1日1万歩はちょっと無理…という人におすすめなのが、多くの病気予防の実証データがある「インターバル速歩」。ゆっくり歩きと速歩きを繰り返すだけで、健康&若返りのすごい効果が!
お話をお伺いしたのは
能勢 博さん
Hiroshi Nose
信州大学医学部特任教授。医学博士。約9000人についてインターバル速歩の効果を研究、実証。著書に『医師が教える 10歳若返る2テンポウォーキング』(学研プラス)
30分のゆっくり歩きと速歩きで
病気が防げる!
1日1万歩も歩かなくても、高い健康効果が得られるのがインターバル速歩。その効果の仕組みとは?
「速歩きとゆっくり歩きを3分ずつ交互に繰り返すのがインターバル速歩です。普通の速度で歩くと運動強度はあまり高くありませんが、速歩きを取り入れると強度が上がり、効率よく筋肉が増えます。
すると細胞内のミトコンドリアが増えて活性化。ミトコンドリアは抗酸化物質を発生させ、活性酸素を除去するので、体内の慢性炎症が抑えられます。これにより生活習慣病などさまざまな病気が防げるのです。
実際に9000人近くの中高年の人が、これを週4回を1日5セット(約30分)続け、多くの健康効果が実証されました」(能勢博先生)
以下が実証されたおもな効果。歩数を稼ぐより、30分で高い効果が得られるから続けやすいのも魅力!
インターバル速歩をすると効率よく筋肉が太く、強くなるため、筋肉の細胞内のミトコンドリアが増えて活性化します。
ミトコンドリアは抗酸化物質を発生させ、体内の活性酸素を除去。これにより慢性炎症が抑えられ、生活習慣病の予防&改善効果が。
インターバル速歩の健康効果
有酸素運動&筋トレの効果があり、筋力も持久力もアップ。「中高年246人が5カ月インターバル速歩を続けたところ、筋力が13〜17%、持久力が10%も上がりました」(能勢博先生)
以下のグラフのように、血圧を下げる効果も。「生活習慣病指標の変化の調査では、インターバル速歩で20%も改善したという結果に」
インターバル速歩を5カ月間続けたところ、認知機能が最大34%も高まったという結果も出ています。「インターバル速歩を行うと、体力(最大酸素消費量)が向上して脳の血流量が改善することと、脳細胞のミトコンドリアが活性化し、慢性炎症が抑えられることで、認知機能が向上すると思われます」
中高年946人がインターバル速歩を5カ月続けたら、膝関節痛が“大変よくなった”“少しよくなった”という人が約半数に。「腰や肩、首についても同じ結果が得られました」
通常は骨密度が減ることの多い50歳以上の女性119人が6カ月インターバル速歩を続けたら、骨密度が腰椎0.9%、大腿骨頸部で1%アップ。骨の若返り効果が認められました。
中高年700人の実験でインターバル速歩を5カ月間行い、うつ症状の重い人ほど改善することが判明。「8カ月継続では、うつの自己評価尺度が50%抑制され、不眠も改善しました」
平均65歳の男女666人が5カ月インターバル速歩を行い、食事制限なしで体重が平均1.5㎏、体脂肪率が平均2%減少。「筋肉が増え、基礎代謝が上がったためと考えられます」
取材・原文/和田美穂