骨密度の低下サインが真っ先に表れるのは顔、それも下あご!
●骨密度が低下してくるとその影響は顔にも!
「加齢とともに顔の骨の骨密度も低下します。すると骨と皮膚との間に隙間ができ、余った皮膚がシワやたるみを作ります。特に骨密度低下の影響が最初に表れるのが、もともと骨密度が低い下あご。下あごの骨密度が低下するとほうれい線やマリオネットライン、二重あごなどのもとに。老け顔を防ぐためにも骨活を」
骨貯金が少ない人が多く、40代で骨粗しょう症予備群も
「骨粗しょう症は骨がスカスカになってもろくなり骨折しやすくなる病気。高齢者の病気と思いがちですが、最近、ダイエットや運動量の減少などの影響で『骨貯金』が少ない人が多く、平成4年と24年の20年間で9歳女子の骨量が10.2%も減っているというデータがあります。
また、骨粗しょう症予備群の女性は40代で8.6%に上るというデータも。
骨量は閉経後2年間に5.5%、閉経後10年間では15%も減り、骨粗しょう症のリスクが一気に高まります。
でも骨は何歳からでも若返ります。40歳からは5年おきに正確なDXA(デキサ)法(下記参照)で骨密度を調べるようにし、問題があれば早めの対策で予防を」
記事が続きます
●骨粗しょう症の診断基準

※健康な若い人(20〜44歳)の骨密度を基準(YAM100%)とします。
骨粗しょう症の診断に用いる骨密度は原則として腰椎か大腿骨近位部の骨密度。骨密度が若年成人平均値(YAM)の70%以下の場合に骨粗しょう症と診断されます。YAMの70%よりは大きく、80%未満なら骨量減少レベルで骨粗しょう症予備群
骨の疑問Q&A
Q.骨粗しょう症は遺伝する?
A.遺伝する確率は60%近くといわれています
「遺伝的要因があります。最大骨量がどれくらいになるかは母親からの遺伝が関係し、遺伝する確率は60%近くです。骨粗しょう症の母親を持つ場合、本人の最大骨量も平均的水準に届かない場合が少なくありません」
Q.何科を受診すればいい?
A.整形外科、内科、婦人科など
「骨粗しょう症治療を行うのは整形外科が8割。次に内科、婦人科となっています。骨折した場合は整形外科、2型糖尿病など生活習慣病が原因の骨粗しょう症は内科(内分泌代謝内科)、予防を中心とする治療は婦人科を受診するとよいですね。まずかかりつけ医に相談するのもよいでしょう」
Q.乳がんでも骨粗しょう症治療はできる?
A.問題なくできます
「骨粗しょう症の治療法の中で、ホルモン補充療法は乳がんの悪化を招くリスクがあるのでおすすめしませんが、骨粗しょう症治療薬はそれ以外に効果的な薬がたくさんあるので、乳がんの人でも問題なく治療をすることができます」
記事が続きます
Q.太っているほうが骨は丈夫になるの?
A.骨密度は高くなりますが、生活習慣病などほかのリスクが上がります
「骨量は骨にかかる重力などの負荷が大きいほど増え、逆に負荷が小さいほど増えにくく減りやすくなります。ですから、身長が高くて太めで体重が重い人のほうが骨密度は高いといえます。ただ、太っていると生活習慣病などほかのリスクが高まるので、よいとはいえません」
Q.骨の強さは思春期で決まるってホント?
A.母親の子宮にいる胎児のときに決まります
「骨量が最も増えるのは、思春期でなく実は母親の子宮にいる胎児期。背骨は妊娠8週目というごく早い段階で形成が始まります。そして妊娠後期での母親の栄養状態が胎児の骨格成長に大きな影響を与えます」
Q.骨密度が低くないのに骨折したのはなぜ?
A.検査法によっては正確ではないので、実際には骨がもろくなっている場合も
「骨の強度は骨密度7割、骨質3割で表されるので、骨密度が高くても骨質が弱いと骨折することがあります。また、DXA法以外の検査の精度は低いので、骨密度に問題はないという結果が出ても骨折することがあります」

日本産婦人科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会監事・専門医。日本の女性医療をリードするパイオニア。骨粗しょう症・アンチエイジング分野の第一人者
イラスト/本田佳世 取材・原文/和田美穂