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【医師の本音対談】眼瞼下垂の治療や手術、後悔しないクリニック選びのポイントは?

まぶたのたるみ、目の見えにくさ、おでこのシワ、そして肩こりや首こり…。そんな症状のある眼瞼下垂(がんけんかすい)は、治療できる病気です。でも、いざ手術となったらどこへ行けばいいの? という声もよく聞きます。眼瞼下垂に詳しい医師の二人が本音でプロのトークを繰り広げてくれました。

今回、話してくださるのは、東京美容外科クリニックの統括院長で、メディアにも多数出演している形成外科医・美容外科医の麻生泰先生(左)と、手がける眼瞼下垂手術は年間2000件以上という眼瞼下垂のエキスパート、この連載の監修、眼科医の高田尚忠先生(右)です。忌憚のないコメントに期待しましょう。

 

眼科、美容外科、形成外科…実は、何科に行くかより、医師次第!

 

麻生 有名人などを見るとやっぱり「ちょっと、あれはかわいそう。なぜ?」と思う人いますよね。普通に眼瞼下垂の手術をしてもらえればよかったのにな、と。

 

高田  それ、あります。なぜそんな失敗をされてしまったの? なんでそこに行ってしまったの? と。

 

麻生 眼瞼下垂の治療はどこでやったらいいのとよく聞かれますが、何科ならいいとかいう話じゃない。先生によりますよね。 うちは美容外科ですが、僕自身は慶応の形成外科、大学院で博士号を取ったので形成外科医なんですよね。

形成を学ばずにいきなり美容外科に行った人が、眼瞼下垂の切開手術はできないと思います。そういう教育を受けてないから。

ただし、形成外科医でもできない先生もいる。

眼瞼下垂を専門的にやられてる先生のところに自分で積極的に見に行ったり、トレーニングを受けたりしている先生でないと無理だと思いますね。 逆に美容外科でもとても上手な人もいるし。

形成を学んでなくても、自分自身で研究してセンスのいい先生もいる。

 

高田 僕は眼科医でありながら、形成外科で眼瞼下垂の勉強をした珍しいパターンだと思います。その医師が何ができるか、どんな手術ができるかは、ホームページを見ればだいたいわかりそうですよね。

 

麻生 大学病院なんかでは「目が開けばいい」と思ってる先生もいますしね。

 

高田 眼科も、そういう意味で言うと「開けばいい」という先生が多いかもしれません。

僕自身はそこが違いますけど。

 

麻生 高田先生、他院の修正手術も多いんじゃないですか?

 

高田 僕のところは眼瞼下垂手術専門と謳っていることもあり、眼瞼下垂手術のうち、1~2割が他院の修正手術。県外からもかなり多くいらっしゃいます。

中には何度も手術を受けている方もいて。修正手術をやればやるほどこちらは難しくなる。修正は、埋没法による二重手術後のケースが多いですかね。「なんでこんな手術したかな〜」と思いながらやってます。その分、とても勉強になりますけど。

 

眼瞼下垂 修正例

①1カ月前に前院で両側手術後、左右差が出たため右目のみ再手術したという方。前院の修正手術後10日目。まだ左右差がひどい状態。

②高田先生により左右とも修正手術。

広すぎる二重の幅を縮小し、開瞼幅の左右差を調整。これは術後1週間。

③12週間後、左右差がほぼなくなり、かなり自然な状態に。

 

 

「切らずに治したい」なら、美容外科で自費診療がベスト 

 

麻生 埋没法(まぶたを切らずに、針を使って細い糸で まぶたの皮膚の内側と筋肉や軟骨を結びつける方法)は、そもそも眼瞼下垂の手術じゃないですからね。眼瞼下垂の治療手術として埋没法って書いてるところもあるじゃないですか。

 

高田 混同されてますよね。眼瞼下垂の手術の目的は目をちゃんと開けることであって、二重を作る手術ではない。保険内でできる眼瞼下垂の手術では、二重になりにくい人はならないし、なる人はなるよって話です。 ただ、目の機能を治すうえで、いかにナチュラルに仕上げるかが勝負。

僕は保険治療でもできるだけ自然な目にこだわってるんですよ。自分がきれいと思う目にしてあげようと思ってる。

僕の手術でベースにしているのは、保険診療での「眼瞼挙筋腱膜前転法」です。

皮膚を含めできるだけ組織を温存しつつ腱膜を折りたたむように縫い止めるんですが、その止め方の強弱でも二重の食い込み方が変わり、二重の幅が変わります。なので、皮膚の切除量、切開デザイン以外の二重まぶたの構成要素にも気を遣いますね。

自由診療であれば、皮膚、まぶたの脂肪、眼輪筋などの組織の切除量を意図的に増やして、仕上がりのデザインに対して保険診療より配慮したものにしています。

 

麻生 美容外科は「切らないで」という人も多いので、僕はまぶたの裏側からミュラー筋をタッキングする方法をいちばん使います。ミュラー筋は、また緩む可能性があるので、緩んだらもう1回やらないといけないですけどね。

うちは自費診療なので、基本的に「切りたくない」という人には皮膚は切除しない。

僕はあんまり二重の皮膚を切るのは好きじゃないんです、先生はどうされるかわからないですけど。

 

腱膜とミュラー筋の位置をチェック!

 

 

いろいろな術式を患者さんの希望に即して対応する、麻生先生

 

高田  僕は二重の皮膚を、だいたい3mmは切ります。眼瞼下垂で目の開きを治しながら、余った皮膚を取って二重もきれいに見せたい。僕はそれが売り。保険診療でのパターンにしてます。

ただし、それ以上皮膚を取ってほしいと言われたら自費にしますよ、と説明しています。

 

麻生  ミュラー筋を触るのはだめと言う先生もいますね。

 

高田  それ、僕です。他院でミュラー筋を傷つけられて、術後に眼瞼痙攣(けいれん)になってる人が大勢来るんです。ミュラー筋タッキングは初心者の先生でもできる代わりに失敗しやすいんだと思います。

先生のように、切らないで裏側からうまくミュラー筋を引っ張れる先生はいいんです。でも、慣れていない先生もいる。

糸の結び目をまぶたの裏側に置いてこられたら、後になって取るのがめちゃくちゃ大変。再手術できないケースもあります。

 

麻生 そう、結び目を裏側に置いてくる先生がいるんですよね。裏だと絶対だめだと思うんです。僕は表側で二重のラインと連動させる方法を以前学会で発表してたんですけど、全然研究してない先生もいる。

僕なんか、手術もネット上で公開しちゃってるから、しっかり見てもらっていいんですけどね。 まあ、眼瞼下垂をメスは使わないで、しかも二重をきれいにしたい、となったら自費で美容外科しかないでしょう。

美容外科に行って「保険診療もすると書いてあったのに、行ってみたら自費診療をすすめられてしまった」とクレームを言う人がいますけど、美容外科なら自費診療だと思ったほうがいいです。

 

高田 保険診療と自由診療の内容の違いをちゃんと言葉できっちり説明できるかどうかですよね。 うちはほぼ保険ですけど、保険ならこうこうこうですよという話を、カウンセリングでものすごく説明して、納得してもらったうえでしかやらないですね。

なにせ、僕がきれいだと思うものをやるから信頼して受けてほしい。

 

 

麻生先生による症例:切開による眼瞼下垂手術と、目の下のたるみ取りをした60代女性。

下は術後7カ月

 

口コミやレビュー、それに対するクリニックの返信も参考に

 

麻生 先生はそれぞれ皆、自分の得意な「黄金パターン」があって、そこから外れるようなことを患者さんから指定されたら、「無理〜」ってなりますよね。

 

眼瞼下垂を専門とし、術式を確立。口コミで全国から患者さんがやってくる、高田先生

 

高田 好みがありますね、こうするのがきれいと信念を持っている。

 

麻生 どんなに自費手術でも、「二重の幅はこうお願いします」と言われて、それをいいと思わなければそのとおりにはできないですよ。そのとおりにやってうまくいかないことはわかってるのでね。さようなら、となります。

そんなこと言うと、さっそくネットに書かれてしまうんですけど(笑)。

 

高田 今、口コミやレビューがすごいですからね。でも、僕はネットの書き込みは参考にしていいと思いますね。

 

麻生 一部、偏った書き込みもありますけどね。本当の患者さんじゃなかったり。全部信用しないほうがいいと思うこともありますよね。

 

高田 書かれたほうの対応、返信も大変です。でも書きますよ。

クレームを書いた人に対してというよりも、それを読んだ人がどう思うかが大事だと思うんです。読む側が正当に判断してくれたらいいなと思って。

 

麻生 そういう意味ではネットでの発信は大事ですよね。インスタとかYouTubeとかも。どんな人かわからない先生に頼みたくないですしね。

 

高田  僕がずっとブログを書き続けているのもそれです。患者さんは論文は読めないけどブログは読める。

 

麻生  それ以上に知りたかったら、まずカウンセリングに行けばいい。

 

高田  そうですそうです。僕はメール相談までやっています。 眼瞼下垂は緊急性のない疾患だからこそ、自分でしっかり調べたり勉強しておけると思いますね。

 

次回、後半(6月1日配信)へ続く。

 

 

【教えていただいた方】

高田尚忠
高田尚忠さん
眼科医
公式サイトを見る

高田眼科(静岡県浜松市)院長、フラミンゴ眼瞼・美容クリニック(愛知県名古屋市)主宰。眼科医と形成外科医の知識、豊富な眼瞼手術の術者としての経験をもとにファシアリリース法を考案。保険適用手術にこだわり、手がける眼瞼下垂手術は年間2000件以上。全国から患者が来院。メールでの眼瞼下垂相談も可能。

 

【ゲスト】

麻生 泰さん   形成外科医・美容外科医。医療法人社団東美会理事長、東京美容外科統括院長。慶應義塾大学医学部非常勤講師。2004年、現名称である「東京美容外科」の1号院を開院し、今では東京美容外科の系列院は100院以上。眼瞼下垂だけでなく、豊胸手術のパイオニアとして、学会での発表や海外での講演も多数。歯に衣着せぬトークが人気でメディア出演も多く、自身のYouTubeチャンネル「ドクターA(麻生泰)」は、登録者数が19.8万人に。公式サイト

 

イラスト/かくたりかこ 取材・文・画像制作/蓮見則子

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