いし こんにちは、ぐうたらライターいしまるこです。
脳の海馬を鍛える根来式脳トレその2ですよ。
根来 こんにちは、根来秀行です。
今回は、「エクササイズで海馬の神経細胞を増やす!」の巻です。
いし え、でも脳の神経細胞は歳とともにどんどん減っていくのでは?
根来 確かに、それが脳科学の常識でしたが、近年、間違いだとわかったんですよ。脳の神経細胞であるニューロンの数は生まれた時が一番多く、3歳くらいまでに約70%が一気に消滅します。それ以降はほぼ一定で、100歳まで生きてもほぼ変化なし。さらに、大人になってからも、新たに神経細胞が生まれ続けている部位も明らかになりました。
いし えっ、ニューロンが増える!?
根来 はい。その部位は海馬の一部で、情報の入り口と考えられている歯状回です。
海馬の歯状回を構成する「顆粒細胞」は、脳のニューロンで唯一増殖します。
いし 歯状回が海馬における情報の入り口ということは、歯状回の細胞が多いと、記憶力にもいい影響があるのでは!?
根来 その通り! 海馬に入ることができる情報の容量が増え、記憶力がよくなるのです。最近の研究では、歯状回での新しいニューロンが、多くの異なった事柄や新旧の情報を結びつけ、連想を助けているという意見もあります。
いし ヘェ〜。でも、年とともに細胞の新陳代謝は低下するんでしょ?
根来 歯状回の顆粒細胞の新陳代謝は年齢に関係なく旺盛で、次々に生まれ、次々に死んでいき、3〜4カ月もあれば全ての顆粒細胞が新しく入れ替わります。まだ研究段階ですが、認知症の治療として、顆粒細胞の移植治療が期待されています。
いし 顆粒細胞を増やす方法はないんですか?
根来 顆粒細胞の増殖率を上げる研究も進んでいて、運動によって顆粒細胞が新生することが明らかになってきました。定期的に行える、心拍数と血流を上げる運動です。
ただし、激しい運動は活性酸素を発生させてしまうので、かえって脳にダメージを与え逆効果。1日5分の筋トレplus 15〜30分のウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動でOKです。
いし よく適度な運動がいいっていうけど、記憶力にも関わってくるんですね。
根来 あと、複雑な課題や特定の目標に集中している時や、積極的に人と交流することでも、新しいニューロンができることもわかっています。
いし 逆に、ニューロンの新生を妨げるものはなんですか?
根来 やわらかいものばかり食べる、一人で孤独に過ごす、心身への強いストレス、過度な飲酒、麻薬などは、ニューロンの増殖を低下させることが報告されています。
いし アルツハイマー病などの認知症の場合は、海馬や大脳皮質のニューロンが死んで脳自体が萎縮し、記憶力が低下すると聞きますが‥。
根来 認知症は加齢とともに発病リスクは高まりますが、むやみに怖がって悲観的なイメージに縛られていると、かえって脳に悪い影響を及ぼしますよ。
アメリカの大学で若者と年配者に実施した記憶テストの実験では、テスト前に「ただの心理学の試験」と説明した時は、若者・年配者の成績に差がなかった。ところが、「通常高齢者のほうが成績は悪い」と説明して同じ試験を行ったところ、若者の正解率は変わらなかったのに、年配者は低くなりました。
つまり、ネガティブな自己暗示は記憶力を低下させるんです。いつまでも記憶力を高く保つには、くよくよしない能天気さも大切です。
いし 体や心が病んでいると能天気ではいられないですよね。
というわけで、やっぱりコレでしょ!
脳も体も心も、すべての疲れは細胞呼吸の衰えから。疲れが抜けず、スッキリしない日々から脱却したい人はぜひご一読を。世界を股にかけて活躍する根来教授の叡智が詰まった集大成の一冊です。
根来 ハイ、あらゆる病気の根幹に関わる細胞呼吸は、生きるうえで最重要な体の仕組みです。必ずお役に立つ一冊ですので、是非、手元に置いてください。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
根来先生の著書「病まないための細胞呼吸レッスン」より、
自律神経のバランスを整え、ストレス耐性を高める「基本の4・4・8呼吸法」という動画がYoutubeにアップされました。ぜひチェックしてみてくださいね!
(次回は「記憶力を高める脳波を引き出すには?」です。お楽しみに! )
取材・文/石丸久美子 イラスト/浅生ハルミン