口角下制筋の硬直が主な原因
目尻にできるシワ、通称カラスの足跡や、鼻から口角にできるほうれい線は若い人にも見られる表情ジワです。
しかし、口角から下に向かって縦にできるシワ、通称「マリオネットライン」は40歳頃から目立つようになる、いわば「老化ジワ」のひとつ。
「これは、口角からあごにつながる表情筋のひとつ、『口角下制筋』やそのまわりの筋膜の硬直や癒着が大きな原因です。
口角下制筋は、口角を上げたり下げたりする動きにかかわっていて、ここがこり固まると、頬の皮膚や脂肪を支えられずにたるんでしまいます。これがマリオネットラインとなります。
特に、口角下制筋は奥歯を噛み締めたときに口角を下げる働きをします。そのため、食いしばりや常に不平不満を言って口角を下げる癖がある人は、口角下制筋が硬直しがち。
口角が下がって、マリオネットラインが目立つと、年齢よりも老けて見えるだけでなく、不機嫌な印象を与えます。
顔には表情筋がたくさんありますが、このマリオネットラインはできるだけ予防・改善したいシワのひとつです」(木村友泉さん)
美容医療でもポイントになる口角下制筋をほぐす!
では、マリオネットラインの予防・改善にはどんなことをしたらいいのでしょうか?
「まずは口角下制筋をしっかりとほぐしてあげることが大切です。
美容医療のマリオネットラインの改善では、この部分にボトックス注射(※)をします。セルフケアでは、まずはここの硬直した筋肉や筋膜をほぐすのがおすすめです」
※ボトックスとはボツリヌス菌が産生するA型ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)のこと。これを表情ジワが気になるところに注射することで、筋肉の動きを抑えてシワの改善をする治療方法です。ほかに張ったエラの改善や多汗症の治療などにも使われています。
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ウォーミングアップ
マリオネットラインがある部分の筋肉と筋膜を緩めます。
口角下制筋は口角から下あごに向かって扇状に広がっています。
口の左右にあるこの部分に左右それぞれの人差し指と中指の腹を当て、残りの指は左右で軽く重ねます。これは両手が広がっていかないように固定するためです。
この状態で手を左右に小刻みに揺らします。これを4~5秒行います。
口角下制筋をつまんで揺らす
口角下制筋を表と裏から挟んでほぐします。
口角から扇状に広がっている口角下制筋の内側の端、口角の真下より少し内寄りの部分に人差し指を当て、そのあごの裏に親指を当てます。
こうしてあごを挟むようにして左右に小刻みに揺すり、筋肉と筋膜の癒着を緩めます。
つまんで痛みを感じるところが癒着部位。痛気持ちいいところを探して行うといいでしょう。これを左右同様に行います。
指と舌でアイロンをかける!
へこんだシワを表と裏からプレスして伸ばします。
マリオネットラインの縦のシワの部分に、人差し指、中指、薬指の3指の腹を当てます。その部分を口腔内から舌で押し上げます。この状態で舌を上下に動かして、アイロンをかけるようにシワを伸ばします。これを4~5秒×5~6回繰り返します。片側だけを行い、笑ってみると口角が上がりやすくなっていることを実感できます。変化を感じられたら反対側も同様に行います。
「口角下制筋は効果がすぐに出ますが、ケアを怠るとまたすぐに硬直します。とても小さなことのように思いますが、チリツモ(塵も積もれば山となる)です。これを毎日の習慣にすれば、3週間後には表情が変わってくるはず。また、うれしいこと、悲しいこと、不満などは口元に表れがちです。鏡で自分の表情癖を確認して、特に口角を下げる癖がある場合は改善するようにするといいと思います」
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【教えていただいた方】

LHJ(Life &Health Joy)代表。薬剤師として勤務するかたわら、リンパケアのインストラクターに。体に負担がなく、効果的な美容・健康法であるリンパケアの普及に取り組んでいる。テレビ、ラジオ、講演などで活躍。著書に『60歳からのリンパケア入門』(宝島社)、『1日10分でどんどん若返る! 一生使える若返りリンパケア』(三空出版)など多数。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子