「自律神経を整える安眠講座」①、②では、睡眠中の副交感神経を高めればぐっすりと眠れて、免疫力が高まることを学びました。では、実際に睡眠時に副交感神経を高めるために、どうしたらいいのでしょうか? してしまいがちなNG行動に関して、睡眠医学を専門のひとつとするハーバード大学&ソルボンヌ大学客員教授・根来秀行さんに伺いました。
眠りの副交感神経を妨げるNG習慣
普段何気なくやっていることやよかれと思ってやっていることが、実は副交感神経を抑制している⁉ 生活習慣を見直して自律神経を整え、コロナ不眠からの脱却を!
マスクの下でお口ぽかん。口呼吸で交感神経上昇
マスクをしているとつい口呼吸になりがちですが、口で息をすると呼吸が浅くなり、交感神経が過剰に働きます。普段から舌を上あごにつけることを意識すると、自然と口が閉じて鼻呼吸になります。
起きるなり疲れている人は睡眠中も口呼吸をしている可能性が高いので、口に粘着力の弱いテープを貼って寝るのもおすすめ。鼻呼吸で眠れた朝は目覚めもすっきり。
●見直しPOINT
上あごに舌をつけ、鼻呼吸でお口はチャック。睡眠時の口テープも有効
スポーツでストレス発散のつもりが自律神経消耗
コロナ禍で運動不足になりがちですが、昔取った杵柄(きねづか)で過度に激しく運動すると、交感神経が急上昇し老化の元凶・活性酸素が大発生。高揚感でハイになり疲労感がマスキングされるという落とし穴も。
ランチ前に5分筋トレして成長ホルモンを出したあと、ウォーキングなど少し息が上がる程度の有酸素運動を15分。そして1日トータルの歩数で1万歩前後を実現できると、夜には心地よい疲労感とともに自然な眠気がやってきます。
●見直しPOINT
張りきりすぎると逆効果。少しの筋トレ+軽く息が上がる程度の有酸素運動を習慣に
根来秀行さん
Hideyuki Negoro
ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など。著書に『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(ともに集英社)など
撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン 構成・原文/石丸久美子