髪の悩みは頭の筋肉のこりが大きな原因
40歳を過ぎた頃から、髪のボリュームがなくなった、髪一本一本が細くなった、白髪が増えた…という声をよく聞きます。その原因は、加齢による女性ホルモンの低下、ストレス、栄養不足、不規則な生活習慣など、複数の原因が考えられています。
「髪の悩みは、いろいろな要因が複雑に絡み合って起こります。その原因のひとつに、頭の筋肉のこりが挙げられます。
頭の筋肉は、頭の前部分の『前頭筋』、後ろ部分の『後頭筋』、両サイドの『側頭筋』で構成されていて、これらを頭頂部にある『帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)』という腱膜がつないでいます。頭皮や毛髪の健康を守るためには、この4つの部位が柔軟性を保っていることがとても大切。
この4つの部位がこり固まっていると、頭皮の血液やリンパの流れが滞り、毛根に老廃物がたまるなどして、十分な酸素や栄養が行き渡らなくなります。こうした状況が続くと、髪の健康にも影響が出ます」(木村友泉さん)
ヘアバンド・ラインを心地よくほぐす!
「特に、目が疲れると眼輪筋の疲労から前頭筋が硬くなり、肩や首のこりがひどくなると後頭筋が、嚙みしめる癖があると側頭筋が硬くなります。これらが硬直すると、それらをつなげている帽状腱膜も緊張します。
ストレスフルな現代人は、頭の筋肉がコチコチに固まっていることがとても多いですね。髪に十分な栄養を届けるためにも、ここをしっかり緩めてあげることが大切です」
ウォーミングアップ
【1】肩と肩甲骨まわりの筋肉を緩める
まずは、左右の手を体の後ろ、お尻のあたりで組み、腕をできるだけお尻から離して上げます。この状態で、両腕を上下左右に動かして、肩や肩甲骨まわりの筋肉をストレッチして緩めます。
【2】後頭部と首の筋肉を緩める
続いて、両手を頭の後ろに回し、左右の指を組むようにして、後頭部の下から首の上部(髪の生え際あたり)に当て、骨を揺らすイメージで振動を加えるように、上下に小刻みに4~5秒揺らします。
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「天柱(てんちゅう)」のツボをプッシュ!
首の後ろ側、髪の生え際あたりを押す。
「天柱」は首の後ろ側中央のくぼみ「盆のくぼ」の両脇にあります。
ちょうど2本の太い筋肉の上部、ここに両手の親指を当て、少し下から上に向けて押すように圧をかけます。心地よい程度の圧で3~4秒押して、ゆっくり離します。これを数回繰り返します。
写真のように、親指以外の4本の指を広げて頭の後ろに当てると、力が入りやすくなります。
ヘアバンド・ラインをほぐす
前頭筋、後頭筋、側頭筋、それらをつなぐ帽状腱膜のつなぎ目を緩めていきます。
右のこめかみの斜め上あたりに、右手のこぶしの第二関節部分を当てて、小刻みに左右に揺らします。左手を頭の反対側に当てると、安定して揺らすことができます。
場所を少しずつ上にずらして、前頭部まで同様に、続いて、こめかみから後頭部に向けて同様に行います。
次に、左手のこぶしで頭の左側を、右手で反対側を押さえながら、同様に行います。
ちょうどヘアバンドを巻いたときの赤いラインの部分を、頭の右側、左側をまんべんなく行いましょう。
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揺らしたときに、痛みを感じる部分は癒着があるので、少し長めにほぐしていきましょう。頭部のこりは日や季節によっても変わります。体調に合わせて柔軟にケア方法を変えることで、心理的な頭部のしばりもほぐれます。
慣れてきたら、頭の左右を同時に行ってもOK。行う順番も、前頭部→側頭部→後頭部など、行いやすい方法で問題ありません。
「頭の筋肉や頭皮はストレスをためやすいので、一日の終わりにはかなり疲労しているはずです。疲れはその日のうちに、こまめに解消していくことが、毛髪の健康を保つためにも重要です」
【教えていただいた方】

LHJ(Life &Health Joy)代表。薬剤師として勤務するかたわら、リンパケアのインストラクターに。体に負担がなく、効果的な美容・健康法であるリンパケアの普及に取り組んでいる。テレビ、ラジオ、講演などで活躍。著書に『60歳からのリンパケア入門』(宝島社)、『1日10分でどんどん若返る! 一生使える若返りリンパケア』(三空出版)など多数。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子