若い頃とはなんとなく違ってきたことの原因がここに!?
タンパク質不足が招く、体への悪影響とは?
最近、気になる不調や症状はありませんか? それは実はタンパク質不足が原因かもしれません。 それほどタンパク質は体に必要なもの。気になる不調ポイントを、ひとつひとつチェック!
今回は、3.更年期 と 4.老後 の体の不調ポイントをご紹介します。
タンパク質こそ
私たちに必要な栄養素!
よく耳にすること。日本人は農耕民族で伝統的に穀類や野菜を食べていたので、腸が欧米人よりも長い。だから肉を食べると長く腸にとどまり腐敗しやすいので、肉食には適していないというもの。
「これは都市伝説のようなもの。ある研究グループが、50歳以上の日本人とアメリカ人各650人ずつ、大腸に内視鏡を入れて調査したところ、長さに変わりはないことが判明しています」(藤田先生)
つまり、日本人の腸でも、肉はちゃんと消化されるということ。
タンパク質不足になると、肌や髪のコラーゲンが不足して、ハリがなくなります。筋肉が落ちれば太りやすくなり、更年期以降は骨の健康にも悪影響が。タンパク質はホルモンや神経伝達物質などの材料にもなるので、不足すると心の病気の原因にも。各臓器の細胞膜の材料が足りなければ、細胞が弱くなり、がんになるリスクも高まります。
「タンパク質こそ私たちにいちばん必要な栄養素。特に50歳からは、低糖質&高タンパク質の食事をおすすめします」
3 更年期
不定愁訴がひどくなる
ほてり、のぼせ、多汗などのホットフラッシュ、めまい、倦怠感、精神的な落ち込みや不安感…更年期の症状はさまざまな形で現れます。閉経により卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、ホルモンバランスがくずれることが原因です。ここでも体やホルモンの材料になるタンパク質が活躍!
さらに、大豆製品に含まれるイソフラボンという成分は、女性ホルモンのエストロゲンの分子構造とよく似ているため、積極的に摂取したいところです。また男性の場合は筋肉量を増やすことで、男性ホルモンの分泌を促すことができます。そこでもやはり良質なタンパク質が不可欠というわけです。
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4 老後の体
将来寝たきりになりやすい
骨の健康に必要な栄養素といえば、カルシウムが真っ先に頭に浮かびますが、実は骨のほとんどはタンパク質でできています。骨はタンパク質の線維で形が作られて、そこにリン酸カルシウムが沈着している状態です。まずは骨組みをしっかりさせることが先決。健康な骨のために、タンパク質は必須なのです。
骨も定期的に生まれ変わっており、閉経により、それに関与している女性ホルモンが減少することで、一気に骨が弱くなります。骨粗しょう症になると、ちょっとしたことで骨折して、寝たきりになることも。骨のコラーゲン合成を促すために、タンパク質に加えて、鉄とビタミンCも同時に摂取するといいでしょう。
藤田紘一郎さん Koichiro Fujita
1939年生まれ。東京医科歯科大学名誉教授・医学博士。
専門は寄生虫学、感染免疫学。免疫、腸研究の第一人者。
腸や長寿食に関する著書多数。
近著に『50歳からは肉を食べ始めなさい』(フォレスト出版)
次回は、タンパク質が不足することで太りやすくなってしまう理由についてご紹介します。
取材・原文/山村浩子 藤田紘一郎