今年も半年が過ぎました。春?と思ったら夏?と、季節の移り変わりが激しく感じますね。
さて、コロナ禍が数年間続いたおかげで健康診断やメンテナンスが滞ってしまった、タイミングを失いそのままにしているという方、結構多いのではないでしょうか。私も今年に入り、重い腰を上げてぼちぼちとスタートしました。
自分が歯科医師ですが、歯科の検診も久々に施してもらいました。正直、自分なりに何とか出来る、分かるという自負もあるのですが、この自負が邪魔になる事もあるんです。やはり口内は緻密なので、公正公明な診療台のライトのもとでの他者(歯科医師)による厳密なチェックが大切なんです。
歯科医師も人間、自分のことには甘くなる。私もそのタイプかも。そして、見つかった思わぬアレとは…。
他者の厳密なチェックで、隠れ虫歯、現れる!
ま、たいしたことないだろう、歯石が少し付いてるくらいだろうと高を括って診療台のユニットに身を任せ、口を開けてチェックをしてもらうと、直ぐに担当歯科医がアッと声をあげました。
「上の犬歯(八重歯)のプラスチックの詰め物がダメになっていて、その下が虫歯になっています!」
え? まさかと言いながら、デンタルミラーと手鏡で見せてもらうと確かにプラスチックレジンの詰め物と歯の間にうっすらと隙間がありました。が、正直、この詰め物を施された記憶があまりないんです。たぶん、ずいぶん昔、大学生の頃の研修時代だったかもしれません。表面も見た目の異常はなく、症状も無い。フロスで引っかかってこないので気がつかず、健診もすり抜けてきた、かなり進行した隠れ虫歯がまるでゴジラのように現れました。
虫歯の治療がスタート!さようなら八重歯ちゃん
さっそく、虫歯の治療が始まりました。
見た目にはなんら変わりなく、かれこれ60年近く働き、咬合の支えとなった私の八重歯ちゃん、さようなら。
なんて感慨に耽る暇もなく担当歯科医は治療計画を立て、早々に歯の神経を取る抜髄治療。ここで麻酔をしましたが、神経の治療につきものの痛みや出血が全く無し。不気味なことに、神経は半分以上死んでいてほぼ失活状態でした。多分、詰め物の経年変化で菌が少しずつ入りこみ、歯の神経に到達し感染して静かに死に至らしめたのでしょう。
こんなふうに文章にして改めて眺めると、菌って本当に完全犯罪のプロに思えます。が、意外とこういうケースの患者さん、多いんですよ。そして、自覚症状がないと自分で気がつかず、放置することでゆっくりと慢性状態で炎症が進み、歯の根の先に大量の膿を貯めた嚢胞を作ります。
これが、体調不良の時などの機会を得ると、一気に急性状態に転嫁し強い痛みと腫れを伴います。まさに大怪獣ゴジラが好機を得て暴れ出し、火を噴く感じです。こうなると、治療期間が長引き、予後も思わしくない事があります。
歯が痛くない、症状など何にもない時に診てもらう歯科検診の大切さを、身をもって実感しました。ゴジラが猛威をふるい、建物を崩壊するのを食い止める事ができます。
せっかくの機会、歯をデザインしてみる!
歯の神経を抜髄して取り、内部を無菌化して埋めて歯の根の治療を終えたら、お次は削られて失った歯肉の上側の歯冠の治療がスタート。歯根が炎症を起こしていなかったので、治療もサクサクと進みます。これからセラミッククラウンを施すので、まずは歯の土台をしっかりと固めます。私は歯に似たしなやかな土台のファイバーコアを選択し補強しました。この上からセラミッククラウンを被せるのです。
ここからがちょっと楽しみになります。私の八重歯はいわゆるフラットなタイプ。特に特徴も無く長さ、形も普通でした。そこで、ちょっとだけ八重歯に個性みたいなものを持たせたいと思い、担当歯科医と相談しながら八重歯のフォルムをデザインしてみました。
色は透明感のある白さ、中心部に豊隆を持たせ、嚙み合わせの邪魔にならない程度に本来よりちょっとだけ長めの歯冠にしてみたのです。新しいセラミッククラウンを装着すると、丁度口角の手前に位置するニュー八重歯ちゃんがキラキラと輝いているように見えて気持ちがどんどん歯ッピーになりました。笑顔のアクセントになりそうです。
セラミッククラウンが入ったので、デンタルケアも見直した
ピカピカのセラミッククラウン。汚れが付きにくく、二次カリエスの予防にも効果的と良い特徴がありますが、強く噛んだり、衝撃で破損するリスクもあります。また、セラミッククラウンと歯肉の境目は目に見えない汚れが溜まりやすいので、優しい力でより丁寧に歯磨きケアをすることで、セラミッククラウンを長持ちさせ、歯周病のリスクも下がります。
ここで選んだのは、先が万年筆みたいなペン状になっている、タフトブラシ。歯ブラシやフロスの後のシメに使います。タフトの先がフラットなタイプも市場に出てますが、ペン先タイプはセラミックと歯肉の間に挿入しやすくオススメです。
優しい力でゆっくりと撫でるように磨きます。乱雑はNG。歯茎下がりの原因になります。このように人工歯が加わることで、歯磨きケアが刷新します。一見、余分な手間が増えた?ように思えますが、タフトブラシは正しい方法を覚えておくと人工歯のみならず、自分の歯全ての健康維持も十分に期待できます。歯と歯肉の境目って歯周病のリスクが高い場所ですもんね。
後はやっぱり定期的なチェック。セラミッククラウンを入れたら、入れっぱなしで放置は無しです。
ほら、車だって、洗車したりオイル交換したり、車検に出したりとメインテナンスすると長く働いてくれますよね、歯も同じです。人工歯の周りの歯との兼ね合い、嚙み合わせのチェック、歯肉のチェックやクリーニングが長持ちの秘訣ですし、周辺の歯も健康になるでしょう。私も今回は、自分の歯の治療に関わりましたが、リポートしながらも改めて検診の大切さを実感し、同時に歯を治療するという事は前を向いて生きることだなと思いました。
『マスクしたまま30秒!! マスク老け撃退顔トレ』
TVでも話題!! マスク老け、マスクこり、たるみにも!!
石井さとこ先生の顔トレがこの一冊に!! 今こそ口もとを楽しく鍛えて、スッキリ!!
この本では、マスク下でできる舌や表情筋のエクササイズを公開。
すべてのメソッドは二次元コードから、やり方がわかる動画が見られます。また、歯科医師ならではのウイルスや菌に負けないための口もと習慣もご紹介。
毎日の顔トレと、新しい口もと習慣でご機嫌な口もとになりましょう!