比叡の山中、発酵食とお勤めで美を磨く
こんにちは小野アムスデン道子です。
今回は、京都と滋賀にまたがる比叡山の山中、世界文化遺産である延暦寺の続き地に立つという「星野リゾート ロテルド比叡」で、心身の美を磨くべく、近江伝統の発酵食体験とお寺でのお勤めに行って参りました。
京都駅から送迎バスで約45分、緑濃い比叡山の中に佇み、遠く琵琶湖を望む「星野リゾート ロテルド比叡」。ここは、滋賀県近江の食を生かした美食の宿“オーベルジュ”です。伝統の発酵食“鮒酢(ふなずし)”や琵琶湖で獲れる“琵琶鱒”や鮎、アマゴなど近江の食材を使った洗練のフレンチが味わえます。こちらはディナーの前菜からデザートまでの5品コースを、一口のアミューズに仕立てた一品。
発酵食は、食品保存のための古来からの智恵。ヨーグルトやチーズはじめ味噌や納豆、お酒、漬物なども発酵食の一つ。独特の風味に、乳酸菌を助けて腸の働きを整え、結果、免疫力アップやデトックスにもよいといいます。
ここ近江の鮒鮓は、奈良時代からすでに作られていたそうで、春に獲ったフナを塩と飯(いい)に漬け込んで発酵させることで、魚のタンパク質がうまみ成分であるアミノ酸に分解されます。さて、そのお味は?
強烈な臭みがあるかも…と思ったのですが、ディナーの一品に出た鮒酢は、フロマージュブランと酸味のある貴腐ワインのジュレに包み込まれて、同じ発酵食品であるチーズに独特の深みを与えた感じ。確かに淡水魚の切り身なのですが、私にはちょっと野性味あるオレンジ色のチーズ、ミモレットと似ている風味に思えました。
山椒の香りが効いたウナギの炭火焼は、生姜のソースを添えて。付け合わせの野菜の美しさはため息もの。そして最後に再び鮒酢のリゾットが出ました。こちらも香ばしい焼きチーズの香りと野菜の出汁が効いていておいしくいただけました。
どれも、近江の湖からの恵みがフレンチと出会って、新たな魅力を放つ料理に仕上がっていました。珍しい滋賀県のワインも自社農園100%でなかなかのおいしさ。
一泊した翌朝は、早朝6時半から延暦寺の総本堂である国宝「根本中堂」で朝の勤行に参加。お香が焚かれたお堂に、ご本尊である薬師如来と不滅の法灯が浮かび、木魚と唱経の声が響きます。祈願の声を聞くうちに清らかな気持ちになれる貴重な時間でした。
朝早い参拝の後には、琵琶湖の恵みをふんだんに使った朝ごはん。琵琶鱒のマリネのサラダやクネル(ソーセージ)に近江米のリゾットと、オーベルジュならではの特別な朝食が楽しめます。
緑深い延暦寺の荘厳な空気とこれも深い青の水をたたえた琵琶湖の眺め。そしてそんな近江の自然の恵みや伝統の発酵食を生かしたフレンチ。時間があれば延暦寺から日本一長い「坂本ケーブル」で行く風情のある門前町、坂本町の散策もおすすめ。
おいしい料理をいただきながら、清々しい気分になれる日本のオーベルジュの特別な体験でした。
星野リゾート ロテルド比叡
住所:京都府京都市左京区比叡山一本杉
電話:050-3786-0022 (星野リゾート予約センター)
料金:1泊2食付2名1室利用時 1名27,000円〜