでの時間を加えて最低5時間は睡眠時間を確保するのがベスト。眠りには〝質〟も重要で、必要な睡眠時間には個人差がありますが、最低限5時間はとることを目指しましょう」
東京疲労・睡眠クリニック院長 梶本修身さん
Osami Kajimoto
イラスト/いいあい 取材・原文/和田美穂